同級生が新たな家族に!!》未來との和解

今日は月曜日で、俺は既に學園に來ている。

皆にとっては嫌な平日の始まりだろうが、俺にとってはそれだけではない。

そう、先週に久しぶりに話した未來との和解をすると決めた日だ。

この日まで來るのに俺の中でいろいろ考えた。俺が悪かったのか、そうではないのか。謝る場合はどうすればよいかを。

そして、結論は出たので俺はその通りに行するだけだ。

俺が教室で未來を待っていると、この前よりも早い時間にやって來た。そして、一直線に自分の席に向かいイスに座る。その間に俺のほうは一切向いていない。やはり、怒っているようだ。

う~ん、とても話しかけずらい雰囲気なんですけど。やっぱり、晝休みにしようかなぁ……いや、なるべく早いほうがいいだろう。これは時間が経つにつれてどんどん話せなくなっていくやつだ。

俺はそう思い、勇気を振り絞って未來に話しかけた。

「未來、その……一ついいかな?」

「……何?」

「えっと……今日の放課後しだけ時間ある?」

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「……えっ!」

まぁ、未來の反応はもっともだろう。朝學園に來ていきなり放課後に呼び出し、それも喧嘩のようなものをした相手からである。誰だって驚くさ。

「どう?」

「……もちろんある」

「良かったぁ……それじゃあ、放課後にこの教室にいて」

「わかった」

未來が納得してくれ安心した。これでダメだと言われた時には、また違うプランを考えなければいけなかったからな。

それにしても、普通に話せたなぁ……案外いけるかもしれない。

俺は心の余裕がしできた気がした。

そして、放課後。教室には俺と未來の二人だけ。

見ようによっては告白シーンのように見えるだろうが、実際はそんな甘いようなことではなくもっと苦々しいものだ。

「それで話って何?」

「それは……先週のこと」

「……」

俺はこういうことが苦手だ。なので、一気に言ってしまおうと思っていた。

「あれは俺が悪かった。ごめん」

「えっ……」

俺はそう言って頭を下げた。未來は驚いているじの聲を出していたが俺はそのまま続けた。

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「あの時はその……言い過ぎたと思ってる」

「それは……」

「たしかに、三年間一度も會ってないんだ。忘れてたって不思議ではないよな」

「……」

「だから、これからもう一度……未來?」

俺が話を続けようとしたら、未來はこちらを見ていなかった。というか、何か怒ってる気がする。あれぇ?俺また何かした?

「私は優のことを忘れたことなんかない!」

「いや、でも、お前一年の時……」

「それは……」

「……」

また、これだ。俺は忘れられたと思い、未來はそれを否定する。

もしかして、本當俺が間違ってるのか?未來は今まで俺のことを覚えててくれたと……じゃあ、あの時目をそらしたのはなぜだ?……わからんな。

「もう、行く。じゃあね」

「あっ……」

未來はそう言って教室を出ていった。

俺はただ一人教室に取り殘され、さながら振られた男子のようになっていた。

結局月曜日に未來とは分かり合えずに、そのまま平日が過ぎ去っていき土曜日になってしまった。

今回の平日ほど苦痛をじたものはない。隣の馴染とは一切話さずにいつも微妙な雰囲気だったのだから。

俺は完全に途方に暮れていた。どうした良いのか、どうしてこうなったのかをひたすら考えたが解決策なんて全く思いつかない。

忘れてたわけじゃなかったというなら何だってんだよ。もしかして、忘れてたんじゃなくて嫌いだから目をそらしたのか。そして、あの月曜日に俺とはちゃんと絶縁するために話に応じたと……それだったら滅茶苦茶辛いんですけど。でも、それは違うだろうな。そんなじじゃなかったし……はぁ、いつも同じようなことを考えてるぞ。

俺は完全に行き詰ってしまったようなので、もう朱音に相談しようと思う。

前々から朱音には相談に乗ろうかと話されてはいたが、わざわざこんなことでと思い斷っていたのだが、そろそろ時だろう。

そう思ってしまえば行は早い。

俺は朱音の部屋のドアをノックした。

「朱音、今大丈夫?」

「どうぞ」

朱音の許可が出たので俺は中にった。

この部屋が以前は単なる置部屋だったとは思えないほどに変化している。機にベッド、可いぬいぐるみなど完全に子の部屋だ。それにいい匂いもする。まぁ、今はこんなオヤジ臭い想はどうでもいいだろう。

「それでどうしたの?」

「その……未來の件で相談を……」

「あ~なるほど。ようやく、相談してくれるんだ」

「まぁ、そういうこと」

朱音は俺が相談してくるのを待っていたじだった。

「とりあえず、ここに座って」

「どうも」

俺は朱音に促されてクッションに座った。あっ、これ初めて朱音の部屋で座ったやつだ。

朱音は俺の正面でクッションの上に座った。

結構近い距離だが俺はこの距離に慣れてきていた。近くに來ても、以前のように異常な張はしなくなっている。俺は、一緒に住み始めたのが大きいのだと思っている。

「それで何があったの?」

「実は……」

俺は朱音に促されて今未來との間に抱えている問題を全部話した。つまり、一年生の時に起きたこと、そして先週の出來事をだ。

朱音は俺が話を終わるまで黙って聞いてくれていた。それに、真剣に考えてくれているようだ。

「こんなじだったんだけど……どう?」

俺は朱音をすがるように見る。

「優君からしか話を聞いてないからはっきりとは分からないけど……」

「わからないけど……」

朱音はもったいぶるように一呼吸置いた。

「たぶん、四宮さんが優君のことを忘れているっていう前提が間違ってるんじゃない?」

「……やっぱり?」

「うん、私はそう思うよ。優君もそれは考えてたんだね」

「そうだけど……」

でも、だったら何だっていうんだ。俺には未來のあの時の行と考えが全く分からない。

「一応、私の予想はあるんだけど……それは今言わないでおくよ」

「いや、それを言ってくれないとなんも解決はしなと思うんだけど……」

「それもそうなんだけど……これは本當かどうか一回確認しないといけないことだと思うからね」

「は、はぁ……」

朱音には朱音の考えがあるらしく俺にはだそうだ。

「だから、一度四宮さんと話すね。それからだから、これを聞かせられるのは來週の月曜日だと思うよ」

「わかった」

俺の中には々もやもやしたものが殘ったが、來週にはそれがはっきりするらしいので今は引き下がることにした。

「それじゃあ、もう自分の部屋に戻るよ。今日はありがとう」

「ううん。私も全然力になれなくてごめんね」

「いや、そんなことないって。朱音に相談しなかったらこんなに話が進むこともなかったと思うし」

俺の考えはかなり限界に來ていたので、朱音に相談できて良かったと思っている。

「そう?それなら嬉しいな」

「うん、だから來週はお願いします」

「うん、任せて」

そう言って俺は朱音の部屋を出ていった。俺が出ていくときの朱音の顔には自信があったので、期待ができそうだった。

とうとう火曜日になった。

昨日、つまり月曜日に朱音は未來と話したそうだが、その容は教えてくれなかった。それは子同士のといわれたので引き下がるしかなかった。それだけでなく、朱音の予想についてもだった。それじゃあ、意味ないじゃんとは思ったが、それは本人から直接聞くべきということらしい。

それでも、火曜日になったら全てがわかるということだったので今日まで我慢した。たった一日なんだけど、答えが目の前にあるのにそれを出し惜しみされるのは辛いものだった。餌の前で待てをさせられている犬の気持ちがわかった気がする。

そんな、狀態で學校で朝のホームルームを待っていると未來が教室にって來た。

未來を見た時、どうせ今日もいつも通りだろうという思いと、朱音もあのように言ってたし今日は違うのではという思いが俺の心に生まれていた。

「ねえ、今日の放課後時間ある?」

俺はこの時、來た!と思った。やはり朱音の言った通り今日で何とかなるようだ。

「ある」

「じゃあ、この教室で待ってて」

「わかった」

俺はし期待を持ちながら放課後を待つことにした。

そう思ってから時間が経つのは早いもので今は放課後だ。

俺が先に教室に來ており、それから未來がやって來た。そして、今は先週と同じように俺と未來以外はだれもいない。

「それで話って?」

「その……私が優のこと忘れてないって言ったの覚えてる?」

「もちろん」

「それはホント」

「うん」

「それで、あの時歩き去っていった理由だけど……」

未來はここで言葉を止めた。そして、みるみる顔が赤くなっていく。

でも俺はその時の真相を知ることができるときがとうとう來たと思い、若干興していた。

「……怖かったから……」

「……はい?」

「だから!怖かったの!」

「……」

えっと……あの場面で怖いと思う出來事はあっただろうか?

俺は急いでその時のシーンを思い出したが全くそんなことはなかったと思う。

「えっと……なんで?」

「それは……」

未來はどうも言いたくないような顔をしていた。

一応これで、俺が勘違いしていただけで未來は俺のことを忘れて歩き去ったわけではないことがわかった。だけど今度は、どうして怖かったたのか、ということに対して俺は答えを知りたくなっていた。

俺は未來の顔を見ながら話しだすのを待っていると、未來は意を決したような顔になり俺にその答えを言った。

「……優が全然違う人みたいになってたから……」

「俺が?」

長は私より大きくなってるし、つきも顔つきも男らしくなってるしで、私の知ってる優じゃなくなっちゃってた……」

俺は中學で長もびたしテニスをしてたから小學の時よりは筋質になっていたはずだ。たしかに、三年も見てないのだから別人のようにじても不思議ではないかもしれない。

「そう思ったら、優がもう私のことは忘れてるんじゃないかと思えてきて、それで怖くなって……」

「そのまま、歩き去っていったと」

「……うん」

そうか。未來もあの時にそういう恐怖に襲われていたのか。

たしかに、馴染忘れられているという事実は辛いものだ。俺も勘違いによってそのを味わっているからどんな気持ちかわかる。

そして、そういう恐怖から逃げるのなら事実から目を逸らすことが一番簡単なことでもある。だから、未來はあの時に歩き去り、俺は無理やり自分を納得させていた。

おそらく、一年の時に関わることがなかったのは、お互いに忘れられているという虛実から逃げていたからだろう。お互い會ってしまえば、どんな嫌な事実でも向かい合わなければいけなくなるから。

「だから、ごめんね。あの時歩き去ったりして」

「いや、俺のほうこそごめん。俺が未來のことを追いかけていればこんなことにはならなかったんだろうし」

「そんなことない!そもそも、私が逃げなければよかったの!」

案外強い口調で言われて驚いたが、未來がこういう時は折れることはないと知っていたので俺はそれで納得することにした。

「……わかったよ。そういうことにしよう。それで、これからの俺たちの冷戦は終わりでいいんだよな?」

「なんか引っかかるけど、それでいいんじゃない」

「わかった」

はぁ……ようやく未來と普通の関係に戻れたなぁ……

「それにしても、お互いに同じような勘違いをしてるとは思わなかった」

「たしかに、私もそれは思ってなかった」

「だよなぁ……もっと早くそのことに気付いていればどうなってたんだろうなぁ……」

「それは……わかんないけど始業式の日のようなことは起こらなかっただろうね。それに……」

「それに?」

「私が、朱音と仲良くなることもなかったはず」

「お前、朱音のこと名前で呼んでたっけ?」

「昨日からだけどね」

「そっか」

朱音に友達が増えたようで嬉しかった。それにしても、昨日は何があったんだ?かなり気になるが……たぶん朱音と未來に聞いても教えてくれないんだろうな。

「それじゃあ、私は部活に行くよ」

「わかった。部活頑張れよ」

「そうだ、優はもうピアノ弾いてないの?」

未來は何かを思い出したように俺のピアノについて聞いてきた。

「弾いてないよ」

「そっか……もったいないなぁ。あんなに凄かったのに」

「それはお前だって凄かっただろ?」

「それ嫌味?私一回も、優にコンクールで勝ったことないんだけど」

「いや、まぁ、そうなんだけど……」

「と、今言っても仕方ないし、別に恨んでもないからどうでもいいんだけど……」

「そうですか」

「でも、もう一回は優のピアノが聞きたかったなぁ……」

「……」

「いつか聞かしてね。それじゃあ、本當に部活に行くね」

そう言って未來は教室を出ていった。

だけど俺は教室からまだ出ていなかった。未來の最後の會話でいろいろと思うことがあったのだ。

そして、俺は窓から外を見ながらピアノについてし考えていた。

「ピアノかぁ……俺はもう誰かの前では弾けないよ」

そんな俺の獨り言が教室に響いた。

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