《脇役転生の筈だった》33
私と魁斗の話が終わった頃になり、天也や音が起きてくる。
それからし遅れて紫月も降りてきた。
ただ、奏橙だけを除いては……。
「あぁ……奏橙は放っておけばいい。
あいつは極端に朝が弱いからな……」
……という事らしい。
まぁ、天也がそう言うのなら…という事で朝食を食べ始める事にした。
朝食はパンと野菜、ハーブティーだった。
多分、私の朝食に合わせたのだろう。
「さて……今日は何をしましょうか?」
「どんなものがありますの?」
私は紫月の質問に答えようと必死に思い出す。
「テニスコートと卓球場、ゴルフ場、ダーツやバリヤードも出來るよ。
スケートリンクは……今は使えたっけかな……?
ジップラインもあったはず。
中だと…シアタールームかな?
プラネタリウムとかもあるし、昨日の夜に行ったカジノとかね。
下の階にいけば海の中を見れるようになってるし…。
あとは…奧の一角には植園みたいなのもあるかな。
……お父様の趣味で食蟲植が多いけど…」
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「おい……それはあっていいものなのか…?」
いや、それが地味に人気なんだよね。
だからお母様もあまり強くは言えないし……。
まぁ、流石に家まで持ってきた時は怒ってたけど。
「ジムもなかったか?」
「あるよー」
そこまではジップラインでしか行き來出來ないんだけどね。
というのは敢えて言わないでおこう。
「天さん、スケートリンクって今は使えますの?」
「はい、使用可能です。
使用なさいますか?」
「奏橙も來てから決めますわ」
「念の為ご用意しておきます」
「ありがとうございます」
まぁ、取り敢えずスケートリンクは使えるらしいということが分かった。
とは言え奏橙が來ないと話が進まないのだが…。
早く起きてきてはくれないものか…。
「咲夜、奏橙を起こしてくる。
…そうしない限りあいつは午後まで寢るだろうからな」
さすがにそこまでとは思っていなかったのだが…。
今更だが奏橙の意外な一面を知った私だった。
……いや、よくよく思い出してみればゲームの奏橙も朝が弱かったんだけどね?
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「…なぁ、サッカーコートとかは無いのか?」
どうやら魁人はサッカーがやりたくてうずうずしているらしい。
私はそんな魁人を見てクスリと笑った後、その問いに答えた。
「勿論、あるよ。
後で案しようか?」
と提案すると魁人は目を輝かせた。
その様子はまるで玩を與えられた子供のようにも見える。
「本當か!?」
とを乗り出す姿はより子供のようにじさせるには十分だろう。
そんな子供を見るような私達の視線に気づいたのか魁人は顔を真っ赤に染め上げ咳払いをして座った。
未だに顔の赤みはひいてはいないものの、そんな姿が可らしくじた。
「……で、本當に案してくれるのか?」
「勿論。
私は言った事はちゃんと守るからね」
例えば天也に対する報復とかもね。
そういえば…そろそろ天也と奏橙も降りてくるだろうか?
私達はお茶を飲み待つもののなかなか降りてはこない2人に対しイライラがだんだんと積ってくる。
10分くらいたった頃、私は席を立ちあがった。
そして、そのまま奏橙の部屋に向かう。
それが分かったのか紫月も黙って私についてきた。
その空気を読んでか魁人も立ち上がった。
席を立ちあがった私達を見て戸いを見せつつも席を立った。
そして、私達が奏橙の部屋の前まで來ると中から天也の怒鳴り聲が聞こえてきた。
『奏橙!
さっさと起きろ!
いつまで寢ているつもりだ!!』
…どうやらまだ奏橙は起きていないらしい。
奏橙はいつも學園に來るときはどうして起きているのだろうか?
私は呆れつつもノックをした。
すると出てきたのは奏橙を起こしに來ていた天也だった。
天也は疲れはてた表のまま私達に中へるよう促した。
ようやく起きたらしい奏橙は未だ眠そうに目をこすっていたが紫月を見るとすぐに顔を洗い著替えてきた。
……なんという変わりの早さだろうか。
その奏橙の様子に天也は口をあんぐりと開けていた。
それ程いつもはゆっくりと支度をしていたのだろう。
だが天也のこんな表を見たのは初めてだ。
「ごめん、どうも朝は苦手なんだ。
明日は気を付けるよ…」
本當に申し訳なさそうに言った奏橙に文句の1つも言えなくなる。
私は溜息を吐くと小さく呟いた。
「明日から奏橙が起きなかったら氷でも貰ってこようかな…」
その呟きが奏橙と天也には聞こえてしまったらしく天也はニヤリと笑い奏橙は慌て始めた。
「咲夜!?
それ絶対心臓止まるから!!
やったら僕、死ぬよ!?」
「あぁ、そうだな。
奏橙を起こすにはそれくらいやらないとだな…。
俺の起こし方が甘かったのか…」
「ちょっと天也まで!?
天也、まさか咲夜の変な思考がうつったの!?」
なんて失禮な事を言い出した奏橙の足を細く高めのヒールのある靴で思いっきり踏んでやった。
痛がる奏橙に対し私は笑顔を浮かべて行言ってやる。
「あら…申し訳ありませんわ。
ついつい足がってしまったようですの」
ふふっ…と口元だけ笑って見せると奏橙は目をそらした。
自分が悪い事に気付いたのだろう。
それからしして私の気が済んだ事と、早くしないと片付けが遅くなり料理人の休憩時間が無くなってしまう事を配慮しもう一度食事會場へとむかった。
そして食事が終了すると休憩を挾んでからどこへ行くかの相談が始まった。
「私、スケートなんてやった事ありませんわ…」
「私もないよ」
「私は一度だけやった事がありますけど…れなかったです…」
という子3人に対し、3人の男子は顔を見合わせた。
そして……
「よし、スケートにするか」
という天也の言葉で決定した。
…絶対に面白そうだからなんていう理由で決めただろう天也に対し恨みのこもった視線を向けるもののくくっと笑って返された。
諦めてスケートリンクに向かう途中、天也は私の隣に來たかと思うと顔を背けて言った。
「…俺が教えてやるから大丈夫だ。
絶対にれるようにしてやる」
などと言われ溫が上昇していくのをじた。
スケートの貸し出しなどが終了すると天也が私に向けて手を差し出した。
しだけ恥ずかしいとじながらも手をとると「歩くぞ」と天也がゆっくりと進み始める。
そのスピードは私に合わせてくれているのかとてもゆっくりでその不用な天也に私はダンスの時の様にを委ねた。
氷の上まで行くと私はバランスを崩し、転びそうになる。
私はとっさに目を瞑るがいつまでたっても衝撃がくることはなく恐る恐る目を開く。
するとそこにはフッと笑う天也の顔があった。
「ほら、大丈夫だって言ったろ?」
という笑いの含んだ天也の聲にあまりの恥心で思わず顔を背ける。
「……ん」
天也は相変わらず優し気に微笑んでいて、その笑みが私に安心を與えてくれる。
1時間後には私もだいぶ慣れ天也の隣をれるほどになっていた。
これだけれるようになったのは天也の教え方が良かったことと私が前世で2回ほどスケートに行った事があったからだろう。
その事を知らない天也は苦笑をらしていた。
「流石は咲夜…。
俺もこれだけれるようになるにはかなり練習したんだがな…」
「教える人が良かったんじゃないの?」
と言ってやると天也は照れ臭そうに笑った。
そんな天也の表に思わず私は微笑んだ。
「そうだと良いがな…」
「天也、ろう?」
「あぁ、そうだな」
そのまま晝過ぎまで遊んだ私達はし遅い晝食をとる。
「私、結局れませんでしたぁ……」
と落ち込んでいる音に私達は苦笑する。
ただ1人、音に教えていた魁人を除いては……。
「姉さんがあんなに運神経が悪いとは思ってなかった……」
私は見ていなかったのだが音がどんな風にっていたのかは大いに気になるところだ。
いくら音が運神経が悪いとはいえ…ねぇ?
「私もれるようになったのは最後の1時間程度ですし…」
そうめるのは紫月だ。
紫月には勿論奏橙が教えていたようだが楽しそうにやっていた。
……特に奏橙が。
あんなにもデレデレの奏橙は見ていて気持ち悪かった。
まぁ、當の本人達は楽しそうだったからいいけど。
「うぅ…私なんて1歩歩いただけで転んでましたぁ…」
と言う言葉には紫月も目を背けた。
「咲夜はどうでしたの?」
紫月は話を逸らすようにこちらへと話しを投げかけてくる。
その質問には私ではなく天也が答えた。
「…咲夜はな、1時間後にはすでにれるようになってたぞ。
それにな…終わりごろには俺よりも上手くなっていた…。
……絶対おかしいだろう!?」
何故か最後の法は愚癡の様にもじたのだが…気のせいだろうか?
あれか、途中で出來る気がするといってアクセルやらループやらをやり始めたのがいけなかっただろうか?
……最後には10分の9の確率で功するようになったけど…。
「おかしいだろ!?
どう考えれば初心者の癖にアクセルやらループやらをやり始めるんだ!?
しかも普通に功してるし…!!」
失禮な。
出來るような気がしたからやってみただけじゃないか。
そんな人の事をおかしいという様な言い方をしないでほしい。
「まぁ、ほら。
咲夜だし…」
「咲夜ですもの」
「咲夜ですから…」
「…まぁ、當然の結果じゃないか?」
奏橙、紫月、音、魁人の順で言うが納得がいかない。
「なんか私がおかしい人みたいに言ってない?」
すると、皆そろって顔を背けた。
「酷くない!?」
本當、おかしいと思う。
なぜ皆して私を…。
「…褒め言葉だよ?」
「噓つけ!!」
奏橙の一言に私は朝と同じように思い切り足を踏みつけるのであった。
……1つ違うのはグリグリとやったことだろうか。
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