《奴ら(許嫁+馴染諸々)が我が家に引っ越してきたのだが…》生徒會長登場‼︎
八恵に続き、理沙が我が家に引っ越してきてから早一週間。
あの時決めた分擔で各自やることをやって、安定した毎日を過ごせている。
たまにハプニングもあるがそれ以外は何の問題もない同居生活のはずだったが、今興の目の前には艶やかな長い黒髪の先輩が仁王立ちしている。
二人が可い系なら彼は綺麗系だろう。
目が大きく、まつがキリッとしていて『凜』という言葉が似合う人だ。
「貴方、天坂 興くん……よね?」
「え〜と、俺に何か用ですか?」
質問を質問で返すようで悪いが怒られるようなことなど一切していない。
それなのに目の前の先輩は不機嫌そうな顔つきでいつもの席に座り、購買で買ったパンに噛り付いている俺を見つめてくる。
同席していた友和もポカンとして何が何だか分からないといった狀況だ。
「実は最近貴方が子生徒と同居しているという噂が流れていて、一応だけどその真偽を確かめに來たの」
八恵が興の許嫁というので一時期騒になったがそれは元から無理だったのだと諦めて、収集がついたが次は八恵はあの虹咲グループのご令嬢なのだから凄いところに住んでいるのでは? ということ興味を示し始めた。
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なので誰かが興たちの後をつけて、一緒に家にるところを目撃されたのかもしれない。
「え、ええと先輩は噂好きなんですか?」
「バーカ。お前このお方を知らなのか⁉︎ 現生徒會長の織原おりはら 魅雨みう先輩だぞ。頭が高い、控えおろう〜っ!」
「お前いつの人だよ」
何処かで聞いたことのある臺詞だが紋所もないので控えることはできない。
「それで、どうなのですか? 私はただの噂だと思っているのですが、やたら質問して來る人が多くて困ってるの」
生徒會の仕事も忙しいのだろう。心なしか顔が悪いように見える。
「も、もちろんただの噂ですよ。なので生徒會長は気になさらないでください」
何と言うか、大きな膨らみ……もとい、生徒會長のオーラ的なもので自然と敬語を使ってしまう。
「何か証拠になるようなものはありますか?」
「いえ、ありませんけど」
というか、逆に同居していない証拠とはどんなものかを聞きたいのだが相手が相手なのでそれ以上は何も言わない。
「なら今の言葉が噓だという可能もありますね」
「ちょっ! なんでそうなるんですか? しくらい後輩を信じてくれてもいいじゃないですか」
実際、噓をついてはいるが最初から疑っているのは癪に障る。
「貴方を後輩だと思ったことはありません。それに男は特に噓をつくから気をつけろと母に言われていますので」
「親に言われたからそれを鵜呑みにしてるんですか? それっておかしくないですか?」
殘念ながらこちらの親は自由奔放で何も教えてはくれなかったが、それは自分で正しいことを見つけろという意図があってのこと(中學の時に酔っ払って本音を言ってくれた)で指図などは一切されていないがそれに従うだけではその人らしさがなくなってしまう。
「貴方に何が分かるんです……。とにかく、私は貴方を信用していません。ので、今日の放課後貴方の家へ訪問してこの目で真偽を確かめることにします。これは生徒會長命令です。貴方に拒否権はありませんので」
それだけ言い殘すと薔薇の匂いがする黒髪を翻してモデルのような歩き方で本館に去って行った。
「ひょ〜、大変な事になったな興。で? どうするよ、このままだと同居してるのバレちまうぞ」
「だけど斷るわけにはいかないだろ。生徒會命令って言われたし、何よりあの先輩は俺を信じてないみたいだからな」
いくら言葉を並べても耳を傾けてはくれないだろう。ならば見せた方が手っ取り早い。
「にしても急だったな。確かにお前と八恵ちゃんは々と目立ってて、同居してるかもって噂も出てくるくらいになったけど生徒會長自らくとはね〜。ま、あの凜々しい姿を拝見できたら良しとするぜ。これは俺調べだが、織原先輩は三年の中でも一番大きいぜあれは」
一人の男としてその報は気になるが今は他のことで頭がいっぱいだ。
無論、後でじっくりと詳しい話は聞かせてもらう。
「そうかよ。それよりも友和、お前今日の放課後暇か?」
「おいおい、それは帰宅部で彼なしで働きたくなくてバイトをしていないこの俺に言う臺詞か? というかむしろ面白そうだから俺も參加させろっ!」
「おう、サンキューな。じゃあ、あとは理沙たちにも教えないとな」
協力はしてくれるだろうが、念のために早めにこの事態を報告したいのでパンを無理やり押し込んで二人がいるであろう教室へと早足で向かった。
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