《奴ら(許嫁+馴染諸々)が我が家に引っ越してきたのだが…》お引越し

「ふぅ、ちょっと買い過ぎたな」

あの後、無事に授業に間に合って放課後になると興はスーパーへ買い出しに行っていて今はその帰りで両手にはパンパンに膨らんだビニール袋がある。

「それにしても大丈夫かなぁ。あいつ、また変なことしてなきゃいいけど」

そんな期待をしつつも我が家へ到著すると案の定、そこには何故か大きなトラックがあった。

「な、なんだこれ?」

側面を見てみると『虹咲グループ』と書かれてあるのだがその荷臺には何も乗っておらず、空っぽのままだ。

「あら、興様。思ったよりお早いお帰りで」

トラックの影からひょっこり現れたのは先ほど見た証拠からしてこの事態を引き起こした張本人。

「お早いお帰りで、じゃねーよ。なんだよこの騒ぎ。あ! そうか、お前の荷が屆いたのか」

あの時はキャリーバッグだけで生活に必要な家(特にベッドとか)は一切持って來ていなかったが、これはそれらを持って來る為のものなのだろう。

「はい。ベッドなど必要なを取り寄せたのですわ。それとついでに今は理沙さんのお荷をこちらへ移させているところです」

「は?」

突然のことで自分でもこれはないわ、という間抜けな聲が出てしまった。

「いえ、ですから理沙さんのお荷をこちらへ移させているところです」

「聞こえてたよ! 俺が聞きたいのは何で理沙の荷をこっちに移させてるのかって話だ。もしかしてお前……」

そんなの質問しなくたって誰でも分かる。

「はい。理沙さんもこの家で一緒に過ごすことになりました」

引っ越しだ。

八恵同様に理沙も無駄にデカイ我が家へ引っ越して來たのだ。

「マ、マジか……」

「マジです」

八恵の行力に呆気にとられていると我が家から荷を運んでくれた業者の方々が出て來て、トラックに乗り込むとすぐに何処かへ言ってしまう。

その後、タイミングを見計らったかのように我が家へ引っ越して來たらしい馴染が申し訳なさそうな顔で出てきて、こちらへと近づいてきた。

「ご、ごめんね興くん。いきなり引っ越して來るだなんて迷だよね。でも、興くんが一緒なら心強いから……」

どうやら黙ってこんなことをしたのに引け目をじているらしいが、興は別のところでイラついた。

「もういいからそんな顔するな。どうせ部屋は捨てるほどあるんだし、今更一人や二人増えたって変わりはしねーよ」

イラついたのは理沙が申し訳なさそうな顔をしているからだ。

別にそれで怒りはしないが理沙のそんな顔、見なくない。どうせなら笑った顔が見たい。

「流石、興様。太っ腹ですわ。では私はお荷を整理して行きますのでお先に」

そう言うとそそくさと自分の部屋へと戻って行った。

「はぁ……、なんかあいつが來てから俺の周りが騒がしくなってきている気がするんだがこれは気のせいか?」

「興くんは優しいから周りに人が集まるんだよ」

「そうゆうもんかな〜。ってか、俺って優しいか?」

確かに、友達は多い方だが自分がどんな格かと聞かれても優しいとは答えられないし、別に特別なことなどしていなきのだが。

「うん。自覚してないだけでとっても優しいよ。だからこれからもよろしくね興くん」

「ああ。八恵を一人で相手にするには疲れてたところだ。よろしく頼むぜ」

「そう? 八恵さん、とっても面白い人だよ。私たちお友達になったんだから」

「そうか、それは良かった。ならこれからの生活も何とかなりそうだな」

今日の晝休みでは犬猿の仲なのではと思っていたが、どうやら要らぬ心配だったようだ。

子というのは良く分からん。

「うん。お母さんが出かけてから不安だったけど今日から楽しくなりそう」

「ああ、そうだな」

馴染の理沙が加わってまた騒がしくなったが、一人よりはマシだ。

だが俺は異ということを全く知らなかった。

    人が読んでいる<奴ら(許嫁+幼馴染諸々)が我が家に引っ越してきたのだが…>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください