《あえて鈍のふりをしてみた》第1話

〈春視點〉

兄さんがきてから3年が経ちました。私は中3、兄さんは高1になります。

兄さんと私の長差も開き、私は143センチ、兄さんはなんと175センチもあります。巨人め…駆逐してやります。冗談です。

兄さんは髪もしだけばし、大人っぽい印象です。私はあまり変わってません。

この3年間はかなりの時間兄さんと一緒にいたと思います。おかげで、周りからはブラコンと言われます。

た、たしかに、兄さんのことは好きですが、それは仕方ないと思います!

最初會った時の第一印象は「カッコいい人」だったんですが、々と會ったんですよ!まあその話は後ほど…

ま、まあこんな話はいいんです!私が言いたいとこはこの3年間のおかげで兄さんとの仲がかなり深まりました!

実際今も兄さんと一緒にいますしね。ん?なんか兄さんがこっち見てますけど、まさか私、聲に出てました?

「ねえ春、なんで寄っかかってんの?」

ああ、そっちでしたか。聲には出てなかったようです。でもどうしましょう、理由なんか私がこうしたいからですが、これ言ったら引かれますよね…

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「べ、別にいいじゃないですか。あの、えっと、そう!楽だからです!」

「すごい今作ったような言い方だけど。」

「いいんです!…あの、もしかして…迷…でした、か…?」

兄さんに迷って思われるのはいやです!もし、迷をかけてうざいと思われてたら…想像するだけで涙が出そうです。

「い、いや、ほら、あれだよ、もう春も3年生だし、平気なのかなって…いや!迷じゃない!迷じゃないから!」

「ぷっ、なに慌ててるんですか…あと、他はどうか知らないですが、私はそんなの気にしませんから。」

「…だからブラコンって言われるのに」ボソッ

兄さんが必死すぎてし吹いてしまいました。でも良かったです。迷ではないみたいで。

あと兄さんがなにか言ってたみたいですが、よく聞こえませんでした。ですがなんとなく、何か不名譽なことを言われた気がします。

この3年間で兄さんのんなことが知れました。すごく優しかったり、頭がよかったり、毎日朝早く起きてランニングをしてたり…などなど、挙げてけばキリがないです。

そして、1番今私がそんな兄さんに悩んでることがあります。

そう!鈍なんです!どこの小説ですか!って思うくらい鈍なんです!

私がこんなにもアタックしてるのに兄さんは全く気付きません!

「はぁ…」

思わずため息が出てしまいました。

「え、なに、俺なんかした?」

「いえ、別に…何もしないからです…」

もうしくらい私のことに気づいてくれてもいいと思います。あとなんでしだけニヤついてるのかがわかりません。なんか毎回思うのですが、兄さんってたまにニヤつくのを我慢してたりっていうのがありますよね。前それ聞いたら「春が可いから」とか言ってましたっけ…

なんなんですかほんとに!兄さんはたまにそういうことを言うから油斷できないです!

「ニヤつかないでください。気持ち悪いです。」

「…どストレートに言うね。流石の俺でも傷つくよ。」

まだしニヤついてますがもういいです。

でも、こんな兄さんでも、すごく敏な時もあるんです。

私が何か悩んでいた時、すぐに見破られます。自覚がない時でも兄さんにはわかってしまいます。そういうところが兄さんのすごいところだと思います。

「ところで春、英語の宿題終わったの?確か自由英作文だったよね。」

げっ、忘れてました。まだ殘してました。というか、そんなことには敏にならなくていいんです!!むしろ鈍でいて下さいよ!

私は勉強はそこそこできるつもりです。200人の學年で60位くらいです。だからそこそこです。

その中で、英語に関しては恥ずかしながら、下から數えた方がはやいです。

え、何位かですって?………四捨五したら180位です…

ちょっ!なんで184位から考えるんですか!

そんなことはいいんです!問題は兄さんが帰國子だからです!

「終わってない…ね?」

「……」

「沈黙は肯定とみなすよ。」

あぁ、兄さんって勉強教えるのわかりやすいんですが、英語だけ怖いです。まぁ兄さんからしたら日常會話ができないと同じようなものですもんね。

そんな時、兄さんがスマホをとりだして、々と作をしました。

『は…はろー…あ、あい、あむ?…あいあ、む…春、水野…』

「ちょ!!!え!!!やめてください!!!なんでそれ持ってるんですか!」

「母さんにこの間もらった。ほんとこれかわいすぎ。まじ天使。あれぇ?春ってこの頃から英語長したの?」

私の黒歴史です!最悪です。なんで母さんそれもってたんですか…よりによって、兄さんにあげるなんて…しかも煽ってくるなんて…

「とにかく!消し「絶対消さない!」て…って即答しないで下さい!いい終わってないのに!」

「これ俺の寶だから。ちなみにこのスマホから消してもバックアップめっちゃとってるから安心してね。」

何に安心するんですか…

「ほら、これが拡散されたくなければ宿題やるよ。」

鬼です!悪魔です!

〈裕太視點〉

あの天使の言葉を聞いてから早3年、俺は自他共に認めるシスコンになっていた。いや、當たり前だと思う。

最初の方は隠れられたり怖がられたり逃げられたり…なんか泣きたくなってきた。

まあその後々試していくうちにここまでの関係にはなったし春のこともよくわかるようになった。

今も春と一緒にソファーに座ってスマホをいじってるが、俺に寄っかかってくる春が本當に可すぎる。

「ねえ春、なんで寄っかかってんの?」

「べ、別にいいじゃないですか。あの、えっと、そう!楽だからです!」

「すごい今作ったような言い方だけど。」

慌てる春。可い。俺さっきから本當可いしか言ってないな。

「いいんです!…あの、もしかして…迷…でした、か…?」

やば、春泣いちゃう!?あああ、なんて言えばいい!泣かせたらまずい!

「い、いや、ほら、あれだよ、もう春も3年生だし、平気なのかなって…いや!迷じゃない!迷じゃないから!」

「ぷっ、なに慌ててるんですか…あと、他はどうか知らないですが、私はそんなの気にしませんから。」

よかった。なんとかなったみたいだ。それにしても、そんなこと言ってるから春は周りからどうしようもないブラコンって言われるのに…

「…だからブラコンって言われるのに」ボソッ

あ、聲に出してしまった。やばっ聞かれた?

「はぁ…」

そんなこと思ってると春がため息をついた。やばい!聞かれたかも!ピンチ!

「え、なに、俺なんかした?」

「いえ、別に…何もしないからです…」

聞かれてなかったみたい。セーフセーフ。というか、春は前にぼそっと「難聴系主人公」って俺のことを言ってたけど俺難聴系じゃないし、むしろ春の方がそうだと思う。あ、難聴系ヒロインか。春は俺が春の好意にまさか気づかれてるなんて思ってないだろうな。おっとニヤついてしまった。

「ニヤつかないでください。気持ち悪いです。」

春からのジト目、頂きました!っと、一応何か言っとかなきゃな。このままだとドMって思われてしまう。

「…どストレートに言うね。流石の俺でも傷つくよ。」

春は何か諦めたようにため息を再びついた。

んー、このままではまずい。話題を変えなきゃ…そうだ!

「ところで春、英語の宿題終わったの?確か自由英作文だったよね。」

おい、明らかに目を逸らしたなこいつ。

「終わってない…ね?」

「……」

「沈黙は肯定とみなすよ。」

仕方ない、最終兵、俺の寶その1を出すとしよう。

『は…はろー…あ、あい、あむ?…あいあ、む…春、水野…』

「ちょ!!!え!!!やめてください!!!なんでそれ持ってるんですか!」

おお、慌ててる慌ててる。効果は抜群みたいだ。

「母さんにこの間もらった。ほんとこれかわいすぎ。まじ天使。あれぇ?春ってこの頃から英語長したの?」

これは末代まで教えていく。

煽りも忘れない。これ大事。

春はなんとかしてスマホを取ろうとしてるが、腕と長の差で取れない。涙目になりながらぴょこぴょこ飛んで頑張ってスマホを取ろうとしてるのが可すぎて辛い。「んーっ、んー!」っていってジャンプしてる、癒される。

「とにかく!消し「絶対消さない!」て…って即答しないで下さい!いい終わってないのに!」

「これ俺の寶だから。ちなみにこのスマホから消してもバックアップめっちゃとってるから安心してね。」

春はし絶したような顔をした。よし、ここらで決めようか。

「ほら、これが拡散されたくなければ宿題やるよ。」

その後、なんとか春は宿題を終わらせ、春休みを終えたが、このデータは消せなかった模様。あ、ダジャレじゃないよ?

すみませんでした。

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