同級生が新たな家族に!!》俺のペア

放課後になると俺はすぐに帰路についた。

そもそも學校に殘っている理由は無いのだが、そのままいたら確実に隼人と蓮夜に何かを言われる。

ヤツらのけ答えだけでも力を使うというのに、今日に関しては森山の事もある。

アイツの嫉妬はすごかった。何かを言ってくるわけじゃないけど、たたずまいだけでそれを表していた。

まあ、確かにあとしで朱音とのペアの権利を手にれれたのだから、それもうなずけるけど……俺はなんも悪くねぇ。

「それにしても、俺が朱音とテニスか……」

森山の事はぶっちゃけどうでもよく、実際の問題は俺が朱音とテニスをする事だ。

最初は目立つのが嫌でやりたくはなかったが、朱音のあの目は反則だろう。

あれで斷れっていうほうが無理だ。

それに、朱音の願いを斷ること自が嫌だった。

まあ、決まってしまった事を今更どうこう言おうと意味は無いし、今となっては朱音とテニスをすると事が楽しみでもある。

だけど俺でいいのか?

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やっていたとはいえ約三年のブランクがあるし、そもそも今は部活すらやってないからがなまってるんだだけどな。

朱音が強いの知っているがこれじゃあ一回戦を勝てるかどうかも怪しいだろう。

うわぁ、よく考えるとかなりヤバい。これは悪い意味で目立つかも……

「ま、まぁ、とりあえず朱音が帰ってきたら一度話そう」

俺は気を取り直しそう決めた。

當然の疑問として俺を選んだのかを訊いておきたかった。

そこにどんな理由があるのか知りたい。

俺が経験者だからだろうか? それとも何か別の理由があるのだろうか?

答えは全部朱音の中にしかない。

それを聞き出せれば今回の事も前向きにとらえることが出來るかも……

「早く帰ってこないかな……」

そんな事を考えながら俺は一人で帰路を歩いた。

※※※

部活の終わった朱音が帰ってきてからみんなで夕食を食べ、各々がお風呂にった後、俺は朱音を自分の部屋に呼び出す。

朱音にクッションを渡しその上に座ってもらい俺はその正面に座った。

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そう、ここまでは良かった。

うこと自は簡単だったのだが……その後が問題だった。

まず、俺が夜遅くに子を部屋に招いた事を朱音を部屋にれお互いに向き合ってから強く意識してしまった。

そして、この時間になったら親が二階上がってくることはないので、なんかイケナイコトをしている気分になってしまう。

だが、別にそんなことをしようとしてるわけではない。

ただ、夜に家族に話をするだけだ。

しかし、家族になりお互い名前で呼ぶようになったとはいえ、先月まではの繋がりのない他人同士だったのだ。それに、親からあのような事を言われていたので家族という垣を越えて一人の好きになれる子として意識してしまう。

は、恥ずかしい……もっと早い時間から話せばよかった。そうすればこんな雰囲気にはならなかったんだろうけど……まぁ、後悔しても意味は無いか。

こんな風に思っているのは俺だけではないようで朱音の顔が赤くなっておりどこか居心地が悪そうだ。

そして、俺たち二人がそんなじだったので、相乗効果のようにただ話をするだけの場ではなくなっている気さえしてくる

違う俺はただ育祭の件を訊きたいだけ。そう、これは必要な事で何もやましい気持ちはない。だから、落ち著け俺!!

俺は心の中でそう自分に言い聞かせ、気付かれないように小さく深呼吸して落ち著く努力をしてみる。

はマシになったが心臓はドキドキしてるし、手のひらは汗でぐっしょりだ。

う……これならスマホで會話すれば良かったのか……? いや、隣の部屋にいるのにそれはないか。

……あ~~~もう! 話始めれば何とかなるよな?

俺は恥ずかしさを紛らわすために話し始めた。

「え、えっと……話ってのは今日の育祭のことなんだけど……」

「! う、うん……」

朱音の赤かった顔をそのままに、し怯えたような聲でそう言った。

そして、さっきより居心地を悪そうにしている。

俺は別に怒ろうとしてるわけじゃないんだけどなぁ……朱音は今日の件で怒られるとでも思っているのか? 朱音ってそんな事で怯えるような子だったのか……?

「あの……どうしてそんなに怯えてるの? 俺なんかした?」

俺は朱音が怯えている原因を取り除くことにする。

そうでもしないと、落ち著いて話を訊くこともできない。

「ううん。優くんは何もしてないよ」

「そうなの?」

俺が何もしてないというなら、朱音が何かしたというのだろうか? でも、怯えるほどの事ってどんな……

「……うん。私が優くんにしちゃったんだよ。私のわがままに巻き込んじゃった」

そう言って朱音が泣きそうな顔をする。

朱音の言っている“わがまま”が何なのかは分かったけど、俺なんか泣かせるようなことしたっけ?

俺の中で疑問が膨れ上がっていくばかりだが、その答えを朱音はゆっくりと話し始めてくれた。

「だから、そのことで怒ってるかもしれないってずっと思ってて……」

「え……?」

朱音は本當にそう思っていたようだ。

俺はそのことに驚いた。

「あの時は本當に嬉しかったの。一緒にテニスできるって思えたから……でも、よく考えてみたらあれって単なる私のわがまま、優くんの気持ちなんて何も考えてない……それで、私優くんに嫌われちゃうんじゃないかと思っちゃって、それでずっと怖くって……」

「…………」

朱音はそこまで言うと涙目になった。今にもその涙がこぼれ落ちてしまいそうだ。

……そんな事を思っていたのか。全く気付かなかったな。

確かに朱音がクラス皆の前で言ったわがままには驚いたし、一度は斷ろうとも思ったが、怒ろうなんて事は一瞬も考えていなかった。

それに今になっては朱音のわがままも悪くないと思えてきている。

だから朱音の考えは杞憂なんだけど……でも、俺の思いは伝えてないか。それに學校ではクラスから逃げるように帰っちゃったし。

つまり、今の朱音が泣いているの俺のせいという事だ。

それなら朱音にちゃんと言わないと……それだけはどうしてもありえない事だって。

このまま勘違いされているのは嫌だ。

「嫌いになることなんてないよ」

「…………え?」

俺の言葉を茜は聞き逃したみたいだ。

それならもう一度、聞いてくれるまで何度でも言うだけだ。

俺は朱音の涙で潤んでいる目を見てもう一度告げた。

「俺が朱音を嫌いになることなんてないよ」

「……っ!」

朱音の目が驚きによって開かれ口元を手で抑えていた。

今度はちゃんと聞いてくれていたようで安心する。

「だから、その……安心して」

俺は右手で朱音の頭を軽くでてやる。

それは無意識の行だった。

やはり、この深夜に近い時間帯だからこんな行をしてしまったのだろうか。

いや違う、これは俺がそうしたかっただけだ。

どうにかして朱音には安心してほしかった。

俺が嫌いになるとは思われたくなかった。

「ほん、と……?」

「もちろん」

「うん……ありが、とう」

朱音は俺の手を払うこともなくそのままれてくれる。

そのまま數秒間朱音は下を向きながらすすり泣いていた。

俺たちの仲がまたまった気がした。

「朱音、落ち著いた?」

「う、うん……」

そこにはいつも通りにとは言えないが、先ほどとは違う朱音がいる。

俺も泣き止んだタイミングででていた腕を離している。その瞬間し寂しそうな聲を出したのは気のせいだろう。

俺ももうでていたかったけど……これ以上はやめておこう。

さすがに泣き止んでまででているのもおかしいと思ったし、何より段々冷靜になっていくと自分のやっていることをちゃんと理解してしまった。

あれはもっと親しい間柄でやるような行だった。例えば……そう、人同士とかだろう。

……俺って結構大膽なことしたんだな。

まあ、後悔は全くしてないからいいんだけど……でも、やっぱ思い出すだけで恥ずかしいぞ。

「…………」

「…………」

お互い無言で見つめあってから視線を同時にずらした。

と、とりあえず、本題にろう。これじゃあ、俺が朱音の頭をなでてめただけで終わってしまう。

まあ、それで終わってもいい気がしなくもないが……ちゃんと話しはておくべきだろう。

「それでだけど……俺をペアに指名したのは俺とやりたかったからでいい?」

「……うん」

「俺、ブランクあるけどいいの?」

「ううん。そんなのは関係ないよ。私は優くんと一緒にできればよかったの。……他の人とは嫌」

「……」

「……やっぱり、私とはいや……?」

「そんなことは無いけど……俺でいいのかなって思っちゃって」

「私は優くんとがいいの」

「……そうか」

こうやって話していると本當に學校の朱音は偽なんだと思えてくる。

俺の前ではわがままでし強引な朱音。

學園の男子は誰も知らず、それを知っているのは俺だけだ。

それが無に嬉しかった。

「なら、一緒に頑張ろうか」

「…………え?」

「俺も朱音とはやりたかったし、テニス」

「……私と、やってくれるの?」

「もちろん。俺は一言も朱音とやりたくないなんて言ってないよ?」

目立つのは確かに嫌いだ。

テニスにはもちろん自信が無い。

だが、朱音のためになら頑張れる。

朱音とならやってもいいと思える。

「だから、よろしく」

俺は握手をするために右手を差し出した。

だが、朱音はその手を取ってくれなかった。

「おわ!」

その代わり、甘い香りとらかい何か、人一人分くらいの重さを俺はじた。

……っ! えっ、ちょっ、……どうして? って、また泣いてる!?

「うれ、しいよ。……ありがとう、優くん……」

「…………」

俺とそこまで一緒にやりたかったのか……なんかすっげぇ嬉しい。

朱音は俺のに顔をうずめて泣いているがそれが前向きなものだと分かる。

「よろしくね、朱音」

俺はそっと背中をでた。

その瞬間、俺のが暖かくなるのをじた。

この気持ちは何なのだろうか?

今まで味わった事が無く未知の覚だったので説明のしようがないが、嫌なものでもない。

「……」

これってやっぱり……

と何かしらの答えが出そうだったが、ここで朱音が勢い良く俺から離れた。

「とと」

俺はそこで考えることを止めた。

すると同時にまとまりそうだった答えは何処かに消えていった。

「私……なにを……」

朱音はうつむきながらポツリとそう言った。

その顔は見えなかったが耳まで赤くなっているので、朱音が恥ずかしがっていることは容易に想像できた。

まあ、確かに自分のやったことを考えたらそうなるか。

俺は嫌じゃなかったけど。

そして、お互いに離れると再度気まずい空気が流れる。

「…………」

「…………」

こういう時どうすればいいんだ?

やっぱり俺が何かを言うべき……だよな。

でも、話したいことは話しちゃったし……うわぁ、どうしよう……

「そ、それじゃあ、私自分の部屋に戻るね」

「あ、ああ……」

と俺がいろいろ悩みだした時に、朱音の方が気に負けしたようだった。

慌ててこの場、というより雰囲気から逃げようとしているのが分かる。

「おやすみ優くん。また明日ね」

「う、うん。おやすみ朱音。また明日」

そう言って朱音はすぐに俺の部屋から出ていった。

人が一人減るだけでなんだか寂しくじた。

「はぁ……何だか疲れたな。もう寢よ」

そう思い電気を消しベッドにったが眠気はこない。

疲れたのは確かだが、いまだに心臓はバクバクしおり脳はいまだ興狀態だ。

こんな狀態で眠れるわけもない。

「いい匂いしたなぁ……それにらかったし……あれがの子かぁ……ってこれじゃ眠れるわけねーだろ」

そして考えるのはさっきの朱音についてだった。

その事だけが脳を占めている。

はぁ……とりあえず目だけでもつむるか。

そう思っていると俺のスマホがメッセージの著信を知らせた。

……? 誰だろう……?

俺はスマホ近くに置いてあるスマホチェックしてみると、

「って朱音から!?」

それは予想外の人からだった。

えっとなんだろう……

『言い忘れたけど、よろしくね優くん』

書かれていたのはそれだけだった。

今更そんなこと言わなくてもいいのに……まあ、言われて嫌なものじゃないからいいんだけど。

えっと、俺もこれで返信っと。

『こちらこそ、改めてよろしく』

俺はそのメッセージに既読が付き返信がないことを確認してから目を閉じた。

あー……なんだか、これでようやく朱音とテニスのペアの一歩目を踏み出せた気がするなぁ……

それに結果はどうであれ、悪いことは起きない気もするし……

後はなるようになるか……

そうして俺は眠りに落ちた。

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