《奴ら(許嫁+馴染諸々)が我が家に引っ越してきたのだが…》褐の後輩
放課後、今日は珍しく一人で帰ることになった。
いつもなら皆と一緒でワイワイと帰るのでし寂しい。
それに誰も理由を教えてくれなかったのが気になる。友和も何故か何も言ってくれなかったし。
「さて、どうするかな」
近くにあるゲームセンターにでも行こうか?
しかし、殘念ながら財布の中はスッカラカン。
なら本屋で立ち読みを……と歩きながら頭をフル回転させていると道を阻むように目の前に褐で金髪のが立っていたので橫からすり抜けようとするが移してまたもや通せんぼしてくる。
それを繰り返して何度かにこれはスルーはできないと諦めてその道を阻んでくると顔を合わせた。
「俺に何か用?」
その短い金髪はピンクのヘアピンで左右に分かれており、特に目がいったのは部分のボタンが開けられていてよく見える谷間だ。多分、俺が今まで會ってきた奴の誰よりもデカイ。
「赤石あかいし 徹とおるっていう名前に聞き覚えはある?」
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「ん〜と、何処かで聞いたような……」
だけど俺とどんな関係だったのかまでは全く思い出せない。
「ちゃんと思い出して」
「いや何か俺も気になってきたからちゃんと思い出すけどさ〜、お前って誰? 一年生だよな」
三年は赤、二年は黃、一年は緑と學年ごとに上履きので差別化されているがこの娘は育館で何度か見たことがあり、その時に緑の上履きを履いていたので一年ということは間違いない。
言い訳をさせてもらうと決して疚しいことはなく、友和がこの學園で可い子生徒を探すということをしているのに付き合わされた時に彼が上位に位置付けられていたから印象が深かったというだけに過ぎない。殘念ながらその見た目から夏芽さんの顔が連想されるので優勝には至らなかったが。
「思い出したら教えるからサッサと思い出して」
「そんな橫暴な……」
いきなり言われても忘れたことを思い出すというのは至難の技だ。しかもヒントが名前だけとなるとかなり難易度が高いように思える。それにもし子供の頃のことだったら絶対に思い出せない自信がある。
「ん〜、やっぱり思い出せん」
「話にならない」
呆れてしまって帰ろうとするが一方的すぎて意味が不明だ。せめて名前だけでも聞こうと止めにる。
「おい待てよ。金髪野郎……ん? 金髪ってもしかして南風中の王子か」
俺が通っていた中學校からさほど遠くないところにある南風中學校。
そこでエースをやっていたのが南風中の王子という異名を持つ長髪で金髪の男こそが質問にあった赤石 徹だったのをようやく思い出した。
「やっと思い出したの。遅過ぎ、兄貴がこんなのに負けたなんて噓みたい」
「兄貴……ってお前あいつの妹なのか!」
そうとしか考えられない。
しかし妹が戻ってきて、今度は昔の知り合いの妹と出會うことになるなんて妹続きだな。
「そう、あんた昔は兄貴と同じテニスやってたんでしょ?」
「今は見ての通りの帰宅部だけどね」
確かに中學の時はがっつりテニスをやっていたが今では日々を無事に送るだけで一杯だ。
「へえ、でもルールは忘れてないでしょ。ちょっとついて來て」
することもないし、あいつの妹となると急に興味が湧いてきたので言われるがままに彼の後を追って行くことにした。
***
「あの、興様に対してあんな口の聞き方……失禮にほどがあります」
「制服の著こなしがなってないな。ちゃんとボタンをつけるよう注意せねばな」
「興くん、大丈夫かな?」
電信柱の影から興と金髪とのやり取りを見ていた者が三人。
「あ〜れ、そんなとこで固まって何してるんの?」
そんな三人に聲をかけたのは學校が終わってすぐに駆けつけてきた華蓮だった。
「む、華蓮帰りか? 実はあの後輩がいきなり話しかけてきてな、放課後に興と喋りたいから邪魔しないでくれと言われたんだ」
それは魅雨だけでなく友和にも伝えられ、興は一人悲しく帰る結果になったのだ。
「私は何も言われなかった。妹なのに」
「學校が違うからな。必要ないと思われたんだろう」
「華蓮ちゃん中學生だからね〜」
興と二人っきりで話したいのなら華蓮を無視して早めに會えばいいのだ。
「ふ〜ん、でもあの人ってお兄ちゃんとどんな関係なの? 馴染の里沙ちゃんなら知ってるよね?」
「う、ううん知らない。何処かで似たような人とは會った気がするけどあの人は男の人だったから……」
だけど、やはり似ているが確信がないのでそれ以上は何も言わない。
「にゃるほど。それにしてもあの金髪ちゃん。デカイですな」
遠目でも分かるあれが富士山級なのには流石の華蓮も呆気に取られて見ってしまった。
「デカイわね」
「確かに大きいな」
「……完全に負けた」
に手を當てる里沙は一気にどんより気分になった。
「里沙ちゃん落ち著いて。とりあえず、追いかけるよ」
華蓮の指示によって三人は立ち上がり、二人の後を追った。
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