《奴ら(許嫁+馴染諸々)が我が家に引っ越してきたのだが…》役割分擔
「う〜ん、あれ? 俺、なんでこんなところで寢てるんだ?」
ソファの上で、しかもご丁寧に布団までかけられている。
思い出そうにも頭が痛くてどうにもならない。
「興様、お目覚めになられましたか。ちょうどいいところですわ。私たち、これからどうするか話し合いをしていたところですの」
ソファから起き上がり、テーブルの方へと目を向けるとそこにはパジャマ姿の八恵と理沙の姿があった。
八恵は髪と同じオレンジの水玉模様のもので、袖などには白いフリフリがついていて清楚さが際立っている。
一方、理沙はピンクのストライプが目立つもので、いかにもの子といったじだ。
「これから? 別にそんなの考えなくも……」
「興くん。興くんがそんなのだとまた同じ過ちを繰り返さないために計畫する必要があるんだよ」
何のことかサッパリだが何故かその言葉には説得力があり、仕方なく興はそれに従うことにした。
「そ、そうか。で、俺が寢てる間に何か決まったのか?」
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いつから寢てしまったのかも記憶にないが覚的には一時間かそこらは寢ていた気がするので大は決まっているのだろう。
「うん、とりあえず朝ごはんは八恵さんがつくって夕飯は私がつくるこにしたの」
八恵の料理はあの弁當で証明されているし、理沙に至ってはお母さん級でどちらにも問題はない。
「ふ〜ん。じゃあ俺は晝は購買で何か買うようにするけどお前らはどうする?」
「え? 興くん弁當じゃないの? 前は自分でつくってきてたのに」
「あの時は今回と違って親父が早く帰ってくる予定だったから料理の腕が鈍らないようにするためにしてたけど一年、二年も弁當つくるのはキツイんだよ」
朝早く起きなくちゃあいけないし、親父が帰ってきたら帰ってきたでその分つくる量が増える。
あの親父が料理などできるはずもないので朝ごはんも夕飯は全部俺がつくらなくてはいけなかった。
それで授業中は眠くなってしまうのだ。
だから二年生になったら手間暇がかからない購買で買うことに決めていたのだ。
「でも、購買で毎回買ってたらお金かかっちゃうから私たちが代でつくってあげようか?」
「いや、いいよ。金は親父が送ってくれるし、お前らに迷かけたくない。その分、朝ごはんと夕飯は期待してるぜ」
「うん、わかった。じゃあ興くんは買い出しをよろしくね。洗濯は私たちがやっておくから」
「おいおい。それじゃあ俺の仕事がな過ぎるだろ。せめて洗濯くらいさせてくれよ」
「興くん。おじさんと二人きりで生活してたし、華蓮ちゃんはここ最近忙しくてこの家に泊まったりしてないから忘れてるかもだけど、の子には見られたくないがあるんだよ」
そう、下著だ。
年頃の男が同い年の子の下著を洗濯をするのは流石にまずい。
なので洗濯は任せてくれと言っているのだ。
「わ、わかった。洗濯は二人に任せるけど俺に何か手伝えることがあったら遠慮なく言えよ。どうせ暇してるんだからさ」
部活は友和と同じ帰宅部。帰りにゲーセンに寄ったりしてるだけで、これといって用事がないから逆に時間を無駄にしないために手伝いたいくらいだ。
「うん、ありがとう。じゃあ、全部決まったことだし興くんはお風呂ってきたら? 私たちは夕飯の準備してるから」
し遅めになってしまったが、臺所を見たところもうすぐ完のようだ。
「お風呂……。ああ、そういえばってないな。でもお風呂……。何か引っかかるな」
思い出そうとしてもやっぱり頭痛がするので手でそれを押さえつけながらブツブツと言いながら風呂場へと向かうのを確認して、ようやく八恵が口を開いた。
「どうしてあの事を言わないのかしら? 私には教えてくれたじゃない。なら、興様にと話してみては? あの方ならきっとけれてくれるはずですわ」
「う……うん。それはわかってるんだけど、やっぱ怖くて…」
「今の関係が壊れてしまうのが、ですか? しかし、いつかは知られる事実なのですよ。ならば理沙さんが直接興様に言うのが道理ではありませんか?」
その真実がどれだけ彼の心を揺させるものであっても本人が言わなくてはいけない、と理沙も知っているのだがまだ行に移せるほど理解はできていない。
「そう……なんだけど。ごめんね。やっぱり私怖いの。興くんは興くんなのに、まるで別人になっちゃうみたいで」
勿論、天坂 興が別人になることなどあり得ないが理沙にはとても遠い存在になってしまういそうで全てを打ち明けるための決心がつかない。
「分かりましたわ。私も無理強いはしません。ですが、後悔だけはしないようにしてください」
こうして同士で大事な話をしている中で興は今だに風呂で頭を抱えてて、あの事を思い出そうとしていた。
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