《先輩はわがまま》9

「……あの日だって……クリスマスに一緒に映畫行こうってうつもりだったのに……」

「いや……それは間が悪くて……ごめん」

「謝んないで下さいよ、先輩は何も悪くないんですから……悪いのはいつまでも先輩に迫って行かなかった私なので……」

「せ、迫るつもりだったんだ……」

なんとも申し訳ないが、俺は今は先輩と付き合っている。

いくら目の前のバイトの後輩のの子が、良い子で可いと言っても、浮気は良くない。

それに、俺は多分、実ちゃんより先輩が好きだ。

なんだかんだ言っても、あの人の裏も表も知っているし、あの人はなんだか放っておけない。

「……ごめんね、俺は先輩のことが……」

「そうですか。でもそんなの些細な事です」

「え?」

「だって、奪えば関係ないじゃないですか」

「え? え?」

「だから、奪っちゃえば問題ないですもん」

「what?」

「なんで突然英語なんですか?」

俺としたことが、実ちゃんが何を言っているのか理解できず、混してしまった。

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しかし、実ちゃんはこんなとんでもない事を言うような子だっただろうか?

なんだか、今日の彼し恐い……マスターも小刻みに震えている。

マスター……コーヒー零れてますよ……。

「先輩、私の事嫌いですか?」

「い、いや……嫌いじゃないけど……」

「それなら、まだみはありますよね? なら、私はあの人から先輩を奪います」

「えっと……他の人を好きになるとかは……」

「無いです。私先輩の事大好きですもん」

恥ずかしげも無く、なんとも良い笑顔で恥ずかしい臺詞を……。

マスター何顔を赤くしてんだよ……マスターが恥ずかしがらないでくれ……。

まぁ、確かに子高生にそう言われるのは、嬉しいんだが……こう言うの晝ドラみたいな展開はあまりよろしくない気がする。

実ちゃんには、別な良い人と幸せになって貰いたい。

「えっと……俺は先輩の事が好きだから…そう言うのはちょっと……困るかな?」

「本當ですか?」

「え?」

「本當は子高生に大好きって言われて。嬉しいとか思いませんでした?」

「えっと……それは……」

まぁ、嬉しかったけど……。

「私がもしも、先輩に何でもして良いですよって言ったら、先輩絶対私にエッチな事しますよね? それって私の気持ちを迷と思ってないって事ですよね? むしろ嬉しいですよね?」

「いやいや! なんで俺が実ちゃんにエロい事するみたいな話しになってるの! しないから!」

本當はその場の雰囲気とかでやっちょうかもだけど……。

だって、俺だって男だし、実ちゃん可いし……抑えられない事だってあるよ……。

「でも、雰囲気とかに流されちゃったら、絶対しますよね? 私は問題ないですけど」

「君はエスパーか何かで?」

なんでだろう、いつもの実ちゃんのハズなのに、全く別人と話しをしているようだ。

俺の知っている実ちゃんは、元気で明るくて、仕事もテキパキ出來て、良い後輩なはず……なのだが……。

「先輩、なので今からお部屋に行ってもいいですか?」

「え?! へ、部屋?? な、なんでかな?」

「そんなの先輩をするからに決まってるじゃないですか。前に行った時は、こんな事になると思ってなかったので何もしなかったですけど……今夜は泊めてくれても良いんですよ?」

「いやいや未年! な、なな何を言ってるのかな!?」

「だから、するので今夜泊めて下さい」

「そ、そ…そんな事を言われて、俺が泊めると思うのかい?」

「顔真っ赤ですよ? 何を想像してるんですか、先輩?」

そのワードも確かに気になったが、問題は他にある。

今現在、俺と先輩は半同棲中。

もちろん、家に実ちゃんを連れて行ったら、先輩に何を言われるかわかったもんじゃないし、連れて行ったら修羅場になる事は火を見るよりも明らかだ。

「と、兎に角ダメだ! もうそろそろ暗くなるし、実ちゃんは帰りなさい」

「む……分かりました。じゃあ、せめて家まで送ってしいです」

「ま、まぁそれくらいなら……」

「じゃあ、行きましょう。先輩」

笑顔で言う実ちゃんの笑顔に、俺はなんだか寒気がした。

「ち、ちなみに家の人は居るよね?」

「………さ、行きましょう!」

「何! 今の沈黙は何!!」

俺と実ちゃんはそんなじで店を出た。

店を出るさい、マスターが親指を突き立て、俺にグッとをしてきた。

それは頑張れと言う意味なのだろうか?

てか、マスター全部聞いてたのかよ!

「た、ただいま~」

俺は実ちゃんを家にまで無事送り屆け、自宅のマンションに帰宅した。

実ちゃんの家まで行ったのは良かったが、そこからが長かった。

実ちゃんの両親は、今夜は遅くなるらしく家におらず、実ちゃんは折角だからと家に上がるように俺を促して來たが、なんか恐かったので遠慮した。

しかし、実ちゃんはそこで簡単には引かず、俺を家にあげようとあれやこれやと々してきた。

結果、俺はスキを見てダッシュで家に帰って來たと言うわけだ。

あぁ……今度のバイトの時、実ちゃんにどう接したら良いもんか……。

「おかえり、遅かったのね」

々ありまして……飯、今作るんで」

「それより、はい」

「え……」

出迎えた先輩は、俺の顔を見るなり、俺の頬に手を添えてキスをしてくる。

「おかえりのキス」

「……えっと……あ、あの……」

「何? 照れちゃって~、こういうことしてもおかしく無い関係でしょ? 私たち」

「普通、そういうのは夫婦でするものでは?」

などと言いつつも、俺は自分の顔が熱くなり、心臓がドキドキするのをじた。

この人は唐突にこういうことをしてくる。

本當に卑怯な人だ。

「良いじゃ無い。お腹減ったから早くご飯作って」

「はいはい、分かりましたよお姫様」

俺はそう言いながら、荷を下ろし、晩飯の支度を始める。

先輩は俺のベッドに戻り、ゴロゴロしながらスマホを作し始める。

「先輩」

「何?」

俺は何となく先輩にとある事を聞きたくなって、聲を掛ける。

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