《王子様は悪徳令嬢を溺する!》5

僕は國上の流のため、南東の方からやって來た留學生だ。

そして僕は今、國上の流を斷ち切ってしまうかもしれない問題を抱えて王宮へやって來た。

「王太子殿下に謁見を願いたい」

「今すぐに」

城の従者は僕の姿を見るなり、すぐに駆け寄ってきた。そして、次に現れた時は王子を連れて。

「なんだい。マリク。何か問題でもあったかな」

白々しい笑みを浮かべて。ロマンは問う。

名前の通りの々しいロマンチストという事を僕は知っていた。

「ああ、大いなる問題がな。」

僕は懐から、ピンクの開いた封筒を差し出した。

「貴様!何でそれを持っている!!」

「何でかは、ロマン。お前がよく知っているんじゃあないか?」

「アリエノールを知っているのか?」

「ああ、知っているさ。途方もない程、沢山ね」

そんなに知らない。けれど、なくともロマンよりは理解している。

「あいつは私の妻となるだ。手を出すんじゃない」

「それは、約束しかねるな。それに彼はお前の妻となることを了承していないようだが?」

しい男は顔を醜く歪める。ただでさえ、顔だけなのに顔も醜くなってしまうとは、可哀想だ。

「アリエノールは照れているだけなのだ。し私を焦らして、了承するつもりなのだろう。可だ」

ぞっとする、妄想もここまでっているのか。あんな手紙をけ取って、照れるなんて同類だけだろうに。

「何の騒ぎかね、マリク君」

「國王陛下」

そこまで騒いでいるつもりは無かったが、この広い城だ、どれだけ騒いだって端から端まで聲が屆くことも無い。これは険しい顔をしている僕達の比喩だろう。

「アリエノールの事でし」

「ロマンは、まだアリエノールにこだわっているのか、もうそろそろ諦めろと言っているだろう。彼はお前がけ止められるではないのだ」

ロマンは拳を握りしめた。ここは良いタイミングだと思い、國王陛下と僕は聲を掛けた。

「では、私ではいかがでしょうか。」

「ほう?」

「彼け止められるかどうか判斷してください。陛下」

「な!にいってるんだ」

何だかよく分からないことをほざくロマンは放置して、僕は國王陛下の目をじっと見つめた。

厳しい目をしていた陛下は、段々と顔を緩めた。

「君は面白い事を言うね。」

「結構本気ですよ」

「君は彼をどう思っているの」

僕は思ったままを答えた。まるでお義父さんから、尋問をけているみたいだ、きっと彼はアリエノールを娘みたいに思っている。

「面白いです、話をしているだけで飽きない。危なっかしい所もあって、可らしい。自分でどこまでも突き進んで行ってしまう人だ。

僕もそういう人間です。彼について行くことは出來ないけれど、一緒に隣を歩いていくことは出來る。

僕は彼け止めるではない、けれど僕のを。例え僕の國に連れていったとしても彼はなにがあったって生きていける。僕はそれをサポートとしたい。」

「なるほどね。」

僕は言いたいことを言った。後はこの人がどう言うかだ。

「まあ、いいんじゃないかな。最終的な判斷は君のお父さんと、アリエノールが下すだろうし。」

ほっとした。とりあえず、國王陛下の了承は得られたようだ。

「ありがとうございます」

國王陛下は僕から、視線を外し、自分の息子へ視線を向ける。

「そういう事だから。ロマン、お前はアリエノールとマリク君の路の邪魔をするんじゃないよ」

彼は顔を歪めて、拳からを流しながら、答えた。

「はい」

これで嫌がらせが、終わるとは限らない。むしろ激化するだろう。

けれど、それは僕がずっとアリーの隣にいて跳ね返せば良い。その分だけ、國王陛下の公認という何よりの特権を得られたのだ。

あの人は貍だ。何を考えているかわからない。これからこの國と付き合っていく上で、彼は要注意だなとマークした。

その頃アリエノールは敵地である、王太子取り巻き令嬢達とお茶會をしていた。

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