《あえて鈍のふりをしてみた》8.5話

〈裕太視點〉

第二音楽室、軽音部はここを練習場として使ってるらしい。まあ空き教室も使ってるが。

人數は3年生4人、2年生5人ってとこ。

學年別関係なく混合でバンドを組んでるらしい。しかもスリーピースを3つ。

スリーピースとはまあ3人組バンドのことだ。四人組バンドだと、リズムギターとリードギターだったり、ボーカルオンリーだったりとできるが、スリーピースはそれができない。本當に実力がわかりやすいものだ。高校生バンドだとかなり失敗するイメージある。

「俺ら以外に験いなかったらやめよっかな。」

「そんなこと言わない!ほら!はいろ!」

といって、チューニング中の音が聞こえる音楽室にっていった。

「お!新生が、また2人きたぞ!」

「ほんとだ!やったね!しかも一人ギターケース持ってる!」

ギターとベースのチューニングをしていた男子生徒と子生徒が騒いだことにより俺たちに目線が集まった。ちなみに、軽音部ではギターをコード弾けるだけで初めは重寶されるぞっ!何事も初めの印象ほんと大事!

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「こんちゃーす。部しにきましたー。一応俺はギター歴は今年で8年目になります。水野裕太です。」

「こんにちは!あたしも部しにきました、近藤夕姫です!楽は初心者ですが、よろしくお願いします!」

「おお!いいよいいよ!初心者大歓迎だ!なんたってこの部活9人中5人は初心者だからな!」

「てか、あの裕太って子8年って言ってたよね!この中で誰よりも上手いかもね。」

めっちゃ期待されてんだが。

すると、の先輩が手を後ろで組みながら近づいてきた。

「ねえ、しギター弾いてもらってもいいかな?」

「えっと、了解です。アンプ借りますね。」

そうしてペンギンを取り出して、チューニングをし、アンプと繋げ、音を確かめた。

「おお、手慣れてる。さすがってじ。てかホワイトペンギンをナチュラルに出したのに驚きなんだけど。」

「俺は音叉とチューナー無しでチューニングしたことに驚いたが。」

…おかしいことかなぁ?慣れればいけね?

「んじゃ、弾きまーす。」

いつも試し弾きをするじでギターを弾いた。速弾きだったり、カッティングだったり、スラップだったり、アルペジオだったり、パワーコードで弾いたり、有名なロックの曲だったり、とある曲のソロギターをしたりとだ。

「ふぅ、こんなじでいいですか?適當ですが。」

「すごいすごい!めっちゃうまかった!単音弾きすごい上手いし、ミュートも完璧!速弾きもミスないしほんとすごいよこれ!」

ありがとうございますと言い、隣を見ると口をポカンと開けている近藤がいた。

「おーい、近藤?」

「……はっ!いや、すごすぎるよ!素人目からしたらほんとにすごすぎるって言葉しかでない!」

「まあね、ありがと。」

さすがに8年間やってて下手くそだったらここ來ないわ。それかサバ読んで1年とか言っとく。

「失禮しまーす、部しにきました。氷室太樹です。ドラムやってまーす。」

音楽室のドアが開き、そう言ってスティックケースを持った男子生徒がってきた。

長は178くらいの黒髪の無造作ヘアで赤メッシュのってる人で、めっちゃセットに時間かけてそうというのが第一印象。メッシュかっけー。

「おお、これで新生4人だね!しかもいいじにギター、ドラム、ベースそろってるし!」

ん?ベースの子がいるのか?

「えっと、水野くんと近藤さんが來るし前にきました。中谷沙耶です。ベースやってます。よろしくお願いします。」

長は150…あるね、はい、だからそんな目で見ないでください。なんだろ、春に似てる。髪のといい長さといい。長が低いのも似てるな。守ってあげたくなるがあるところもそっくり。

「ねえ水野くん、もしかしてだよ?初心者あたしだけ?」

近藤が小聲で言ってきたがそれは仕方ない。

「まぁそれはしゃーなしだね。とりあえず今んとここの4人でバンド組むことになるのかな?」

「そうだな。今のところはそうなるな。ところで水野?だっけ、お前はギター今手に持ってるしそうだろうが、こっちの子は?」

「えっと、初心者です。」

なぜ敬語。俺に話しかけてきた時のあざとさどこいった

「おけ。この4人でやるならまずはじゃあ必然的にボーカルかギターだな。」

「まあキーボはいきなりはきついかもな。近藤やりたいのある?」

すると近藤は目を輝かせた。あまりの気迫に一歩退いちまった。

「両方できる!?」

ギタボか…まあリードギターは俺がやればいいか。リズムギターやりたかったなぁ…

カッコよくね?しかもさ、あれある程度は誰でもできるけどそこからが壁が高いんだよね。そこを超えたらマジで違う。

「いいんじゃないか?ギタボなんて山ほどいるしむしろ普通ってくらいだしな。」

ワンオクとかは別だ。あの人は歌唱力の化けだからあのままでいい。いや、あのままがいい。

「あの、水野くんボーカルのツインボーカルとかもいいと思う。私つい最近までカラオケ店で働いてたんだけど、水野くん歌すごいうまいから。」

ちょっと待て中谷ちゃん、何言っちゃってんのさ!

「おお!それいいな!高校生バンドでツイボかー!」

はいそこ、乗っかんなーい!氷室やめい!

「えっと、ツインボーカルってなに?」

用語に疎い近藤が聞いてきた。

「あぁ、ツインボーカルってのは簡単に言うとボーカルが2人のこと。ゆずとかコブクロとかがそうだね。ロックバンドでは…king gnuってわかるかな?それみたいなの。初心者あるあるだけど、歌ってると演奏できない、演奏してると歌えないってのが多いしそういうことも考えるといいかもな。ツイボの高校生バンドないし。」

氷室の説明わかりやすいな。まあそうだけどさ…

「えっと、俺確定?」

「「確定!」」

中谷ちゃんと氷室が被せてきた。まじかよ…

そんなこんなでバンドがこんなにも早く決まりました。

初めての部活はとりあえず顔合わせと力量を知ること、最後に近藤にギターを教えて終わった。沙耶ちゃんは5弦変態ベーシストだった……

自己紹介中に夕姫の「下の名前で呼び合おう!」の一聲に反対意見もなく、メンバー全員下の名前、またはあだ名で呼ぶことになった。

「いやー、ゆーくん。ありがとねほんと。」

「ん、早くうまくなれよ。あした違うギター持ってきてやっから1日だけど大切にしろよ」

夕姫に俺のレスポールを1日貸すことになった。明日PRS SEカスタム24を持っていくのでそれを貸す。ちなみにギターケースは部活のやつを借りた。

PRSとはポールリードスミスの略で、これまたクソ高い。SEなら10萬くらいだが、150萬くらいするのだって普通にある。

だが、これはジャンク品のとこにあって弦張り替えたりボディを丁寧に拭いたり、修理すれば使えるものなので2萬円で買った。

結果大功だった。めっちゃ音いい。

あとかっこいい。

このようなことを夕姫に言ったらめっちゃげっそりした顔をされた。

「…ゆーくんってギターオタク。」

「なにを、これくらい常識。一応楽店でバイトしてるしね。しかも今まで言ってきたのはギタリストなら誰もが憧れる有名どころだけだしね。ギブソンもグレッチもPRSも、あとフェンダーっていうくそ有名なのもあるし。」

更にげっそりされた。

「はぁ、もういいや。あ、もう家つくね。」

「そうだね、じゃあ俺はもう家に帰るかな。じゃ、また明日。」

ドアに手をかけ夕姫に手を振り、ドアを開いた。

「ただい…お、いらっしゃい。今帰るとこ?ちょうどそこにお姉ちゃんいるからね。

んじゃ、夕姫はせめてバレーコード以外は弾けるように練習しとけよー!」

「はーいゆー先生ー!」

「先生はやめい!」

ちょうど奏ちゃんが帰るようで、玄関で春に手を振っていた。ちなみにバレーコードとは簡単に言うと人差し指で全ての弦を押さえる初心者が挫折する難関ポイントだ。

「春ちゃんまたねー!おじゃましましたー!おねーちゃーん!かーえーろー!」

近藤姉妹が帰るのを見送り、家にった。

昨日春がご飯作るとか言ってたがどうなんだろうか。

「そういえば、春ご飯作ってくれた?」

「あっ!」

そんなことだろうと思ってたよ。

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