《同級生が新たな家族に!!》友達との嫌な再會
俺の耳には今こんな音が流れている。
ピピピピッ!ピピピピッ!
そして、これが無限ループしている。
俺はこの音を無視し続けていたが、いい加減うざくなってきたので、目をつむったまま、音のする方向に手をばし、目覚まし時計のボタンを押した。
すぐに音は止まったが、俺の眠気も同時に飛んでしまったようだ。仕方なく目を開けることにした。
すると、昨日の出來事を一気に思い出してきた。
昨日は、朱音とデートをして、名前で呼び合うことになって、父さんには家族を許可されて……こう考えると、今までで一番濃い一日だった気がするなぁ……うわぁ…思い出すだけで恥ずかしくなってきた。
俺は、だんだんと顔が赤くなってきてるのを自覚した。
やめよう、昨日のことを思い返すのは。今はこれからのことを考えよう。
えっと…今日は婚姻屆けを出しに行くんだっけ……また何かありそうだな。それに、明日は引っ越しなんだから、今日は忙しくなりそうだなぁ……よしこんなところか。とりあえず、著替えよっと。
俺はベットを降りて、部屋著に著替えることにした。
次に、スマホのチェックをする。通知などがってたことはないが、これは朝起きた時の日課だ。
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今日は、珍しい日のようで、通知がってた。それも、朱音からだ。
朝から、子とメッセージのやり取りができる日が來るとは思ってなかったので、し嬉しかった。
え~っと、なになに……なるほど。
昨日は寢てしまって、返事ができなかったようで、そのことについての謝罪とこれからよろしくという容だった。書いたのは、朝の七時のようだ。
春休みでも早起きか……ってことは、朝から部活なのかな?大変だな……
そう思いながら俺は、特に気にしてなかったので、そのように返事を書いておいた。
そして、朝食をとるために一階に降りた。
「おはよう、優」
「おはよう」
先に起きていた父さんとリビングで會った。俺より先に朝食は済ませていたようで、今はテレビを見ている。
俺も自分の分の朝食を用意した。
ちなみに、雨宮家の朝はいつもパンと牛だ。理由は簡単で、朝はそんなに時間がないことと、洗いがなくて済むことだ。それに、お互いに料理は苦手なのも理由の一つだったりする。
今日は、イチゴジャムにしよっと。
俺はジャムを塗り、そのパンを十分もしなうちに食べ終え、牛も飲み終えた時に父さんが話しかけてきた。
「なあ、優。一つやってほしいことがあるんだけど、頼めるか」
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早速仕事のようだ。
ゆっくりしたいというのが本音だが、たぶん引っ越し関連のことだろうから、仕方ないと思うことにした。朝に覚悟はしてたしな。
「俺にできることならやるけど」
「ああ、大丈夫だ」
「なら、やるよ。それで、何をすればいいの?」
「優の隣の部屋あるだろ?」
「ほぼ置狀態になってるあそこ?」
「そう、そこだ。そこは今度から朱音ちゃんの部屋になるから、中のを出して、掃除してくれ」
「……へっ?」
父さんは今なんて言った?
「……父さん、もう一度言ってくれ」
「?だから、中のを……」
「いや、それより前」
そんな、お約束はやらなくていいから。まぁ、わかっててやってるんだろうけど。
こういう時の父さんは、いつもニヤニヤしていて、子供みたいだ。
「ああ、朱音ちゃんの部屋になるってことか?」
「そう、それ。なんで、俺の部屋の隣を朱音の部屋にしたんだ?」
他にも余ってる部屋はあるだろうに。なんでわざわざ俺の隣なんかに……
「優、意識しちゃってるのか?」
「いや……」
たしかに、隣が朱音の部屋になると聞いた時、生活音とかきこえちゃうよなぁとか、素の朱音を見ることが増えそうだなぁとかを考えた。
つまり、かなり意識していた。
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「どうなんだ?」
「……別にそういうわけじゃなくて、単に疑問に思っただけだから」
まぁ、本當のことを言う必要もないので、適當に濁しておく。
「まぁ、そうゆうことにしといてやる」
バレてるようだが、俺はそれに対して言い返したりはせずそのまま流す。
言い返しても、軽くあしらわれて反撃をもらい、痛い目を見るのは俺だからな。
「それで?」
「まぁ、たまたまだな。ちょどいい大きさの部屋がそこしかなかった」
本當かな?なんか裏がありそうだが、気にしないでおこう。
「そうですか」
「でも、朱音ちゃんが嫌だって言ったら変えるけどな」
「まぁ、そうだろうね」
朱音が嫌だって言ったら変えるべきだろう。無理強いすることはできない。
でもそうなったら悲しいな。俺の隣が嫌だって言われてるみたいだし。
……まぁ、今考えても仕方ないことか……とりあえずあの部屋を空けないことには、住むこともできないしな。
父さんは手伝ってくれないのかな?
「父さんは掃除を手伝ってくれないの?」
俺は直接聞いてみた。
手伝ってくれればすぐ終わるんだけどなぁ……
「俺は、唯さんが使うことになる部屋を片付けとくつもりだから無理だな」
「そうですか」
手伝ってはくれないようだ。
まぁ、さぼりはしないみたいなのでいいだろう。
話はもうないようで、父さんはまたテレビを見始めた。
俺も特に話すことはなかったので、食を臺所で洗い、洗面所に行き歯を磨き顔を洗った。
そして、二階に上がり、今度は俺の部屋ではなくその隣の部屋にった。
そこで俺は、あまり見たくない景を目にした。
それは、大量のダンボール箱だった。よく見ると、部屋のところどころが汚れてたりもする。
うわ……この量は大変だぞ。それにところどころ汚れてるし、雑巾がけとかも必要じゃん。普通にやりたくねぇ……
だからといって、このままというわけにもいかない。明日には、朱音はこっちで住むことにもなるんだから。
朱音に隣の部屋を使ってもらうためにもいっちょ頑張りますか。
父さんのお願いではなく、自分のそして朱音ためにと思えばしはやる気が出てきた。
まずはダンボール箱を部屋の外に出すことにしたが、一つ一つが結構重い。部活をしていない俺には、かなりきつかった。
なんでこんなに重いんだよ。こいつの中はいったいなんだ?
気になったのでダンボール箱の中を見てみると、そこには俺の小學の時の教科書があった。
まじかよ。もしかして、これ全部俺のものか?
とりあえず、全部のダンボール箱を部屋の外に出して一個ずつ確認していく。
そこには、卒業アルバムやら、ノートやら、か何かで作ったと思われるものが出てきた。全部が俺のものじゃなかったが、だいたい六対四くらいで俺のものが多い。
なんで、整理しなかったんだよ…そうすれば、無くしたと思ってた卒アルも見つけてただろうし、今日こんなに苦労することもなかったのに……
「はぁ……」
自然とため息が出ていたが、まだまだやることは殘っているので、やめるわけにはいかない。
とりあえず、俺のものがっているダンボール箱は俺の部屋に、それ以外のものは俺の部屋の向かいの部屋にれておくことにした。
時間があるときにでも確認してみよう。なにか、面白いものが見つかるかもしれないし。
それからは、掃除機をかけて、雑巾がけをした。
この作業は割とすぐに終わり、一階に降りて父さんに終わったことを知らせた。
「おつかれ」
そんな、短いねぎらいの言葉だけが返ってきた。
時計を見てみると、時刻はまだ十一時だった。
晝食まで時間もあるし、ダンボール箱の中でも確認しよっかな。
そう思いながら、自分の部屋に行こうとすると、家のチャイムが鳴った。
誰だろう?
「悪い優、代わりに出てくれ」
「わかったよ」
俺は、進む方向を変えて、玄関に向かった。
玄関のドアを開けるといたのは、唯さんだった。
「こんにちは、優君」
「こんにちは、朱音のお母さん」
唯さんとは、俺が勝手に頭の中で呼んでいただけである。
「優君、そんな呼び方じゃなくていいのよ。これから、優君の家族になるんだから」
「じゃあ…お義母さんと呼びます」
「う~ん、それでもいいけど……私も朱音と同じで、名前で呼んでもらおうかしら」
唯さんはニコニコしながらそう言った。
たぶん、俺が朱音を名前で呼んでいることに、何か思うところがあるのかもしれない。
「これからは、唯って呼んでね」
「えっと……じゃあ、唯さんで」
「うん、これが一番いいわね」
脳だけでなく本人を直接、唯さんと呼ぶことになった。
「えっと…とりあえずりますか」
「ありがとう」
外にいてもらうのは申し訳ないので、唯さんをリビングまで案して、父さんに合わせた。
「それじゃあ、俺は自分の部屋にいるから」
父さんと唯さんは何かを話していて、俺に要はないと思ったので部屋に戻ることにした。
まぁ、早く寶探しという名のダンボール箱あさりをしたかっただけなのだが。
「ちょっと、待ってくれ」
だけど、俺は父さんに呼び止められた。
「何?」
「俺と唯さんは、晝までに戻れないと思うから、これ晝食代」
そう言って、父さんから、二千円を渡された。晝食代にしたら多い気がする。
「なんか多くない?」
「朱音ちゃんの分も一緒だからな」
「朱音のも?」
「そうだ。唯さんも戻れないってことは、朱音ちゃんの晝を用意できないってことだろ?」
「まぁ、たしかにそうだね」
ああ、だいたいわかったぞ。一緒に晝食を食べて來いってことだろう?
「だから、一緒に済ませればいいと思ってな」
「わかったよ」
やっぱりな。予想通りである。
「この時間だと…朱音はまだ部活で學園にいるわ」
「てことは、朱音ちゃんを向かいに行かないとな」
「わかってるよ」
俺はいったん自分の部屋に戻り、部屋著から外出著に著替えてから、スマホで朱音にさっきのことと、學園近くのコンビニで待っているということを連絡しておいた。
今日も朱音と一緒かぁ……まぁ、俺は一緒にいて楽しいからいいんだけど、朱音はどう思ってるのだろう……やっぱりわからんな。もうこのことについて考えるのはやめるか。どうせ、答えなんて見えてこないしな。
そう考えてる間に、支度も整ったので、し早いが家を出ることにした。
俺の家から學園までは、歩いて約三十分くらいのところにあるが、今回はその近くのコンビニが目的地だ。
別に學園で待っててもよかったが、春休み中なのに學園にいるのはなんとなく嫌だった。
俺は、いつも登校時に使う道を歩いて、學園近くのコンビニへ向かうことにした。
道中では、晝食について考えることにした。
さて、どこで晝飯にしようか……
たぶん…學園に近いほうがいいよなぁ……
……全然思いつかねぇ。コンビニで立ち読みでもしながら考えるか。
そう考えて、俺はコンビニまでひたすら歩いた。
コンビニに著いたが時刻はまだ十一時半だ。たぶん、十二時くらいまでは部活だと思うので、朱音が來るまでの間は、予定通りに晝食のことについて考えることにした。
そして俺は、コンビニの中にり、雑誌などが売っているコーナーに向かった。先客がいたが、たぶん背格好からして、うちの學園のサッカー部といったところだろう。
俺は、邪魔にならないように隣に並び漫畫を読もうとした。
すると……
「優じゃねえか。お前、生きてたんだな」
「って、隼人じゃん」
こいつの名前は鈴村隼人すずむらはやとで俺の友達だ。
眉目秀麗、績優秀、スポーツ萬能といろいろと完璧な人間である。
部活はサッカー部でエースストライカーだ。
俺のもう一人の友達曰く「俺TUEEEE系ラノベの主人公かよ」との評価である。
欠點を上げるとすれば、たらしってとこだな。
一月もすればこいつの彼は変わっている。
いい加減、一人にしぼれよと思うのだが、隼人は今の生活が楽しいようで、やめる気はないらしい。
それに、いろんな子と付き合ったからなのか、とか子の噂とかにはめっぽう強い。俺もよく聞かされる。
「お前、なんでここにいるんだよ」
「俺は部活が始まるまでの暇つぶしだ。お前こそ珍しいな。こんなところで何してるんだ?」
「まぁ、俺も似たようなもんだ……」
「部活にってないのにか?」
「……こっちにもいろいろと事ってもんがあるんだよ」
俺がここにいる理由は、言いたくなかった。
朱音を待ってるんだ、なんて言ったらめんどくさいことになるに決まってる。
「まぁいいや。それより聞いてくれよ、ビッグニュースがあるんだ」
「な、なんだいきなり」
「聞いて驚くなよ」
「うん」
「……」
「……」
隼人は無駄に溜めた。
もう、気になるから早く言ってくれ。
「あの雪村朱音に彼氏ができたらしい」
「えっ……」
朱音に彼氏?なんだそれ。朱音そんなこと言ってなかったよな?それとも、いたけど黙ってたってことか?いたのなら、なんで俺とデートなんてしたんだ?
なんだか、混してきたぞ。
「隼人、どうゆうことだ?」
俺はことの詳細を知りたくなったので、すぐ隼人に聞いていた。
「俺の彼がな、『今日、雪村さんが男の人とショッピングモールを歩いてるのを見た』って、昨日わざわざ連絡してきたんだよ」
「……」
その話を聞いて、俺の混は収まった。だって、その男って俺のことだし。
しかし、今度は驚いていた。
なぜなら、誰かに見られていたとは、思っていなかったからだ。
だけど、誰かまでは特定されてないようだから、その男が俺だとはまだバレていないだろう。
でも、この話が続くようならバレるかもしれないので、この話題を切り上げる方向で話を持っていくことにした。
だって隼人のことだ、バレたらめんどくさいことになるに決まってる。
「そうか、とうとう朱音にも彼氏が……」
「朱音?お前たちってそんなに仲良かったのか?」
「……」
出だしからやらかした。
朱音と呼ぶのに一日で慣れていたので、朱音と呼んでしまったが、この話をしてる時にこれはいろいろアウトだと思う。
やらかした……でも、まだごまかせるよな?強引に話をもっていけばあるいは……
「間違えた、雪村さんって彼氏できたんだ」
「お前、何か隠してるだろ」
「……別に、何も隠してないぞ」
「噓つくな。そもそも、雪村さんと話したこともなかったくせに、今日會ったらいきなり名前で呼んでいるなんて怪しすぎるだろ」
「いや、だから、それは言い間違えて……」
「もしかして、彼氏ってのは、優、お前のことなのか?」
もう、ダメですね。強引に行けば何とかなると思っていた、俺がバカです。
俺はもう、隠すことをあきらめた。
もう隠しきれないって思ったからな。
「実はな……」
俺は、昨日の出來事を要點だけまとめて簡潔に話した。昨日のことを、事細かに話したら恥ずかしさで死んでしまう。
俺が話してやると、隼人は案の定驚いた顔をしている。
「お前…それまじか」
「ああ、まじだ」
「なんか、優に負けた気分」
「どうゆう意味だよそれ」
「俺が落とせなかった子をお前が落としたんだ。負けた気分にもなるだろう」
「落としたって……俺と朱音はそもそも付き合ってないから」
今さら、朱音を苗字で呼ぶなんて変だと思ったし、嫌だったので俺は名前で呼んでいた。
「また、名前呼びだし」
「……別にいいだろうが」
ちなみ、隼人は一年の時に朱音に告白して、普通に振られていた。
その時の、こいつの落ち込みようは、かなりのものだった。たぶん、俺に落とせない子はいない、と思っていたのかもしれない。
というか、俺に負けたも何も、俺と朱音は付き合ってないんだけどなぁ……
俺と朱音は家族になるのであって、付き合うわけではない。
だから、俺は隼人にくぎを刺しておいた。事実とは違う噂が流れるのだけはごめんだからだ。
「一つだけ言っとくけどな、変な風に広めるなよ。俺と朱音は家族になるのであって、付き合ってるとかじゃないんだから」
「わかったって」
「本當だろうな」
「ああ、神に誓っても本當だ。だがな、子の報伝達速度は異常だからな。俺には止められるものじゃないぞ」
「うっ……」
たしかにそうだな。てことは、もう噂として広まってるかもしれない。だって、隼人が知ったのだって、彼からなんだし。そこから一気にと考えるのが妥當だろう。
最悪だ。春休み開けの學園が地獄なような気がしてきた。というか、今日朱音は大丈夫だったのだろうか?後で聞いてみるか。
そう考えていると、スマホに朱音から連絡が來た。
部活が終わって今からこっちに來るそうだ。
ようやく、俺はこのコンビニから出られるようだ。というか、早く隼人から解放されたい。
「誰から、メッセージが來たんだ?」
だけど、朱音が來るまでは俺は隼人から解放されない。
早く來てほしいなぁ……
「別に、誰でもいいだろ」
「メッセージが來たことは、否定しないんだな」
「うっ……」
「まぁ、どうせ雪村さんだろうがな」
「……なぜそう思う」
「さっきまでの話と、お前がここにることの不自然さから考えてだな。ここで待ち合わせでもしてるんだろ?」
「……」
完璧な推理です。
俺は、逃げも隠れもできない気がしたので、俺は黙ってることにした。何も言わなければ、墓を掘ったりすることもないしな。
「優、何とか言えよ」
「……」
「お~い」
「……」
「黙するなっての」
「……」
するとようやく、校門から出てくる朱音の姿が見えた。
今の俺には、神に見える。俺は、とうとう隼人から解放される。
「じゃあ、俺はもう行くわ」
「おい、待てよ。逃げるのか」
そう、俺は逃げるのだ。
俺は、隼人に返事をせずにコンビニを出た。
隼人はついてこない。なんだかんだで、こういうときの空気はちゃんと読めるやつだ。
でも、コンビニからここは丸見えだから、だぶん見てることだろう。そして、休み明けに何があったか聞いてくるに違いない。
休み明け、學園に行きたくねぇ……
そんなことを考えながら、校門あたりにいる朱音のところに向かった。
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