《同級生が新たな家族に!!》朱音との晝食
コンビニから出て朱音のいる校門まで行く間に、俺は一つの問題に直面していた。
やべぇ……晝飯食う場所決めてないや。
コンビニで決めようと思っていた俺は、隼人という思わぬ刺客いたことで、晝食について考えることができなかったのでしょうがないと思う。
やっぱり、來る途中で考えておけばよかったかなぁ……まぁ、過ぎてしまったものは仕方ない。晝飯は朱音の行きたいところにすればいっか。俺の行こうとしたところが、朱音の好みってわけじゃないだろうしな。うん、これで朱音の好みを知ることができるかもしれないから、結果的に良かったのかもしれないな。朱音の好きなものとか興味あるしな……
言い訳みたいな結論を出した時には、朱音のところまで來ていた。
朱音の姿は、まさにテニスという格好だ。服裝はテニスのウィンドブレーカー、靴は履き替えたのか普通の運靴だが、背中にはラケットバッグを背負ってある。なんとなく、中學時代を思い出して懐かしくなった。
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そんな格好の朱音は、校門の邪魔のならないところに立っており、俺が來るまで待っててくれたみたいだ。たぶん、俺がコンビニからここに向かってるのが見えたからだろう。
「朱音、部活お疲れ」
「うん。優君もここまで來てくれてありがとう。でも、コンビニで待っててくれてもよかったんだよ?」
「いや、まぁ……朱音の姿が見えたからね、迎えに行こうかなってね……」
「そうなの?ありがとう、優君」
朱音に満面の笑みでそう言われた。
本當は、隼人から逃げるのに朱音を利用したなんて、この笑顔を見たら口が裂けても言えない。この事実は闇に葬ってしまおう。今日は隼人に會っておらず、朱音が見えたから迎えに行こうと思った。これが唯一無二の事実だ。
また、言い訳のような結論を出す俺であった。
「それで……どこでご飯食べよっか?」
朱音はすぐに本題にってくれた。さっきのことをもう考えなくてもいいんだと思えて、罪悪がし薄れた。
だが、この話題も俺にとっては肩の狹い話題である。まぁ、俺が晝飯の場所を決めてないのが悪いんだけど……でも、朱音の好みを知るためってことにさっきしたんだし、これ以上考える必要はないだろう。
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俺は、その方針に従って話を進めることにした。
「今日は朱音の行きたいところにしない?」
「私の行きたいところ?」
「そう。昨日は俺の行ってみたかったところで食べたから、今日は朱音の行ってみたいところがいいかなって思って」
結果的にそうなったとはいえ、朱音の好みを知りたいから決めてとは恥ずかしくて言えず、昨日のことを利用して遠回しに朱音に決めてもらう流れにした。
「そんなこと気にしなくていいのに」
「いいからいいから。で、朱音はどこで食べたい?」
「えっと……本當に私が決めていいの?」
「もちろん」
「実はね……行ってみたかったところがあったんだよね」
「そうなの!?」
それなら、朱音に決めてもらってよっかた。それに、朱音の行ってみたかったところとはどこだろうか?めっちゃ気になる。
「うん」
「どこ?」
「それはね……著くまで」
「……」
朱音はちゃめっ気たっぷりにそんなことを言った。
俺は朱音のその表にドキッとしてしまう。
「えっと……」
でも、朱音はといった。店名くらい教えてくれれば連れていくことも可能だが、これじゃ無理だ。さて、どうしたものか……
「もちろん案するよ。優君行こ」
まぁ、そうしてもらうほかないよな。俺には行き先はわからないわけだし。
「うん。お願い」
俺がそう言うと、朱音は俺の隣に來た。それから、一緒に歩きだす。昨日の帰りの時よりも距離は近いような気がした。
ちなみに、俺たちが話している間、周りには數人だが學園の生徒がおり、「お互いに名前で呼んでる」とか、「俺も雪村さんと飯に食いてえよ」とか、「やっぱり、あの噂は本當なのか」とか聞こえてきたが俺は全部無視していた。朱音にも聞こえていたと思うが、そんなのは全く気にしてすらいないじだった。
また、俺たちの噂が一つ増えたのかな?はぁ……めんどくせぇとか、思いながら俺は朱音の隣を歩いていた。
道中、どこに行くのか聞いても教えてくれなかったので、黙って朱音の隣を歩いていた。
「著いたよ」
朱音にそう言われたが、俺は「えっ、もう?」ってじだった。
だって、俺たちが今いるのは學園からそんなに離れておらず、徒歩十分くらいの場所だからだ。ここにある店といえば、牛丼屋、ラーメン屋、ハンバーガーショップなどである。どれもこれも、俺が來たことあるような店だ。
そして、俺たちは一つの店の前で立っている。
「えっと……ここに行きたかったの?」
「うん、そうだよ。……もしかして嫌だった?」
朱音は、とても申し訳なさそうな顔で俺に聞いてきた。
「全然嫌じゃないよ。俺、ラーメン好きだし。ここおいしいしね」
「そうなの?よかったぁ……」
朱音は、本當にほっとした顔でそう言った。
俺たちが今いるのは、一つのラーメン屋の前だ。ここは、學園の帰りとかに友達と一緒に來たりしている。
でも、ここに行ってみたかったなんて予想外だ。朱音がって言うから、てっきり俺の知らないようなところかと思ってた。
「店の前にいるのも変だし、中にろうか」
「うん」
そう言って俺はいつも通りに、朱音はし楽しみな様子で店した。
店の中は、晝時ということでかなり混雑していたが、ちょうど小上りが空いたのでそこに座るができた。俺たちは今、座ってメニューを見ている。
「朱音は何にした?」
「醤油ラーメンにしたよ。優君は?」
「俺は味噌かな」
「味噌が好きなの?」
「好きっちゃ好きかな。でも、味噌だけってわけじゃないけどね」
「そうなんだ」
朱音はそう言いながら何か納得したような顔をしていた。
なんでそんな顔をしたのかはわからなかったが、とりあえず俺は店員を呼び二人分の注文をする。今はほぼ満員なので、出てくるまでしばらく待つことになりそうだった。
「そういえば、なんでここに來たかったの?」
俺は疑問に思っていたことを聞いてみた。
「えっとね……私、ラーメンが好きなんだ」
「そうなの!?」
「うん。それで、よく帰るときのこの店見るんだけど、一人でってのも嫌だったし、かといって誰かと來る機會もなかったからね……だから今日はいい機會かなってね」
「そういうこと」
ラーメンが好きとは意外だったが、朱音の好みを知ることができたので、晝食の場所を決めてもらってよかったと思う。
「そういえば、優君はここに來たことあるの?」
「あるよ。さすがに一人では來たことないけど、友達とならね」
「そうなんだ」
それからしばらくして、俺たちが注文したものが來た。
「いただきます」
「いただきます」
二人同時に食べ始める。
「この醤油ラーメンおいしい!」
「やっぱり、ここの味噌は味い」
「そうなの?今度頼んでみよっかな」
「そうしな。ここのは味いから」
「うん。また來ようね」
「暇な時ならいつでも」
そんな約束をした後は、話さずにラーメンを食べた。
食べ終わった今は、し休んでいる。そして、これからについて俺は悩んでいた。
父さんには、晝飯を朱音と一緒に食ってこいしか言われてなかったんだよなぁ……この後は朱音を送って家に帰ればいいのか?まぁ、それしかないかな。一緒にいても今日はやることないだろうし。それに、朱音は部活で疲れてるだろうし。
「朱音この後だけど……」
「ねえ、優君」
朱音は俺の言葉をさえぎって話しかけてきた。
「うん?何?」
「この後は、暇?」
「まぁ、そうだね」
まだ、どこか行きたい場所があるのだろうか?それなら付き合うけど……どこだ?
「ちょっとついてきてほしいところがあるんだけど……ダメ、かな?」
「もちろんいいけど。どこに行くかは……」
「それは……」
朱音はここに來る時と同じことを言ったが、今回はなんだか恥ずかしそうだった。
どこに連れてくつもりなんだ?朱音が恥ずかしそうにする場所ってことは、また洋服店かな。でも、なんか違うじがするなぁ……それとも男子と一緒じゃ恥ずかしい場所ってことか?……まったくわからん。まぁ、ついていけばわかるか。
俺はそう思い、とりあえず會計することにした。朱音は「私の分は私が払うよ」と言ってきたが、父さんからお金はもらっていたので大丈夫と斷った。
會計を済ませ、外に出た。
さて、どこに連れてってくれるのやら。楽しみでもあり、不安でもある。朱音のことだから、変なところに連れていくことはないだろうが、行き先がわからないのはし不安だ。
「じゃあ、行こうか」
そう言って朱音は歩き出した。俺は慌てて朱音のところに行き一緒に歩く。
やはり、どこか恥ずかしそうな雰囲気だった。
結局、行き先を聞いても教えてもらえなかった。だけど、なんとなく知ってる場所を歩いている気がする。この風景は……今は明るいが暗くすれば、昨日朱音を家に送った時の風景に似ている。てことは、ここは昨日の住宅街なのだろう。つまり、今の目的地って……
「……著いたよ」
朱音はし恥ずかしそうにそう言った。今俺たちがいるのは、朱音の家の門前だ。
俺はやっぱりなという思いが強い。ここまでくる風景がほぼ同じなら、予想は簡単だ。だけど、俺をここに連れてきた理由はわからなかった。
「えっと……ここって朱音の家だよね?」
「……うん」
「えっと……どうして?」
「あのね……引越しの手伝いをしてほしいなって思ってね……私何も片付けてないから……」
朱音は何か期待すようなそしてし恥ずかしそうな表をしてそう言った。
「あっ、もちろん、時間がないとか、嫌だとかなら帰ってもいいけど……」
だけど、すぐに悲しそうな表でそんなことを言う。
「いや、帰らないって。もちろん手伝うよ」
「本當?ありがとう」
そして今度は嬉しそうな表をした。
俺の手伝いたいという思いは本心だったが、朱音の家に興味もあった。子の家に興味を持つことは……まぁ仕方ないことだろう。
「じゃあ……どうぞ」
そう言って、朱音は俺の先を歩く。俺は朱音の後ろをついていくだけだ。
俺は、初めてる家ということで張しながら、そして子の家ということで恥ずかしく思いながら、朱音の玄関をくぐった。
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