《同級生が新たな家族に!!》俺の馴染
俺には四宮未來しのみやみくという名前の馴染がいる。
未來とは稚園の時から通っていたピアノ教室で知り合った。同い年だったのでよく一緒にいたし、連弾なんかもしたことがある。
だからだろう、いつのまにか俺たちはかなりの仲良しになっていた。二人でよく遊んだものだ。
俺たちの仲は小學校に上がっても卒業するまで続いていた。ちなみに、未來とはたまたま同じ小學校だった。
だけど、俺は中學校に上がる時に引越してしまい、それからは疎遠になってしまった。まぁ、最初のころはメールのやり取りはしていたのだが、段々としなくなっていってしまったのだ。
そして、俺が神代學園に學したその日の廊下でたまたま一人の子と目があった。その人が未來だと俺にはすぐにわかった。確かに、長もびていたりとの変化はあったが、あの茶髪と顔を俺が忘れているわけがなかった。
俺は久しぶりに會えて嬉しかったので話したくなり未來のほうに行こうとした。すると未來は、俺のことは知らんとばかりに目をそらし、どこかへ行ってしまったのだ。
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その時の俺はかなり落ち込んだ。もしかして忘れられたのか?などといろいろと考えたりもした。
だけど、三年も會っていなければそういうこともあるかと考えて、それからは未來のことは気にせずに普通に生活をしていた。
それが今日いきなり話しかけられたのだ。學園にってから一度も話してこなかったのにだ。
俺には、未來と話せる喜びよりも、なぜ今更という思いがあった。
「なんでそんな顔してるのよ。……もしかして私のこと忘れちゃった……?」
未來は悲しそうな顔でそう言った。
俺が未來のことを忘れる?そんなことあるはずがない。あれだけ昔一緒にいたんだから。というか、そもそも忘れてたのは未來の方じゃないのか?
そんな、怒りにも近い思いが俺の中を渦巻いていた。
「俺がお前のことを忘れるわけがない」
俺がそう言うと、未來は嬉しそうな顔をした。
「というか、未來こそ俺のこと忘れてたんじゃないか」
だが、今の俺の言葉でまた表を変えた。最初は驚いたようなじだったが、今では怒っているようだった。
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どうしてお前が怒るんだよ。意味わかんねーよ。
「はっ!?なんでそうなるのよ」
「だって、一年の時一度だけ目があったよな?そしたらお前、目をそらしてどこかに行ったよな」
「それは……」
「ほら見ろ。忘れてたのはお前のほうじゃん」
俺は知らず知らずのうちに語気が強くなっていた。
それは、未來に忘れられていたという事実に対する怒りと悲しみのせいだろう。
なんだかんだで、未來は俺にとって大きな存在だったようだ。
「……」
「……」
未來はまた悲しそうな顔をしていた。
一方俺はし冷靜になってきたので、いったいなにしてんだろうなという思いがこみ上げてきている。
今更昔のことを持ち出しても意味はないよなぁ……それに、あれは俺の中で納得したことだったろうに……
今はまた話せることを喜べばよかったのだろうと思う。そうすれば、こんな言い爭いなんか起こることもなかったはずだ。やらかしたなぁ……
そう思っていると朝のホームルームを知らせるチャイムが鳴る。
はぁ……これからやっていけるのか?
そう思てしまうような朝だった。
あれからは、俺たちの擔任になった金森かなもり先生の自己紹介、始業式、學式の準備をした。
そして、今は晝休みなので晝飯を食べることができる。一年の時は隼人と蓮夜と俺の三人でいつも食べていたので、二年にもなっても同じクラスだしそれは変わらないだろう。
だが、俺の晝飯には変化があった。それは、唯さんの弁當である。
さて、何がってるか楽しみだなぁ……
そう思いながら弁當をリュックから取り出そうとしていると隼人に話しかけられた。
「あれ?優、今日は購買の日じゃないのか?」
ああ、隼人は俺が今日から弁當って知らないんだったな。俺が弁當って知ったら驚くだろうなぁ……
「ふふふ、聞いて驚くな」
「お、おう……」
「実はな……俺も今日から弁當なんだよ」
「……マジ!?」
「マジだ」
驚いてる驚いてる。いやぁ、久しぶりに隼人のこんな顔見たわ。
「蓮夜、こいつ今日から弁當だってよ」
隼人は手洗いから戻ってきた蓮夜にそう言った。
「マジで!?」
「マジだ」
驚いてる驚いてる。うん、なんかいい気分。
だったのだが、次の蓮夜の言葉でそんな気分も消え去った。
「それはあれか?雪村さんの手作りか?」
「はい!?」
蓮夜の言ったことは俺の予想外だった。早く見せろとか、食わせろとは言われるとは思っていたが……
まさか、朱音が作っただと言うとは思ってなかったぞ。いや、まぁ、作ってくれたらそれは嬉しいけども……
そんなことを考えていると、周りからの視線がすごいことに気付いた。
それは、嫉妬だったり、殺意だったりと主に男子からのものだ。それに俺の左隣からも見られている気がするがたぶん気のせいだろう。
はぁ……蓮夜があんな噓を大聲で言うから……
それに蓮夜の聲は無駄に大きかったのでおそらく教室中に聞こえてしまたのだろう。しかも、絶対にわざとだ。
どうせそうした方が面白いからだろうが、俺からしたらめんどくさいだけだ。
「違うって。これは唯さんが作ってくれたものだし」
「ここにきて新しい子の名前が……優、浮気してるのか?」
今の言葉を蓮夜が発した瞬間に、教室の溫度が下がった気がする。
周りからは、「二とかサイテー」、「雪村さんという人を持ちながら……」などと言われ始めている。
「いやいや、朝も言ったように俺は朱音と付き合ってないし。それに唯さんってのは俺の義母さんのことだから」
俺は慌ててそう言った。これ以上変な噂が立つのだけは勘弁してほしかった。それに、二の相手が朱音の実母とかいろいろとやばい気がする。
でも、唯さんが聞いたらなんか喜びそうだなぁ……「優君に好かれるなんて嬉しいわ」くらいは言われそうな気がする。そこに、父さんがってきて……うん、これ以上はやめよう。
「なんだ、優の義母さんの名前か。俺はてっきりギャルゲーの最低主人公みたいになったのかと思っちまったじゃないか」
「そんなわけないから。ていうか、そもそも俺は誰とも付き合ってないし」
蓮夜はいつになったら俺の言ってることを信じてくれるのやら……いや、こいつのことだからただ面白がってるだけか。
「蓮夜そんなギャルゲーがあるのか?」
「ああ、あるとも。それはな……」
なんか話がそれて俺への追及がひと段落したようなので、とりあえず俺も手を洗いにいった。そして、教室に戻ってくると蓮夜のギャルゲー講座は終わっていた。
そして、隼人たちは何かを待ちわびているようだ。
「ほら、早く見せろ」
なるほど。こいつらでも俺の弁當に興味があるってことか。でも、やらんぞ。
「そうだぞ。早くその妻弁當を……」
「だから違うって!」
はぁ……蓮夜はまだそれを言うのか。それに、この場合の妻ってのは朱音なのか、それとも唯さんなのか……これは無駄な考えだな。やめよう。
そう思いながら、弁當の蓋を開けた。
そこにはご飯とおかずがきれいに詰められていた。おそらくバランスよくれていることだろう。
あっ、俺の好きなもってる。
「なんか、普通においしそうな弁當だな」
「そりゃそうだろ。唯さんが作ったんだから」
「優、まさか……本當に雪村さんの母さんが好きなのか?さすがに年の差と再婚していることは考えろよ。ギャルゲーでもあるまいし」
「だから違うって。それとギャルゲー言うな」
蓮夜の脳はいつもギャルゲーに支配されているようだった。
他にも春休みにあったことを話しながら弁當を食べていると、何かを思い出したような顔で隼人が俺に話しかけてきた。
「そうだ、優って四宮さんと面識があったのか?」
「えっ?」
いきなり未來のことを聞かれて俺は驚いていた。
確かに、俺と未來の朝の一部始終をまじかで見ていたこいつらにとっては気になることだろう。
「まぁ、稚園からの付き合いかな」
「そうだったのか!?」
「まぁな」
「てことは馴染ってことか?」
「まぁ、そういうことだな」
隼人と蓮夜はかなり驚いていた。
まぁ、こいつらには未來のことは一切言ってなかったからな。仕方ないことかもしれない。
「優には、同棲している學園のアイドルに稚園からの馴染……これは面白いことになりそうだな」
「どうせ、似たようなギャルゲーでも脳検索してるんだろ?」
「おお!よくわかったな」
まぁ、現実をギャルゲーとして考えるのはこいつの悪い癖だしな。
「それにしても、四宮さんと優が馴染なんてな。お前これから大変かもしれないぞ」
「なんでそんな不穏なこと言うんだよ」
「そりゃ、四宮さんだからな」
「はっ?意味わからん」
どういうことだ?未來ってそんなに特別な人間なのか?
「おいおい、馴染なのになんも知らないのかよ」
「……うるせぇ」
確かに、俺って昔の未來はしてるけど今の未來は全く知らないんだなぁ……
「世間知らずの優に、俺がわかりやすく四宮さんについて話してやるよ」
「なんか気に食わないけど、頼むわ」
俺がそう言うと、隼人は未來について教えてくれた。
未來は吹奏楽部に所屬しているみたいだ。たしかに、ピアノをやっていただけに音楽は得意だろうし似合ってもいると思う。
それよりも俺にとってはこっちの方が重要なのだが、未來は何でも學園で男子から人気があるようだ。朱音のような表立ったじではないく、こっそりと思いを寄せてる者が多いらしい。
うん、これは面倒な気がする。自分の好きな相手に馴染の男子がいるってのは、そいつに一歩リードされてるじだもんな。
それに、俺は朱音とも家族になってるんだ。朱音派と未來派の二つの派閥から俺は狙われるようになってしまいそうな気がする。はぁ……
そんな話の後は、が朱音くらいに大きいだの、一回告ったが振られたなどと、どうでもいいことばかりだった。いや、は重要かもしれないな……
それはさて置き、これで未來の學園での立ち位置を知ることができた。今からそのことを頭にれながら過ごすことしよう。
そう思っているとチャイムが鳴り晝休みが終了した。それぞれが自分の席に戻っていく。
未來もどこかで晝飯を食べていたらしくいつの間にかいなくなっていたが、今戻ってきた。
「……」
「……」
あの朝以來俺たちは一度も話していない。なんとなく今日はもう話せないような気がしていた。
明日は學式で休みだから、來週の月曜に何とかしよう。これから、ずっとこんなじは嫌だからな。
ようやく、今日の授業が終わり、今は朱音と下校しているところだ。
俺が帰ろうとしたら「一緒に帰らない?」と朱音に言われたので、斷る理由もないし一緒に帰ることにした。
「ねえ、四宮さんと知り合いだったの?」
「そうだけど……いきなりどうしたの?」
朱音は俺と未來との関係について聞いてきた。たぶん、一緒に帰ろうとした理由はこれだろう。
というか、俺たちのやり取り見てたのか?いや、案外俺たちの話している聲が聞こえただけかもな。
「し気になっちゃってね」
「そう」
「それで、どんな関係なの?」
朱音はいつも以上に積極的に聞いてきた。
そんなに未來のことが気になるのか?
「俺の馴染かな一応」
「ふ~ん。そっかぁ……馴染かぁ……」
あれ?反応が微妙だな。
「でも、その馴染の四宮さんと何かあったの?」
う~ん、何か引っかかるけど気にしないでおこう。
「まぁ、喧嘩みたいなものかな?」
「喧嘩かぁ……」
「でも、來週の月曜には何とかするよ」
まぁ、これはたんなる俺の希なんだけどね。
「何かあったら相談してね。」
「うん。そうするよ」
まぁ、相談するようなことにはならないと思うけどね。
「それにしても、四宮さんかぁ……」
朱音は一人でつぶやいていた。
よくは聞き取れなかったが「手ごわそうだなぁ……」とか言っていた気がするが意味不明である。
「ねえ、今なんて……」
「っ!なんでもない。なんでもないよ」
朱音はすごい慌てている。
そんなに聞かれたくなかったのかな?
「ねえ、四宮さんと馴染ってことは昔はよく遊んだてたのかな?」
「そうだけど……」
「どんなことしてたか知りたいな」
「えっと……そんなに面白話でもないよ?」
「それでもいいから」
まぁ、家に著くまで時間はあるし、話すのが嫌というわけでもないから別にいいだろう。朱音のこの何か必死なじは釈然としないけどな。
「そうだなぁ……」
そうして俺は家に著くまで朱音の要通りのことを話したのだが、なぜか家に著いた頃には朱音は拗ねたじになっていた。えっと……なんで……?
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