《脇役転生の筈だった》24
「音、弟さんは何処にいるかわかりますの?」
「えっと…多分部活だから…」
つまりは學校か。
「清水、お願いしますわ」
「承知いたしました、お嬢様」
さすが清水。
高校の名前を聞かずに出すと言う事は調べていたのだろう。
音から弟さんの寫真と名前を聞き出した。
名前は黒崎魁斗と言うらしい。
その姿は音と似ていた。
違うところは音よりも目がキリッとしているところだろうか?
「お嬢様、ご到著致しました」
……周りの生徒から注目を浴びているのは車がリムジンと言う事と制服、そして清水のせいだろう。
「えぇ、ありがとう。
音と天也はここにいて」
ここにいて貰う理由は弟さんを驚かせるため。
…このくらいは、いいよね?
「グラウンドは……」
「あちらです」
私は大人しく清水に言われた通りの道を行く。
清水に私の前を歩くようにいったが使用人としてそれは出來ないと言われてしまった。
「ここですわね」
グラウンドに著くとサッカー部がすでに部活を初めていた。
Advertisement
その中に、音の弟さんもいた。
それを確認してから近くにいたサッカー部らしき生徒に聲をかけた。
「申し訳ございませんが、黒崎魁斗さんはいらっしゃるでしょうか?」
「あぁ…。
呼ぶ?」
「お願いしますわ」
「了解。
ちょっと待っててくれ。」
そう言うと、ベンチに座っていた彼は立ち上がり、聲を出した。
「魁斗!
ちょっと來い!」
「え……はい」
弟さんはメンバーに悪い、と謝ると走ってきた。
直に見るとやはり音によく似ていると思う。
「先輩、どうかしたんですか?」
「おう。
この人がお前に用があるんだと」
「ありがとうございますわ。
初めまして。
私は海野咲夜と申します。
黒崎音のクラスメイトですわ」
「姉さんの!?
通りでその制服、見たことがあるわけだ。
…で、そんなお嬢様が何の用…?」
殘念ながら警戒されてしまったようだ。
……どうすれば警戒が解けるのだろうか?
「黒崎魁斗さん、あなたの時間をくださいませんか」
「……は?」
「このままでは音が恥をかくことになってしまいますの。
Advertisement
ですから、あなたの時間をくださいませんか?
私は音の友人としてそれだけはどうにかして回避したいのです。
そのためにはあなたの協力が必要ですから」
私は真っ直ぐに彼の目を見つめる。
音のためであれば私は全力を盡くす。
その意志が伝わったのか彼は先輩に早退の相談を始めた。
「先輩、すいません…」
それを見ていた清水が私に耳打ちしてくる。
この高校、楽都高校はうちの高校と練習試合をしたことがないと。
「…隆桜學園と、こちらのサッカー部の練習試合をしてみたくはありませんか?
一泊二日でいいのであれば合同強化合宿というのも企畫致しますが…。
勿論、費用は全てこちらがけ持ちます」
私の私財は案外あるのだ。
…何故なら、私は元庶民。
毎月貰うお小遣いの額が怖くてそこから毎月三千円抜いて使っていたのだ。
そして使わない分は全て貯金。
そんなこんなで今、私の貯金は100萬を軽く超えていた。
それと、私の家は客船會社とはいえ別荘は持っている。
その別荘のところには広い芝生がある。
そこにサッカーゴールを置けばいいだけだ。
「マジか!?
分かった。
魁斗、許す。
行ってこい」
「え…あ、ありがとうございます…」
複雑そうだが気にしないことにしよう。
清水は私に従うかのように連絡先を渡していた。
「清水、それは私の連絡先よね?」
「いえ、自宅です」
「清水!
回収しなさい!
お兄様にバレたら殺されますわよ!?
なんて危険を渡しているのですか!」
清水は慌てて連絡先を書いた紙を回収すると申し訳ございませんと頭を下げていた。
「え?何?
俺、危険渡されたの?」
と、呆然としている。
…あの兄にバレると思うと、ね?
清水は今度こそ、私の連絡先を渡す。
それを確認してから急いで車に向かった。
「はっ!?
リ、リムジン!?」
「いいから乗りなさい!」
私は黒崎魁斗を押し、車に乗せると私も乗り、扉をしめた。
清水はすぐに運転席に戻ると車を出した。
「うわっ……リムジンに乗ってる……。
って…姉さん!
これ、どういう事!?」
「魁斗、パーティーで私のパートナーになってしいの!」
「音、それでは誤解されてしまいますわ。
この車に乗った時點でもう拒否権はございませんもの」
私はそう、ニッコリと微笑んだ。
それに、天也は面白そうに笑い、音は苦笑した。
「さて、次の店で音のものも揃えますわよ」
「え!?
いや、それは悪いです!」
「えっと……海野さん、だっけ?
何で姉さんのためにそんな事までするのさ?」
姉が騙されているとじたのか不審丸出しで訪ねてくる。
……本當に兄がこの場にいなくて良かったと思う。
「咲夜で結構ですわ。
…私はそこにいる男のせいで同の友人は音が初めてなんですの。
だから、だと思いますわ」
「本當に素直じゃない。
咲夜は自分が友人と認めた奴に対しては優しいからな」
笑って言った天也を私は睨みつけるが意味深に微笑まれただけだった。
……納得いかない。
…まぁ、確かに友人には甘いかもしれないが。
「…とにかく、天也、音の弟さんの事頼みますわ」
「あぁ、任せろ」
「…何か嫌な予しかしない…!!
…僕の事は魁斗でいいよ」
なら、遠慮なくそう呼ばせてもらうとしよう。
「お嬢様」
清水が扉を開け、出るように促す。
私達はそれに従い車から降りると店の中にっていった。
「「「「いらっしゃいませ」」」」
「パーティー用の全コーデで頼む。
俺は上著だけ頼む」
「かしこまりました」
「こちらにどうぞ」
天也と魁斗は案店員さんに案されて行った。
「私達2人のパーティー用のコーデをお願い致します」
「かしこまりました」
私達が店員さんに著いていくとすぐに試著が始まった。
「…青の耳飾りと黒の耳飾りを1つずつ用意してくださるかしら?」
「かしこまりました。
デザインはどういたしますか?」
「両方ともシンプルなものでお願いしますわ」
「かしこまりました」
店員さんの1人が出ていった。
多分、私の頼んだ耳飾りを探しに行ったのだろう。
「私は黒の耳飾りに合わせたものでお願いします」
「かしこまりました。
では、こちらはいかがでしょうか?」
そして持ってきたのは白いドレスだった。
……水でもいいだろうに何故これを選ぶのか……。
まぁ、いいか。
「それにしますわ」
「ヒールはいかが致しますか?」
「普段よりもしだけ低めのものにしてくださるかしら」
そして、持ってこられたドレスと靴を履く。
そして、薄く化粧をし黒い耳飾りをした。
これで私の方は終了だ。
「えっ……こんないいは……」
「海野様」
「構いませんわ」
私の許可を得たためか次々と々なものを持っていくようになった。
……さて、音はどうなるのか。
そしてそれから30分くらいしたあと、音が出てきた。
「あ……咲夜……ど、どうですか……?」
「…変わったわね。
とても綺麗ですわ。
さぁ、行きますわよ」
「あ、はい!
咲夜も綺麗ですよ!」
「…そう?
ありがとう」
しだけ自信がついた気がした。
「咲夜……いつもより綺麗だ」
「…そう。
ありがとう。
それと、今のうちに渡しておきますわ」
私は先程購したばかりの耳飾りを天也に渡した。
私もちゃんと、黒い耳飾りを付けている。
これで…私の意思は伝わっただろうか?
「…これ……。
いいのか?」
「…他に誰に渡せと?
それとも、け取れないとでも?」
「いや、禮を言う」
天也は本當に嬉しそうに耳飾りを付けた。
それを見て私は薄く微笑むと支払いを終えた。
「ちょ、ちょっと待ってくれ!
ウチはこんなもの買える金なんて」
「全て私の支払いですから心配ありませんわ。
それよりも、スタジオを借りていますから練習致しますわよ」
魁斗の話を聞かずに車でスタジオまで移する。
殘りの時間は2時間半、結構使ってしまった。
だが、スタジオから學園まではかなり近いからその點は安心出來る。
スタジオに著くと清水が付をし、すぐに通される。
そして曲を流しダンスの練習を始めた。
「魁斗、私に任せてください。
大丈夫ですわ。
最初はステップだけを意識してくださいまし」
「わ、分かった…」
「音、俺がリードするから大丈夫だ。
そろそろ馴れてきただろう?」
「うっ……」
それぞれ相手をリードしつつゆったりとステップを踏む。
…魁斗は時々私の足を踏んでは謝罪したり表を歪めたりとしていたがその度に笑顔を保てと私は注意をし続け最後の辺りは何があろうと笑顔を保てるようになっていた。
「お時間です」
その清水の聲で私達はピタリときを止め素早く撤収した。
……今日だけで結構使ったな……。
「咲夜、行くぞ」
天也は學園で車を降りた後、優しく微笑んだ。
私も微笑み手を取った。
「あ、えっと……ね、姉さん…」
「あ、ありがとう…」
2人はし恥ずかしそうにしていたが、魁斗は予想に反ししっかりとエスコートをやり遂げた。
「……今更なのですが…。
隆會を理由に休めたんじゃありませんの?」
「……あ」
「……失念していた…」
「……何それ?」
……まぁ、ここまで來たらいいか。
會長の話が終わると、ししてから曲が流れ始めた。
そして、天也が私に対して跪き手を差し出した。
「咲夜、俺と始めのダンスを踴ってくれないか?」
「喜んで」
私は天也の手を取ると天也は立ち上がりそのまま私達はダンスの中へとっていく。
「……咲夜、耳飾りをくれたという事はそう捉えてもいいんだな?」
「……えぇ。
後でお兄様に言いに行きますわよ」
「……あぁ。
せいぜい命を狙われないように気をつけるさ。
…悠人先輩に許可を貰えたら父上に紹介したいんだ」
「ふふっ…勿論ですわ」
そして、私は天也にリードされながら中央に移している事に気付かずにいた。
曲が終わると天也は再び跪いた。
その時、小さく「逃がさない」と言ったのは私しか聞き取る事は出來なかっただろう。
私は嫌な予がして逃げ出そうとするが、その前に天也に先手を打たれてしまった。
「咲夜。
俺はお前が好きだ。
正式に婚約してしい」
……卑怯だと思うんだ。
私が答えようと口を開いたその時。
口の扉がバンッと開いた。
「許さない!
咲夜から離れろ害蟲が!!
何僕の可い可い咲夜に手を出してるのかな?
咲夜とダンスを踴るなんて……誰が許したのかな?」
そう笑う兄はどうやら本気で怒っているようだった。
笑顔でいながらも恐怖をじるなんて兄以外では出來ないだろうなぁ……。
「悠人先輩!?」
その聲は明來先輩のものだった。
「お兄様、私と天也の婚約を認め…」
「認めない!
僕は絶対にそんなことは認めない!
よりによってこんな奴と……」
兄が目の敵のように天也を睨みつける。
……私はこうなったら…と言うようにため息をついた。
「……お兄様、お願いします。
お兄様が認めてくださらないのであれば……お母様とお父様にお願いしてきます」
「なっ……さ、咲夜!?」
母に言えば必ず
「そんなお兄様の事は放っておいてこちらに遊びに來なさい」
と言うだろう。
そして、私は必ずそちらへ行く。
……兄を置いて。
それを知っているからこそ兄はあぁも揺した。
「……その様なことをしたらきっと大學を卒業するまでお母様やお父様と暮らしますわ」
「なっ……さ、咲夜!
それだけは……。
…………………………………分かった。
認める。
だけど、咲夜。
嫌になったらすぐに僕にいう事。
どんな手を使ってでも解消するから安心して」
あぁ、つまり兄はそれが目的だと……。
……まぁ、目的の1つは片付いたし、いっか。
私はあの騒ぎの中心から音と魁斗のいるところへ戻ると今度は魁斗と共にダンスを踴り始める。
そして、天也は音と共にゆったりと踴り始めた。
ハッピーエンド以外は認めないっ!! ~死に戻り姫と最強王子は極甘溺愛ルートをご所望です~
婚約者の王子とお茶をしていた時、突然未來の記憶が流れ込んできたフローライト フローライトは內気で引き籠もりがちな王女。そんな彼女は未來で自身が持つ特殊かつ強力な魔力に目を付けた魔王に誘拐されてしまう。 それを助けてくれるのが心根の優しい、今目の前にいる婚約者の隣國の第二王子、カーネリアン。 剣を取り、最強と呼ばれるほど強くなっても人を傷つけることが嫌いな彼は、フローライトを助けたあと、心を壊して死んでしまう。 彼の亡骸に縋り、後を追った記憶が蘇ったフローライトは、死に際、自分がもっと強ければこんなことにならなかったのにと酷く後悔したことも同時に思い出す。 二度と彼を失いたくないし、王子と自分の將來はハッピーエンド以外あり得ないと一念発起したフローライトは、前回とは全く違う、前向きかつ、バリバリ前線で戦う強すぎる王女へと成長を遂げる。 魔王になんか誘拐されるものか。今度は私があなたを守ってあげます! ※基本、両想いカップルがイチャイチャしつつお互いの為に頑張る話で、鬱展開などはありません。 ※毎日20時に更新します。
8 123初めての戀
美男美女。リア充達のハーレム物。 とは程遠い。年齢=彼女いない歴。要するに童貞が主人公の物語。 僕が初めて人を好きになったのは高校二年の春。まさかまさかの一目ぼれだった。 しかし、それは一目ぼれではなくて必然だったんだ。 運命的な出會いのはずなのに、運命はとうの昔から動いており、僕だけがそれを忘卻の彼方に置き去りにしていた。そう、忘れてしまっていたのだ彼女のことも、あの子との約束をも。 そしてあの人のことも---。 ある日を境に見るようになった夢、性別を超えて仲のいい幼馴染、心の闇を隠しムードメーカを演じる親友、初対面なのに目の敵にしてくる男子生徒、そして僕が戀に奧手だったのも、全部意味があった。 それらに気が付いたのはもちろん偶然じゃない、必然的に一目ぼれした彼女と出會ったからである――。 それでも君が好きだから。 必ず君を迎えにいくよ。 戀に不器用な男子高校生と一途に彼を想い続ける女子高生の、青春をかけたドタバタラブコメディー。 【更新頻度】 H31.2月より週一を目処に更新致します。
8 160お久しぶりです。俺と偽裝婚約してもらいます。~年下ワケあり生真面目弁護士と湯けむり婚前旅行~
☆甘辛こじらせ両片思い×偽裝婚約×溫泉旅行☆ 初戀の思い出を支えに生きる司書の葉月の前に、その相手・朔也が十四年ぶりに現れる。 美しく成長し弁護士となった彼は突然プロポーズ! だが、それは遺産を得るための偽裝婚約に葉月を加擔させるためだった。 葉月は朔也の家族旅行に同行し、婚約者を演じることになってしまう。 朔也は悲しむ葉月の唇を強引に奪ったかと思えば、優しくエスコートしてくれたり、他人の悪意から守ってくれたり。 戸惑う葉月だが、彼が何か秘密を隠していることに気づき、放っておけなくなって…。 クールなようで內面は熱くて真面目、そして若干ヘタレな年下弁護士 × 気弱なようで相手を想う気持ちは誰より強い司書 波亂ありですがわりと甘々な再會愛&初戀成就ストーリー。 隠しててもヒーローは最初からヒロイン大好き! 8/30に完結しました!
8 186義妹は引きこもり美女
俺は、岡宮 大和。17歳、妹も17歳。最近妹がよく俺をみているが、なんでだろう? 私の名前は、岡宮 凜空。17歳 お兄様が大好きなヤンデレ引きこもりです♪
8 121部活の後輩と付き合ってみた
部活の先輩である僕と同じ部活の後輩が 付き合う事になった。 日々テンション高めで甘えてくる時はかなり 甘えてくる後輩と お人好し過ぎて周りに心配されている僕との いちゃいちゃ話。 そしてそれを見ている周りの人達との日常を 描くラブコメ 「センパイ!これで私たちのイチャイチャを 見せつけてやりましょう!」 「君は1度落ち著こうか?」 果たしてどうなるのやら?
8 70お嬢さまと犬 契約婚のはじめかた
「おねがい久瀬くん。お金あげるから、わたしと結婚して」 幼い頃の事件で心に傷を抱えたひきこもりの畫家・鹿名田つぐみと、久瀬 葉は半年前に結婚したばかりの新婚夫婦だ。 繊細なつぐみとおおらかな葉。表向きは仲睦まじいふたりだが、じつは葉はつぐみが不本意な見合いから逃れるために3000萬円で「買った」偽りの夫であり――。 お金で愛を買った(つもりの)少女×買われた(ことにした)青年の、契約結婚からはじまる、面倒くさくて甘くて苦い戀。 第2部連載中。 【登場人物】 鹿名田 つぐみ(19歳) 戀人のヌードと花を描く「花と葉シリーズ」のみ発表する畫家。 もとは名家の令嬢。見合いから逃れるために葉を3000萬で買った。 久瀬 葉(23歳) つぐみの専屬モデルで、続柄は夫。 素性不明の貧乏な美青年。
8 193