《王子様は悪徳令嬢を溺する!》3

王太子殿下は言った。

「婚約解消を考え直してほしい」

私は言った。

「え?嫌よ」

なぜ今更そんなこと言うのだろうか。私は不思議に思う。確かに私は彼に憤りをじていた。けれど、彼にがある訳でもない。彼の行いが嫌だっただけで私は王子を好きではなかった。

「頼む」

「今更でしょ。しずつ忠告はしたはずよ。けれどそれを無視したのは貴方だもの」

「お願いだよ」

「嫌」

彼は頭を下げた。お願いしますと言いながら。

私はいつもの悪戯心が芽生えてしまった。

「ねえ、これからは他のと夜な夜な遊んだりしない?」

甘えた聲を出す。

「ああ、もちろんだよ」

そんな理由がないだろう?

こんな口頭だけの約束で、オンナ遊びをしないだなんて、守られるはずない。そんなのを命を掛けて守ってる夫がいたとしたは、貴族のスキャンダルも妻と浮気で修羅場になったなんて話は存在するはずがないんだ。

「そう、けど婚約解消は解消よ」

「は?なんでオンナ遊びはしないって」

「頑張って。次のの時はね」

「ふざけるな、!このロマンが頭を下げて頼んでいるのだぞ。なぜ了承しない!!」

あーあ、逆ギレか。自分が頼んでいる側だって理解が出來ていないようだ。益々婚約解消の道を進んでいる。何かにつけて、彼は王太子であることを引き合いに出して、相手を屈服させようとする。そして彼はおしいの前で言うのだ。「誰も王太子出ない私など見てくれない」と。そりゃそうだ。だって自分自が、王太子でない自分を見てないのだから、他人が見つけてくれるはずなどないだろう。

「可哀想ね。ロマン。」

「何が!!」

「全て。」

私は彼がずっと居座るつもりなのだと理解した。面倒なやつ。ならば私が出ていこう。

「おい!待てよ!!!」

嫌よ。

そう呟いた聲は、きっと彼には屆いていない。黒い夜に溶け込んで、消えてった。

だってそうでしょう?

彼は追い掛けて來ないのだ。きっと令嬢の誰かに唆されたか何かだ。本當に可哀想。だってあなたこれから、利用され盡くして死んでくんだから。

ザマアミロ

実家に帰る前に私は、國王陛下の名義で一番街のアパートメントを借りた。住むのに不自由はない場所だ。

実家に帰った私は、案の定両親に怒られる。父親には呆れられ、母親にはビンタを頂いた。

「これから、貴!縁談が無くなるじゃない!」

「その覚悟で城を出てきましたわ。お母様」

「黙らっしゃい」

私の教育に一切の口を挾むことのなかった父が口を開いた。

「國王陛下は大層お前が気にったらしい。政治參の話が來ているが」

「まあ、冗談だと思いましたわ」

両親共に盛大なため息をついた。

下らない茶番はもう終わりだ。私は自分の優雅な生活を自らの意思で始める。

とりあえず、小説でも書こうかしら、勇ましい勇者と、馬鹿な王子とかね。

「では、私は自分の家に帰らせて頂きます」

「もう好きになさい」

両親の呆れ返ってどうしようもない、視線を背中に私は新しい生活の蓋を切った

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