《先輩はわがまま》19

俺はそんな先輩から目を離さなかったが、先輩はさっきから俺と目を合わせようとしない。 いつものあの調子は何所に行ったのやら……。

「先輩」

「な、何よ!」

「もう……良いですか?」

「そ、そんな事聞かなくて良いから……」

俺は先輩にもう一度キスをして、そのまま先輩をベッドに押し倒す。

翌朝、俺は先輩より先に目が覚めた。

先輩はまだ俺の隣で眠っている。

昨日の夜の事はあまり詳しく言わないが、とりあえずは上手くいった。

これで俺も貞ではないのだが、あまり実が無い。

しかし、そういう事をしたからだろうか、先輩の事がおしくて仕方ない自分が居た。

隣で眠る先輩の髪をで、俺はベッドから起き上がろうとする。

時刻は朝の9時過ぎ、そろそろ朝飯を作らなければいけない。

しかし、先輩は俺の腕にしがみつき離してくれない。

「先輩、先輩」

「ん……何?」

「すいませんけど、離してくれませんか?」

「い・や」

先輩はそう言って、更に強く俺の腕にしがみつく。

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俺はそんな先輩を見ながら、溜息を吐く。

「はぁ……離してくれなきゃ、飯作れないんですけど?」

「もうしこうしてたいの! それに、ご飯は外に食べに行けば良いじゃ無い?」

「俺は午後から大學行かなきゃなんですけど?」

「もうし寢てられるでしょ?」

そう言って、先輩は更に俺を抱きしめる手を強める。

「はぁ……分かりましたよ…」

俺はとうとう先輩の言葉に負け、再び目を閉じて眠り始める。

先輩は待ってましたと言わんばかりに、俺に抱きつき寢始める。

「次郎君……」

「なんですか?」

「今夜も……」

「それは無理です」

「何よ! 昨日はあんなに激しく私を求めてきたのに!」

「そ、そんなに激しくないですよ! それに、明日は朝から大學なんです! 無理ですよ!」

「じゃあ、次郎君は寢てるだけで良いから」

「寢てる俺に何をする気ですか……」

こうしての俺と先輩のいろんな意味で熱い夜は過ぎて行った。

しかし、これ以降、先輩のスキンシップは更に激しくなっていく事をこのときの俺は知らない。

「店長、すいません。ちょっと良いですか?」

「ん? どうしたんだい、岬君」

「いえ、クリスマスのシフトなんですけど、お休みとかもらえますか?」

「え、今年はクリスマスでれ無いの? あ! そっか、彼か……」

「あ、いや…その……まぁ……」

俺は店長に歯切れ悪く答える。

12月にり、今月のシフトの希を店長に出さなければならなくなり、俺は店長にクリスマスのシフトの件を相談していた。

ファーストフード店でもクリスマスは忙しい。

クリスマス専用のポテトとフライドチキンのセットが大量に売れるし、ハンバーガーの注文も大量にる。

その為、毎年クリスマスは開店から閉店まで、いつもの倍の人員を導員して対応する。

クリスマスに休みを貰うとなると、早めに店長に進言しておく必要があるので、俺はこのタイミングで店長に相談したのだ。

「そっかぁ~いいなぁ……俺なんてもう27なのに……彼も無しで、店でチキンを揚げるクリスマス……あぁ、死にたくなってきた……」

「て、店長にもそのうちいい人が現れますよ!」

俺は店長をめ、俺は引き続き店長にシフトの相談を続ける。

「まぁ、でもクリスマスはバイトの子もいっぱいってくれるみたいだし、大丈夫だよ。折角のクリスマスだもんね楽しんで來なよ」

「ありがとうございます」

俺は店長にお禮を言い、スタッフルームを後にして帰宅しようとする。

すると、同じ時間に上がった二人のバイト仲間の男スタッフに聲を掛けられた。

「次郎君、シフト希出してきたの?」

「そうだけど、安達と小山はまだなのか?」

背の低い安達と、俺と同じくらいの長の小山。

小山は同い年のフリーターで、安達は別な大學の一年生だ。

聲を掛けて來たのは同い年の小山だった。

「俺は今からだよ、やっぱりクリスマスは朝から晩までになりそうだな……」

「自分、クリスマスって始めて何ですけど、そんなに忙しいんですか?」

聞いてきたのは、背の低い安達だ。

この二人は俺よりも後にって來たのだが、歳も近いのでこうして偶にバイト終わりに話しをする。

「クリスマスは……地獄だな……」

「あぁ……小山の言うとおりだ」

「えぇ……そんなにですか?」

「鳴り止まないオーダー、止まらないお客さん、夜はカップルが大量発生! マジで一日忙しい」

「うわぁ……嫌だなぁ……でも働かないと、家賃が……」

安達が嫌な顔をしだす。

そりゃあこんな話しを聞いては、誰だってクリスマスは休みたい。

しかし、クリスマスは特別時給になり、いつもより貰える額が増える。

それに釣られて、クリスマスにがっぽり稼ぐ人も多い。

「次郎君は、どうせクリスマスらないだろ?」

「あぁ、そうですよね、あんな綺麗な彼さん居ますし」

「まぁな、俺はってもいいだけど、あっちがそう言う祭りごと好きだから……」

「いいよなぁ~彼とか……羨ましいわ」

「全くですよ……大學ったら、すぐに彼出來るなんて思ってた自分が、今は馬鹿らしく思えてきますよ……」

小山も安達も彼は居ない。

だからか、俺にいつも彼が居て羨ましいと言ってくる。

そんな二人に俺は言いたい、良いことばかりでは無いと……。

「まぁ、クリスマスは頼むよ。悪いけど、俺はそろそろ行かないと」

「あ、ごめんごめん、じゃあね」

「お疲れ様でした」

俺は二人に別れを告げ、家に向かって歩き始める。

先輩と付き合い始めてもうすぐ一ヶ月。

々あったが、今は仲良く付き合っている。

俺は流石に毎日一緒に寢るのは無理があると、新しく布団を購し、最近はロフトで寢ている。

しかし、事あるごとに先輩が俺の布団に侵して來る。

寒いから一緒に寢たい、そう理由を付けて來るが、それがただの口実である事に俺は気がついている。

最近では抵抗する気力も無くなり、なされるままに先輩の抱き枕になっている。

「寒いな……」

雪が降り始め、俺はコンビニ寄って抹茶プリンを買って再び帰路につく。

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