《奴ら(許嫁+馴染諸々)が我が家に引っ越してきたのだが…》対面

「なるほど、これならソファで起こる痛みはなくなるな」

「はい。それに暖かくても心地良いでしょ?」

「まぁ、これ俺のベッドだからな」

この青い布団も數年前から使っている俺のであって何故か八恵が隣で一緒に橫になっている。

一人用のなので結構狹く、壁へ壁へと近づいて距離をとったがそれほど大差がなく、八恵の呼吸がここまで聞こえる。

「はい。いい匂いがします」

背中側にいる八恵は布団に顔をうずめてその匂いを存分に味わうためにスーハースーハーを繰り返していた。

道理でここまで呼吸が聞こえる訳だ。

「いやいやいや、おかしいだろ? なんで二人で同じベッド使ってるんだよ」

住む所がないから仕方なく我が家に泊まるのを許してはいるが、こうなるとは思わなかった。

「ソファで寢ると々と良くないと聞きました。やはり、疲れをとるにはベッドが一番なのです。そしてベッドはこの一つしかないのですからこうして一緒に寢るのは自然の摂理と言えなくもないですわね」

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自然の摂理ではないとして、まずこの狀況は流石にまずい。

「やっぱり俺、ソファで寢るよ。ここだと眠れない」

何回かあれのが背中に伝わってて、もうすぐいつも寢る時間帯なのに目が冴えてしまっている。

「そんな……私、興様がいないと眠れません」

この流れ…またこちらがOKを出すまで粘ってくるパターンだ。

意地になっても睡眠時間が削られるだけと何となく予想ができた興は仕方なく八恵がむようにすることにした。

「はぁ〜、分かった分かった。なら寢るまでここにいるからその顔やめてくれ」

一度やられたが、やはり男子というのは子の上目遣いなどに弱く自分も例外ではないも気づいたのだ。

ずっとそれをやられると々と困る。

「ふふっ。やはりお優しいところは変わっていませんね。それでこそ興様です」

馬鹿にされているのか褒められているのか微妙だったが寢るまで他のない話をした。

過去についてあえて聞かなかったのはし怖かったからだ。

小學生の時の記憶も朧気で自分が何かとんでもない事をしでかしたのではという不安がある。

だが、そんなの杞憂だと言い聞かせてふと靜かになった八恵を見るとぐっすりと眠っている姿があった。

起きている時とはまた違う魅力があったがそれにわされることはない。

「さて、俺も寢るか」

興はゆっくりと、音を立てず、ベッドから降りて一階へと向かった。

***

一人暮らしの朝は早い。

父親がいた時でも起きる時間帯は変わりはしないので興にとってはいつも通りの起床時間だが……。

しかし、ソファで寢たせいで中が痛みながら臺所へと向かうとそこには興が通う月日學園の制服の上に白いエプロンをつけた八恵が立っていた。

「おはようございます興様。昨日は良く眠れました?」

「あ、ああ……でも何でここに?」

てっきり、俺のベッドで眠っていると思っていたのに。

「勿論、興様のお弁當をつくるためです。こうしてお泊まりさてもらって何もしないというのは心苦しいですので」

「別にそんな気を使わなくてもいいのに。でも俺として助かるな」

弁當をつくると眠気で授業に集中出來ないことが多々あった。

それだけが理由ではないが、とにかく朝の仕事が減って余裕が出來たのでとてもありがたい。

「今さっき出來たましたのでこれを持って行ってください。中は開けてからのお楽しみです」

弁當箱は家にあったを使ったらしくいつもの青い弁當箱、八恵自のは持參のでピンクの弁當箱、興のと比べるとし小さめだ。

「おお、ありがとな。それじゃあ朝ごはんは俺がつくるよ。弁當つくって疲れただろ?」

「ありがとうございます。では遠慮なく、休ませてもらいます」

八恵はエプロンをいでテレビが見られる位置にあるテーブルに著いた。

つくるといっても朝はパン派なので、あとは目玉焼きだけ。

これならあまり時間が掛からず、余裕をもって登校ができるのでいつもこれだ。

「やはり、興様がつくると一味違いますわね。の味がします」

「ただ卵を焼いただけだけどな」

あと塩コショウとかそれの味しかしないはずだ。

などという調味料をれた覚えはない。

「よし、そろそろ行くか。初日から遅刻はまずいだろ?」

朝食を食べ終えるといつも家を出る時間になっていてすぐに後片付けを済ませる。

「はい。ですが、私まだ學校への行き道を完全に覚えていないので案してくれますか?」

「どうせ、同じ家に住んでるだから別々に行く訳ないだろ」

「流石、興様」

馬鹿でかい我が家の扉にガキを掛け、いざ月日學園へ行こうとすると馴染がいつもの様に待っていてくれたがその笑みは威圧というか覇気に似た何が含まれていて自然と背筋が凍りついた。

「興くん、その人だあれ?」

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