《先輩はわがまま》3
*
翌朝のことである。
結局先輩は俺の家に泊まっていった。
それはいい、いつもの事だから、どうせそうなると思った。
しかし、俺は一睡も出來なかった。
それは何故か……。
「先輩……夜中の間、ずっと俺の貞狙うのやめてもらっていいですか…」
そう、先輩は隙あらば俺を襲おうとして、俺の布団にってきた。
俺はそのたびに抵抗し、先輩から逃げていたため、一睡も出來なかった。
寢たらやられる。
そういう思いで、俺は朝日が出るまで耐えた。
「だって~もう彼氏と彼なんだよ? やるでしょ?」
「の子がやるとか言わないで下さい……」
俺と先輩は朝食を食べながら、そんな話しをする。
今は朝の九時、先輩はトーストをかじりながら、俺の正面に座っている。
昨晩、人同士になった訳だが、一日もしないうちに、俺は本當にこれで良かったのかと疑問に思う。
「付いてるよ」
「あ……す、すいません」
先輩は俺の口元のソースをティッシュで拭き取ってくれる。
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そんなふとした仕草に、俺は思わずドキッとしてしまう。
やっぱりこの人はなんだかんだ言っても可い。
こんな人が、今日から俺の彼で本當に良いのだろうか?
「ごちそうさま、食臺所に置いておくわね」
「あ、あぁはい……」
見慣れたはずなのに、昨日の先輩の言を思い出すと、先輩の顔がなんだか違う人の顔のように見えてくる。
正直、いつも以上になぜだか可く見えた。
俺も食事を終え、食を片付ける。
先輩は一向に帰る気配もなく、俺のベッドで寢ながらスマホを弄っている。
「あの……帰らないんですか?」
「なに? 彼に居てしくないの?」
「そういう意味じゃなくてですね! いつもは朝飯食ったら帰るじゃないっすか……俺晝からバイトなんです」
「そう……ならもうししたら帰るわ」
「まさかと思いますが……今晩は來ませんよね?」
「何を言ってるの次郎君……」
先輩は笑いながら俺を見てそういう。
あ、流石に先輩でもあんなことがあった後だし、流石に今日はもう來ないんだ。
俺はそう思っていた……次の先輩の言葉を聞くまでは……。
「著替えとか要るとって來たらすぐに帰ってくるわ」
先輩は笑顔でそう言うと、ベッドから起き上がり、髪をくしで解かし始める。
「えっと……なんでそんな事を?」
俺は恐る恐る先輩に尋ねる。
すると、先輩は恐ろしい一言を俺に言い放った。
「決まってるでしょ? しばらくここに住むからよ」
その言葉を聞いた瞬間、俺は固まった。
*
「いらっしゃいませ~」
俺はバイトの時間になり、バイト先のハンバーガーショップで、お客さんの対応をしていた。
表面上はニコニコして、接客をしているが、心の中では先輩との今朝の會話を思い出して、気が重い。
「はぁ~……なんでこうなったんだ……」
ハンバーグを鉄板で焼きながら、俺は溜息をらす。
注文の商品を作りながら、これからの事を考えると気が重たくなる。
寢る時はどうすれば良い?
風呂だってどうする?
洗濯だって、一人の時とは違う。
「はぁ……」
「どうかしたんですか、先輩?」
「ん? あぁ、実(まなみ)ちゃんか……」
尋ねて來たのは、バイト先の後輩で高校三年生の石川実(いしかわまなみ)ちゃん。
仕事覚えが早く、想も良く、真面目で頑張り屋な良い子だ。
バイト先で、一番仲の良い子で、バイト以外でも偶に遊びに行ったり、相談に乗ったりする。
見た目は今時の子高生と言うじで、軽そうなのだが、見た目に反してしっかりしている子だ。
初めて會った時は正直ギャルかと思ってしまったが、話ししてみたら、普通に良い子で見た目で判斷してしまった自分がけなくなった。
ふわっとウエーブの掛かったショートボブの茶髪に、細い手足と丁度良いサイズの。
普通に可いし、お客さんから聲を掛けられる事も多い。
「いや、ちょっとね……昨日々あって……」
「々ですか? あ! もしかしてついにあの嫌な先輩に申したじですか!?」
「……まぁ、言うには言ったんだけど……ちょっと予想外の結果になってね……はは」
「予想外? 何かあったんですか?」
「えっと……まぁ……ちょっとね……」
昨日の事を全部説明しようとしても、正直信じてもらえないだろうと俺は思い、それ以上は言わなかった。
俺は実ちゃんには、大學で面倒な事を押しつけてくる先輩がいて、その先輩との付き合い方で悩んでいると、何度か話しをしていた。
「何かあったら、また相談にのりますよ?」
「ありがとう、俺は昨日そのせいで満足に寢れなくてねぇ……」
「大変ですね……今日は家に帰ってゆっくり寢てくださいね!」
「……いや、寢たらヤバイ……」
「どう言う狀況なんですか……」
実ちゃんとそんな話しをしている間に、バイトの時間は終わった。
最近のシフトは、実ちゃんと同じ時間に終わることが多いので、今日も実ちゃんと一緒にバイトから上がる。
「はぁ……疲れた」
「今日は混みましたね~、流石休日」
「そうだね、最近店長が売り上げが上がったって喜んでたし。この調子じゃ、去年以上にクリスマスは忙しくなりそうだなぁ……」
「先輩は今年もクリスマスはバイトに出るんですか?」
「まぁ、今のところ予定は無いし……それにクリスマスに一人で家に居るより、バイトでもしてたほうが気が紛れるからね」
「そ、そうなんですか……で、でも誰かと遊びに行きたいとか思いません?」
「まぁ、そうは思うけど……生憎友達は皆彼とデートだし……う相手もなぁ……」
別に友達がない訳では無い。
ただ端に、友達に彼持ちが多いのと、クリスマスに野郎だけで集まるのが空しいと思っているだけで、うおうと思えば、える相手はいくらでもいる。
全員男だけど……。
「じゃ、じゃあ……その……私と………」
実ちゃんがもごもごしながら何かを言おうとしたそんな時、スタッフルームのドアがコンコンと二回ノックされた。
「はい?」
一旦話しを中斷し、俺はノックに答える。
「あ、岬君? なんか君を尋ねて來た人がいるんだけど」
ノックの主は店長だった。
二十代後半の優しい顔つきの人でいつも優しい。
「え? 俺ですか?」
一誰だろうか?
バイト先に尋ねてくる人など、いままで居なかった。
俺はとりあえず、バイトの制服のままスタッフルームを後にする。
「なんか、凄く綺麗な子だけど……」
「え……き、綺麗な……」
「うん、モデルみたいでビックリしたよ。岬君、そういう知り合い居る?」
「……すいません、もう帰ったって言ってもらえませんか?」
俺はバックヤードで、店長にお願いする。
その理由は、その尋ねてきた綺麗なの正が、なんとなくわかってしまったからだった。
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