《同級生が新たな家族に!!》登校初日
俺の周りには今、大量の一萬円札が舞っていた。そして、これらは全て俺のだという聲が直接脳に聞こえてくる。
これだけの一萬円札があれば、誰もが夢見たことはある世界中のゲームを買うことができるだろう。
そんなことを思いながら一人舞い上がっていると、突如地震に襲われた。
「うわっ!大きいぞ。これは震度七はあるんじゃ……あっ、俺の一萬円札が……待ってくれ!」
地震でできた大きな地割れに大量の一萬円札が落ちていってしまった。
どうしてこんなことに…………
なぜだが意識が薄れていった。それと同時に何か聞こえてくる。
「……きて……くん」
なんて言ってるんだ?よく聞こえないよ。それよりも今は、一萬円札が……
「……きて。優君」
きてっていったいどこにだよ。だから……
「起きて。優君」
「う、うぅん~~~」
そこで俺の意識は現実に戻ってきた。そして、目の前には最近よく見ている顔があった。
「おはよう。優君」
「おはよう…………えっと……どうしてここに朱音がいるんだい?」
「だって、七時過ぎても起きてこなくて、龍太さんに優君を起こしてくるように頼まれたんだよ」
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「そっか……それはありがと。ところで今何時?」
「七時十分だよ」
「マジか……」
俺は學園がある日はいつも七時には起きている。そうじゃないと遅刻してしまう可能が高くなるからだ。
もしあのままだったら學園に遅刻は確実だっただろう。登校初日から遅刻はなるべく避けたいものだ。
本當に朱音が起こしに來てくれてよかった。でも、寢顔を見られたのは恥ずかしいぞ。
そう思いながら俺は二度寢をしないように、とりあえずベッドから出た。それからタンスのほうに移する。
「著替えたらすぐに行くわ」
「うん。それじゃあね」
朱音が俺の部屋を出ていったのを確認してから著替え始めた。俺が通っている神代學園は制服がブレザーであり、し慌てすぎたのかネクタイのところで手間取ったが、今まで一番早く著替えることができた気がする。
それから、俺は一階に向かった。
もう皆テーブルについており、完全に俺待ちのようだ。
食事は皆で食べるのが、誰かが言い出したわけではないが雨宮家のルールのみたいになっていた。もちろん例外はあるけども。
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うわぁ……すげー申し訳ない。
そう思いながら俺もイスに座った。
俺の目の前にはご飯やみそなどの、これぞ日本の朝食といったものが並んでいる。
これも父さんが再婚してから変化したことだ。食事全般は父さんとの二人暮らしの時と比べてかなり改善されている。そして味も俺好みなのでかなり最高だ。
「ようやく優も起きてきたことだし食べるとするか」
「「「「いただきます」」」」
俺たちはいっせいに食べ始めると、父さんがニヤニヤしながら話しかけてきた。
「朝に朱音ちゃんに起こしてもらうのはどういうじだ?」
それはいつもの俺に対するからかいである。だが、俺もこれには慣れたもので対処法は心得ている。
「いいものだったよ」
まぁ、それは適當に流すというありきたりなものだが、これだと最小のダメージで済む。あくまで最小だがな。
「そりゃよかったな。でも、いくらいいものだからって毎日寢坊とかするんじゃないぞ」
「そりゃもちろん。朱音に迷がかかるしね」
「朱音ちゃんとは一言も言ってないぞ」
「そうだね。でも、誰かに迷がかかるだろうしちゃんと起きるさ」
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「優、なんか逃げるのがうまくなったな」
「いい加減慣れたからね」
俺たちの會話を聞いて唯さんは笑っていたが、朱音は恥ずかしそうにしていた。ごめんね。こうでもしないともっと大きな被害が出るんだよ。
しばらくして、食事を終えると俺は學園に行くときの癖でいつも父さんにあることを聞いていた。
「父さん、今月は何円?」
「……?優君どういう意味?」
「えっと、晝食代のことだけど……」
「えっ!優君っていつも購買で買ってたの?」
「いつもってわけじゃないけどね。近くのコンビニと半々ってところかな」
俺の家には弁當を作れる人なんていなかったので、いつも月の初めに晝食代をもらっていたのだ。だが、今日はいくら待っても出てこない。あれ、もしかして用意するの忘れたのか?てことは、実費かよ……はぁ……
そう思ってると、唯さんがテーブルに近づいてきて、そこに違いであるが二つのきんちゃく袋を置いた。これはまさか……
「はい。こっちの黒いほうが優君ので白いほうが朱音のね」
「これってもしかして……弁當?」
「うん、そうだよ。これからは作れる日は毎日お弁當だからね」
である。まさか、弁當を食べれる日が來るとは思っていなかったからな。
「ありがとうございます」
「よかったな、優」
「うん」
とはいってもまだ顔も洗ってないので、その弁當はひとまず置いておき、洗面所に行って歯を磨き顔を洗った。それから、自分の部屋からカバンをとってきてその中に弁當をれる。
そして、時間もちょど良い時間になっており、そろそろ學園に行くことにした。ちなみに、俺と朱音は別々に出ていくというのも変ということで、一緒に行くことになっている。おそらく、これから毎日一緒に行くことになるだろう。
「二人ともいってらっしゃい」
「「行ってきます」」
唯さんに見送られながら、俺たちは一緒に家を出た。
誰かと一緒に登校するというのは、一人で登校するよりいいものだ。それが子ならなおさらだろう。さらに言うとそれが彼だったら最高だ。
「クラスどうなってるかな?」
「う~ん……どうだろうね。たぶん違うクラスじゃないかな?」
「そっか……でも同じクラスだったらいいね」
「そうだね」
それに、こうやって話しながら登校するってのは彼云々を抜きにしても楽しくていいものだ。
「優君、お弁當もらったときすごい嬉しそうだったね」
「まぁ、憧れてた部分もあったからね。朱音はいつも弁當だったの?」
「うん。毎日そうだったよ」
「そっか。唯さんの料理はおいしいからな……なんか早く食べたくなってきた」
「フフフ、早弁はダメだよ?」
「わかってるよ」
俺たちが談笑しながら歩いていると、段々と俺たちを見てくる視線が増えてきた気がする。まぁ、これは朝出るときに予想はしていたし、仕方ないことだと思う。
なんせ、學園のアイドルと呼ばれている人が朝から男の人と歩いているのだ。これは面白いものだろう。
まぁ、こっちにしたいい迷なんだけど……これって見料をとったらいい額にいくんじゃないか?
「なんか、皆に見られてる気がする……」
だけど、ただ一人その理由がわからない人がいるようだ。まぁ、それはこの狀況を作っているご本人なんだけどな。
「そりゃ仕方ないだろう。だって、あの學園のアイドルが朝から男子と一緒に登校してるんだ。あいつらにとっちゃ、面白い景だろうさ」
「もうっ!その學園のアイドルってのは言わないでよ!」
朱音がそう言いながら俺の腕を肘で小突く。それを見ていた周りがさらに盛り上がっていた。
そんなことしたら、余計に周りから見られると思うんですが……
「悪かったって。でも、周りはそういう目で見てくるぞ?」
「優君も同じように私のことを見るの……?」
朱音は上目遣いでそう聞いてきた。だから、それは反則だって言っただろうに……
「俺はそう思ってないけど、周りは……」
「周りのことは別に気にしないからいいの」
「そうですか……」
まぁ、朱音がそう考えているなら別にいっか。朱音もしたくて學園のアイドルなんかをしてたわけじゃないしな。
さて、學園までもうしだけど、この好奇の視線はどんどん強くなってくことだろうなぁ……はぁ……
俺はし憂鬱な気分になりながら、學園へと向かった。
私立神代學園。これは都にある。
クラスはA~Dまでの四クラスで、一クラス四十人だ。
學園の大きさはかなりでかく、グランドは陸上競技場かというほどのでかさであり、なんせ土ではなくタータンだ。それにテニスコートは三面ありハードコートで観客席付きである。その他の施設もかなり充実したものになっている。
なぜここまですごいのかというと、學園の理事長様のモットーがやるからには全力でらしく、それで施設をこれでもかとそろえたらしい。まぁ、これは噂なんだけど、ここまでのものなのでおそらく事実だろう。
そんな、俺の學び舎には先ほど著いたのだが、やっぱりというか俺たちを見る視線がやばい。好奇の視線とか嫉妬の視線とか、または殺気のある視線とが半端ない。
そんな中を朱音はどこ吹く風として歩いている。
朱音、マジで気にしてないんだな。
そんなことを思いながら、クラスが発表されているところに向かった。
「さて、どこのクラスだろうかぁ……」
これによっては楽しい學園生活が送れるかが決まってくる。もし、知ってる人がいなけらば一から関係を作らなければならないからな。
そう思いながらA組から見ていくが、そこに俺の名前は載っていなかった。朱音の名前もなかった。sて、次はB組のほうに行くか……
B組が載っているところに行ってみたが、なんとなく人が多いような気がした。それに、俺たちと名前が載っているところを互に見たりしている。どうしたんだ?ま、いっか。
「えっと、ここには……あった!」
ここにはちゃんと俺の名前があったそれに……
「朱音も同じクラスみたいだね」
俺の名前の下に雨宮朱音と記載されていた。
「えっ!あっ、本當だ!」
朱音はすごく嬉しそうだ。本當に俺と同じクラスになりたかったらしい。俺ももちろん嬉しい。やっぱり知ってる人は一人でも多くいた方がいいしな。
「隼人たちも同じクラスかな……」
と、ほかのやつも探そうとしたが、なんだか周りが騒がしくなってきた。
「おい、やっぱり雨宮朱音って、あの雪村さんのことだぞ」
「でも、苗字が違うってどういうことだ」
「……考えたくもないが結婚したってことだろう」
「おいおいマジかよ。法律機能してねーじゃん」
「あの、雨宮優ってやつ一生恨んでやる」
ここだけ人が多い理由が今わかったぞ。朱音の苗字が変わっていて混していたということか。
だけど、俺たちが結婚したってのはいくらなんでもおかしいだろ。それに結婚したのはあくまで親であって俺たちじゃない。これは大きな違いだ。
俺はそれにうんざりしていたが、朱音は別の反応を示していた。簡単に言えば、顔を赤くしていた。
そんなことしたら、余計に誤解を生むことになると思うんですけども……
朱音のこともあって今すぐ事実を言いたかったが、今そんなことを言っても収拾はつかないと思ったので、俺は逃げるように朱音と一緒に學園の中にっていった。
中にったからといって、俺たちを見る目が減るというわけでもなく、むしろ増えている。
俺も、ここまで來たら気にすのをやめた。そうでもしないと神が疲れて今日一日持たない気がしたからな。
教室にいると、皆してこっちを見てきたが、そんなのは無視して俺は黒板に書いてある自分の席に向かった。
「それじゃあ俺あっちだから」
「うん。またね」
俺の席は、窓側から二列目の一番後ろの席だ。朱音はというと、窓側の一列目の一番前だ。
朱音はし殘念そうなじで自分の席に向かっていった。すると、周りに一気に人だかりができる。
あれは、質問攻めだろうなぁ……まぁ、頑張ってくれ。
俺はそう思いながら自分の席に行き、イスに座りぐったりしながら時間が過ぎるのを待つことにしたのだが、すぐに俺の右隣に一人の男子に話しかけられた。誰だ?俺の安念を邪魔するやつは。
「よっ、優。今回も同じクラスだな」
「って、なんだ隼人かぁ……」
「なんだよ。もっと喜んでもいいんだぜ」
「そんなこと言ったって、こっちは朝から疲れてんだから仕方ないだろ」
「それもそっか。學園のみんなにとってはビックニュースだからな」
「はぁ…………」
隼人は俺たちの関係をちゃんと理解している數ない人間だ。こいつも向こう側の人間になっていると考えたら、かなりめんどくさいことになっていただろう。
あの時會えて、よかったかもしれない。
「よっ。お前雪村さんと結婚したのか?」
そんなことを思っていると、外でも聞いてきたことを言いながら俺の背中を叩いてきたやつがいた。誰だこら!普通に痛いじゃねか。
俺はそいつがいる方に向くとそこには俺のもう一人の友達がいた。
「って蓮夜れんやかよ」
「誰だと思ったよ」
「そこら辺の野次馬連中かと……」
「ひっでぇーな。聲でわかれよ。一年の付き合いだろう?」
「所詮一年の付き合いってことよ」
「うわぁ、それは傷付いたは。もうお婿にいけない」
「勝手にしろ」
「まぁ、そんなことは一部どうでもいいんだが……また一緒だな」
「……ああ」
何が一部なのかわかりたくもないが、ここで一つこいつの紹介をしておこう。
名前は古川ふるかわ蓮夜。長は俺より低く、眼鏡をかけている。
勉強もそこそこでき、スポーツもそこそこできるといったどうも中途半端なじの人間だ。
顔はモテそうなのだが、なんせオタクであるので子からは敬遠されている。
ちなみに、俺の家にギャルゲーを置いていったのはこいつだ。
「それで、お前結婚したのか?」
「違う」
「さすがに法律は守らんとダメだぞ。ギャルゲーでもそんな作品は俺でも知らんし……つまりお前は今ゲームを超えた存在なんだな」
そんなことを言いながらを俺を崇め始めた。やめてくれ恥ずかしいし、周りの目が痛い。
「崇めるのやめろ。後、俺は結婚してない」
「でも、苗字が変わってたぞ。それが何よりの証拠だろう」
そう言って、蓮夜はバシッと俺をゆびで刺してくる。こいつ、今は検察気取りだな。
俺はそれに便乗することなく、普通に対応する。
「ああ、もうめんどくさい。あのなぁ、簡単に説明すると俺の親と朱音の親が再婚しただけだ」
「何だそれだけかよ。後、名前呼びとかマジワロス」
「それだけだよ。後、ワロス言うな。家族で苗字で呼び合う方がおかしいだろうが」
「まぁ、それもそっか。でも、なんだかつまんねえなぁ……あっ、そうだ再婚したってことは一緒に住んでるってことだろう?」
「ま、まぁ……」
うわぁ、嫌な予がする……
「てことは、あんなことやこんなことがあったんじゃないのか?」
「あっ、それ俺も気になる。教えろ優」
「何を想像してるかは知らんが、そんなことはなかったぞ」
「いやいや、ギャルゲーではよくあるイベントだ」
「現実とギャルゲーを一緒にするな」
まぁ、実際には一回だけあったんだけど、そんなことを言えるはずもなくごまかすしかない。
「まぁ、それもそうだな。現実で起きないからゲームの中で実現させてるわけだし」
「そういうことだ」
蓮夜は勝手に自分で結論付けて勝手に納得してくれた。
いやぁ、本當に助かる。あのまま言い詰められたら、何を言っていたかわからないからな。
俺はそう思って、もう一つの懸念事項も解決することにした。
「そうだ隼人、頼むけどこのことを噂としてやんわりと流してくれねぇか?」
「このことって……優と雪村さんが結婚したってことか?」
「……お前は何を聞いてたんだ?」
「冗談だって。そんな怖い顔するなよ。再婚のことだろ?」
「……ああ、頼む」
隼人は顔も広い。こうしておけば、いらぬ噂も出回らずちゃんと事実がつたわることだろうきっと。
はぁ……朝のホームルームが始まる前からこんなに疲れるとはな……
「そうだお前の席どこだよ」
「俺はお前の前の席だ」
「マジか……」
俺の右は隼人、俺の前は蓮夜と知ってるメンツで埋められた。まぁ、知らないやつが來るよりは斷然いい。
俺の左の席の人はまだ來てないみたいだな。誰が來るんだろう……男子か?それとも子か?う~ん……まぁ、どっちでもいっか。俺の友達なんてこの二人だけだなんだし……そう思うとなんか悲しくなってきたなぁ……はぁ……
「久しぶり」
なんか一人で落ち込んでいるとひどく懐かしい聲が聞こえてきた。その聲は昔はよく聞いていたが、ここ數年は全く聞いていなかった聲だ。
俺はその聲が聞こえてきた方向、つまり左の席に顔を向けた。そこには……
「……未來みく?」
およそ四年ぶりに聲を聞いた馴染がいた。
もしも変わってしまうなら
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