《奴ら(許嫁+馴染諸々)が我が家に引っ越してきたのだが…》弟と姉

「君にあの時話しかけたのも弟だと知っていたからだ。噂を聞いた時は君に近づくチャンスだと思った。母さんから々な話を聞いていたがどれも客観的なものばかりだったし、何より弟がいるなら一度會ってみたかったんだ」

百聞は一見にしかず、という諺ことわざがあるように自分の目で確かめたかった彼はあんな強引なやり方で試すことになったが、今ではその選択は間違いではなかったとを張って言える。

「そう……か。それなら最初に言ってくれればよかったのに」

親父がバツイチで前の人との子供がいるとは聞いてはいたが、それが織原先輩だと気づけなかったのは彼が母親似だったからだ。ちなみに興は良く親父似と言われており、何も知らない人からしたら二人はただの先輩後輩にしか見えないだろう。

「なかなか勇気が出なくてね。なかなか言い出せなかった」

「でも最終的にはこうして教えてくれたんだから気に病むことはないけど、呼び方どうしよう?」

姉なのはさほど問題ではない。

親父からバツイチで前の妻とは一つ上のの子がいると聞いていたかはいつかはこうなるのでは予期していた。だがそれが生徒會長であり、面識のない織原先輩だというのが問題だ。気が緩むと使うなと言われている敬語を使ってしまう。

「別に呼び方なんて何でもいいだろ。二人にも私は君の姉だと伝えておいた。これから何かとお世話になるだろうしな」

これからどうするかは今だに決めていないがこのままでは帰れない。

「その天坂くんとか君ってのやめてくんない? そんは風に呼ばれ慣れてないからムズいんだよな」

いつもは下の名前で呼ばれるから一瞬反応に困ってしまう。

「ふむ、ならばお互い下の名前で呼び合うことにしよう。それなら公平だろう?」

「でも俺の場合は姉ってつけなきゃな」

「なら私は弟とつけなくてはな」

「興弟……語呂悪いからつけない方がいいと思うんだが」

何故対抗してきたかは不明だがどんな読み方にしても違和しかなく、その案は言った本人も含めて「ないな」と思ったので卻下された。

「なら興だな。ふふっ、だがこれはし新鮮だな」

特に魅雨は一人っ子として育てられたので兄弟というものが初めての験なのだ。いつもよりテンションは高い。

「そうだな。でも魅雨姉は言いやすくていいな」

「うむ。これでお互い呼び方は決まったな。ならこれからどうする興。私は時間があるのだが」

「うーん、俺も暇だけど……どうしよう?」

しかし、今は朝の十時で出かけるのには微妙な時間帯なのだが何もしないというのは勿無く思えてくる。

どうしようかと頭を悩ませていると突然家の電話が鳴りだしたので興はいつもの癖で雑にそれを耳に當てると全く聞きなれない聲で驚いたが話を聞いてすぐに誰なのか分かった。

とりあえず、上手く話をつけて終えて電話を置くと魅雨がこちらをジッと見つめていた。

「なんだったんだ? 深刻な顔をしていたが」

「別に……親父からちょっとな。あと用事できたから俺は出かけてくる」

「なら私も行こう。どうせここにいても興がいないのならやる事はないからな」

引っ越して來たが荷は一切ないし、ここで魅雨が楽しめるのはテレビくらいだろう。ゲームとかもあるが多分やらないだろうから確かに魅雨がやる事などない。

「いや……魅雨姉には関係ないからここで待っててくれ。すぐ帰ってくるから」

用事といっても行くところはさほど遠くない。

「関係ないだと? 姉である私に関係ないことなどあるのか?」

「そりゃあるよ。とにかく、今回だけでいいから大人しくしててくれない魅雨姉」

姉と付けて呼ぶと喜んでくれるので、ここはこれに頼ることにした。

「む〜、分かった。だが必ず帰ってくるんだぞ。私が晝食を作っているから安心して行ってこい」

「ああ、サンキューな」

必ず帰るとも。

晝食が作られる前に。

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