《奴ら(許嫁+馴染諸々)が我が家に引っ越してきたのだが…》比良家にて

「ほほう、華蓮ちゃん帰って來たのかそれはオメデタだな」

友和の家に著いて早速ゲームをしながら妹の帰宅を報告したが、やはりあのニュースで予想していたのかあまり驚きはない、

「更に賑やかになって大変なだけだ。それに比べてお前はいいよな。俺なんてまともにゲームもできないぞ」

別に見られて困るゲームということではなく、テレビゲームが全くできない。

何故か家は馬鹿デカイのにテレビは一臺しかなく、八恵に頼んでも「流の場を増やす為ですわ」と言って聞かない。

確かに、部屋にテレビがあると家族と會話することがなくなるしいが何かの謀がじられる。

しかし、おで皆とは仲良くなれた気がする。

里沙は馴染だから引っ越す前からそうだったか魅雨姉は意外とおっちょこちょいな所(特に料理)があったりして、発見が多い。

八恵は相変わらず読めない所が多いが、それでも最近は魅雨姉とも仲良くしているようだ。

「いやいや、俺としてはお前の方がよっぽど羨ましいぞ興。なんたって許嫁、馴染、生徒會長、更には妹。ハーレム狀態じゃねーか! 俺じゃなくとも世界中の男子が羨むぞ」

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「そ、そうか?」

隣の芝は青いという現象ではないだろうか?

意味は良く知らないが俺は今の狀況にあまり喜んでなどいない。

賑やかになったが何しろ自分の時間というのがない。シェアハウスってきっとこんなのだろうな。

「それに生徒會長が姉だった? ドラマか? ってツッコミたくなるぜ全く…」

どうせ魅雨姉の方も隠す気がなかったようだし、こいつはたまに勘が鋭い時があるからすぐにバレるだろう。

ならばと思って先に教えておいた。

「俺も最初は驚いたぜ。でもお前も姉はいるからいいだろ?」

何度か會っているから噓でも脳の話ではないと俺は知っている。

「お前勘違いするなよ。俺の姉貴は姉貴であって姉貴ではない。ただの俺をからかって楽しみドエス野郎だ」

詳しい容は決して話してはくれないが、友和の必死なじからしてかなりキツイことをされているのだろう。

「ほう、言ってくれるじゃねーか友和。お前の言はそれでいいか?」

「あ、姉貴⁉︎」

今日は友達と出かけていると聞いたがどうやらそれは友和を騙す為のフェイクだったらしく、ニンマリと笑ってその人が登場した。

「お久しぶりです夏芽なつめさん」

比良 夏芽。

友和の三つ年上の姉で、現在大學生活をエンジョイしつつ弟をからかうのを趣味としているちょっと変わった人だ。

長い茶髪で、大きく発達したがお姉さんを出しているが服はシャツにジーパンと結構ラフなのが多い。

「お、興か。久しぶりだな。聞いたぜお前の家ハーレム狀態になってるんだろ?」

「だから違いますって。皆困ってたから余ってた部屋を貸しただけですよ」

だから何度も言うようだな疚しい事など一つもないのだ。それだけは信じてほしい。

「ふ〜ん、ならいいがそれよりトモ! お前私の悪口言ってたよな。後でお仕置き決定だ」

トモとは友和の略稱だがこんな呼び方をするのは世界広しといえど夏芽さんくらいだろう。

「ちょ、姉貴それはないだろ? 俺が何したっていうんだよ。興もなんとか言ってやれよ」

助けを求めるようにこちらに懇願するような目で見つめてくる。こんな友和は珍しい。

「そうですよ夏芽さん。友和は悪くありません」

「おお、興……」

と、一瞬期待させてからの

「友和が夏芽さんの悪口を言ってるのはしょっちゅうですから気にしなければいいんです。週に一回くらいは悪口聞かされますけど気にしないでください。大抵俺の姉貴はドエスとしか言ってませんから」

上げて落とす作戦。

「ちょ、お前っ!」

止めようとするがそれは後の祭り。

既に夏芽は拳の骨をボキボキと鳴らして友和に一歩一歩近づいている。

「ほほう。愚弟貴様、興にそんな事言ってたのか。これはいつもの倍……いや三倍のお仕置きが必要なようだな」

「じゃあ、俺はこれで失禮しまーす」

時間的にもうそろそろ帰らないと暗くなってしまうし、ちょうど良いタイミングだと思いゲームのコントローラーを置いて荷を手に取る。

「おう、気をつけて帰れよ」

夏芽さんはいつもこう言って笑顔で送ってくれる良い人だ。屈託のない笑顔というのだろうか? 俺はそんな姉を羨ましく思う。

もちろん、魅雨姉もいいが夏芽さんは天真爛漫でいろんな所に大人な魅力があるなー。

そんなことを考えながら外に出ると友和の悲鳴が聞こえてきたが、振り返らずにただ我が家へと歩みを進めた。

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