《脇役転生の筈だった》43

夜、私は天さんと2人で話をしていた。

「天さん、正式に私の専屬となったわけなのですが……本當に宜しいのですね?

今でしたらまだ変更は出來ますが……」

さんならばもっといい場所で働けるだろう。

それなのに私の専屬なんかで良いのかという不安から何度目かになる質問をする。

「いえ、私は咲夜様の専屬が良いです。

咲夜様が斷られるのであれば仕方ありませんが……」

そしてそれにいつも通りの回答をする天さん。

その回答に私は微笑んだ。

「そんな事はありませんわ。

……ありがとうございます。

では、これから宜しくお願いいたしますわ、天さん」

「はい、よろしくお願い致します、咲夜様」

挨拶が終わったところで早速本題にった。

「専屬と言ったばかりで申し訳ないのですが……私は來週からドイツへと留學致しますの。

ですから天さんは日本で…」

「承知しております。

ドイツ語でしたら學生の頃に覚えましたので問題ありません」

……どうやらついてきてくれるらしかった。

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信頼した者がしでも多くいるという事になり私はしだけ心が軽くなった気がした。

自分でも驚いたのだがどうやら私は知らずのうちに不安を溜め込んでいたらしかった。

「天さん、ドイツについてきてくださいますか?」

「勿論です。

咲夜様のいらっしゃるところでしたら何処へでも」

々行き過ぎている気もするが私は気にしない事にした。

さんがしだけ兄と重なって見えたのはその言葉のせいに違いない。

……兄ならば

『可い天使のいるところなら何処へでも行くよ。

こんなにも可い天使を1人きりに出來るはずがないからね。

1人きりでなくても悪い蟲がつきそうで心配なくらいなんだ。

だから、必ず僕は咲夜のところへ行くさ』

などと口にするだろうという謎の確信があった。

しかも満面の笑みで言うのだろう。

そんな気がしてならない。

「天さん、ドイツには清水も著いてきてくれるでしょうから改めて紹介致しますわ。

それと向こうでもう1人私の専屬となった方がいますし……。

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大変かもしれませんがよろしくお願い致しますわ」

母や父の専屬は6人とし多めにもじるような人數だが、兄でさえ5人の専屬がいる。

つまり、私がないらしい。

そのため1人1人の仕事量も多いので大変になってしまう。

だがそれに天さんは仕事だからかもしれないが嫌な顔1つせず頭を下げた。

「畏まりました。

では、私は失禮致します」

「えぇ、時間を取らせてしまい申し訳ありませんわ」

私は謝罪をすると夕食をとり、就寢したのだった。

そして翌日。

私は魁斗と共に地下にあるサッカーコートに來ていた。

実はこのサッカーコート、兄の為に作られたのだが……あまり使う機會は無かった。

だが、魁斗は目を輝かせ、私を見ると満面の笑みでお禮を告げた。

「サンキュー、咲夜!」

犬の様だ……。

そうじながら私はサッカーコートをあとにするとそのまま読書スペースへと向かった。

「お嬢、無事の様で何よりだぜ」

そこには長らく見なかった顔があった。

その人は清水や天さんと同じ私の専屬であり、私にとっての大切な報源そのものである。

だが中々にこの男、隠れるのが上手いのだ。

「真城、あなたがここに來るだなんて久しぶりね」

「お嬢の安否が不安だったんでね。

の怪我があったかは知れるが心の怪我までは會わねぇと分かんねぇからな」

真城なりに私の事を心配してくれていたらしい。

真城らしい言葉に笑みを浮かべると真城は安堵したように肩にった力を抜いた。

「お嬢がそんなダメージけてないみたいで安心したぜ」

「ふふっ…私がそう簡単にダメージをけるなどと思いますの?」

「思わねぇな」

即答してみせた真城に図太いと言われているような気がしてムッとしつつもこのやり取りが楽しく微笑んだ。

「で、お嬢。

俺に何かあるんだろ?」

「えぇ、早速で悪いのだけれど…。

ロイさんの事は既に知っているのでしょう?」

私達は先程の軽快な雰囲気を一転させ、重い雰囲気の中、會話を進める。

「あぁ……。

犯人にはあいつもっていて裏切ったって事くらいはな」

私は真城の報の速さに苦笑すると早速お願いした。

「えぇ…。

真城、ロイさんに関しての報をし変えて広めてください。

お願いしてもよろしいですね?」

「俺もお嬢に拾われたうちの1人だかんな。

お嬢の願いなら何だってするさ」

真城は了承の意を示すとそのまま出ていってしまった。

きっと仕事に向かったのだろう。

……いづれ天さんとロイさんをちゃんと紹介したい、そう思いながら私は1冊の本を手に取り読書に勤しんだ。

それから約3時間がたち、気が付くと隣で天也が寢ていた。

その寢顔が可いとじついつい悪戯をしたくなってくるのだがそれをグッと堪える………ことは無く、私は天也の頬をツンツンと指でつつくとくすぐったいそうに悶えた。

「んっ…」

その様子にまたもや私の悪戯心が刺激されツンツンと何度かつつくと突然ガシッと腕を摑まれた。

何かヤバイ………そんな気がして私は逃げようとするものの寢起きのくせに天也の力は強く逃げ出す事は出來なかった。

「咲夜、あまり煽るなよ?」

低い聲を出した天也に私はコクコクと頷くと天也は私を解放した。

「……大、天也が私の隣で寢るから悪いのだと思いますわ」

「仕方ないだろう。

咲夜に話しかけられる雰囲気ではなかったし、だからと言って咲夜から離れたくは無かったんだ」

そんなことを平然と口に出す天也に私はあからさまに同様した。

そしてその反応を楽しんでいるのか天也はニヤッと笑う。

「婚約者の隣にいたいというのは當たり前だろう?」

「はぅ………ハッ……な、何を仰るんですの」

一瞬悶えてしまったもののすぐに立直したのだがどうしてもツンデレのような言葉になってしまう。

そのせいで更に恥ずかしくなっていくのだが……。

「俺は咲夜の事が好きだ」

「~っ!!

よくもそう平然と言えるものですわね!」

私は嬉しさのせいで空回りし、そんな言葉を吐きかけた。

ししてから自分の言った事に気付きヤバイ……と思い弁明しようとするが天也は明るく笑った。

私は結局、何も言わずに立ち去るのだった

そしてしばらく歩いたところで私はふと立ち止まり、來た道を引き返す。

「天也」

「どうした?」

私は天也の前に行くと先程言おうと決めた事を必死に口に出そうとする。

しかし、だ。

天也の前にきて、いざとなると言葉が出なくなる。

「咲夜?」

心配そうに見つめてくる天也に私は意を決して口を開いた。

「た、天也!

し、明明後日、あ、空いて…ますの?」

「空いているが……どうかしたのか?

顔が赤いぞ?」

そう言って天也は私の額にれる。

熱があるのか確かめただけなのだろうがそれだけで凄く恥ずかしくじた。

「ゆ、遊園地……。

ふ、2人で遊園地に行きたい…ですわ」

私はきっと今、顔を真っ赤に染めているのだろう。

それは先程よりも赤くなっているに違いない。

そんな確証があり、私は天也から顔を背けた。

「あぁ、行こうか。

明明後日…9時に駅でいいか?」

「っ……は、はい…!」

ホントの事を言うともうし早めの時間に行き、2人きりの時間を取りたかったのだが……まぁ、遊べるだけでいいとしよう。

「あ…咲夜、悪いんだが……やはり、8時からにしないか?」

「いいと思いますわ。

そういたしましょう」

私の考えを読んだかの様なタイミングだった。

だが、そんなことがどうでもいいとじる程に嬉しかった。

「では、私はやることがあるので失禮しますわ」

「あぁ、夕食前に迎えに行く」

「…では、お待ちしている事に致しますわ」

~天也~

咲夜が戻ってきたと思ったらなんと、デートのいだった。

赤くなりながらってきた咲夜が可く思わず抱きしめたくなってしまうがそれを堪え俺は了承すると咲夜はパァッと花の咲くような笑みを浮かべた。

ほんのりと朱のった頬と會い極まって余計に可さと可憐さを醸し出していた。

そんな咲夜の様子を寫真に収められたら……そうは思うもののそれでは咲夜のファンクラブや悠人先輩と同じだろうと振り払う。

「明明後日…9時に駅でいいか?」

そう尋ねると嬉しそうに…だがしだけ殘念そうな表を咲夜は浮かべた。

どうやら時間が不服らしい。

遅い方がいいのか、早い方がいいのか……。

そう考えたところで來週には咲夜が留學へ行ってしまう事を思い出した。

となると留學までに2人で長時間いられるのは明明後日が最後になるだろう。

それを思うと俺は自分のみを通す事にした。

「あ…咲夜、悪いんだが……やはり、8時からにしないか?」

すると、咲夜は殘念そうな表を一転させ嬉しそうに顔を綻ばせた。

これは、期待していいのだろうか?

咲夜も俺と一緒にいたいのだと思ってもいいのだろうか?

俺は、咲夜に好かれていると考えてもいいのだろうか?

しばらく考えた結果、心の中ではどう思おうと勝手だろうと自分にとっていい方を選ぶ事にした。

もしそうでなくともそう思わせてしまえはま俺の勝ちだ。

俺は1人となったこの部屋でニヤリと笑みを浮かべた。

どうやら俺は思ったよりも手段を選ばない人間だったらしい。

ただし対象は咲夜に限るが……。

俺はその日に備え準備を始めたのだった。

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