《先輩はわがまま》23

「じゃあ、私はコレで。また店に來てね」

「は、はい……」

マスターはそう言って、街の中に消えて行く。

そして、そのマスターの後ろを追う子高生。

本當にマスター大丈夫か?

そうは言っても、俺が何か出來る訳でもないのだが……。

「事件とかにならなきゃ良いけど……」

俺はそう思いながら、マスターとストーカー子高生を見送る。

この町にはまともな子校生は居ないのだろうか?

「まぁ、マスターも大人だし、大丈夫だろう……」

俺はマスターとの出會いを後にし、自宅への道を再び歩き始める。

しかし、家の近くに來た俺は、近くのコンビニで悩んでいた。

「參ったなぁ~……先輩家に居るし……」

俺は買ってきたプレゼントの隠し場所を何所にするかで悩んでいた。

今日隠せれば、それで良いのだが、問題は何所に隠すかだ。

先輩は、何故かわからないが、俺が何か隠していると、すぐにそれを見抜く事が出來る。

俺が隠し事をしている時は何かしら特徴として出るらしいのだが、俺にそれはわからない。

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「はぁ……どうせなら明日渡したいんだよなぁ……こうなったら、今日は家に帰らないで誰かの家に……」

「あれ? 次郎君?」

「はへ!? せ、先輩……何故ここに?」

俺は驚いて、持っていた缶コーヒーを思わず落としてしまった。

財布だけを持っているという事は、冷蔵庫に抹茶プリンが無くなって買いに來たのだろう……。

「ん、ちょっと買い。どうしたの? コーヒー落ちたけど?」

「あ、いや……別になんでも無いです! プリン無くなってました?」

「うん、すぐ買って來るから、一緒に行こ」

「は、はい……」

先輩はそう言って、コンビニの中にって行く。

俺はそのすきに、プレゼントがった小箱をコートのポケットにしまい込む。

「や、やべぇ……」

俺はそうじながら、このプレゼントを何所に隠すか、必死に考える。

「お待たせ、帰ろ」

「は、はい……」

俺はコンビニから出てきた、先輩と合流し家に帰宅する。

「飯、今作るんで」

「うん……何か手伝う?」

「じゃあ、米炊いて貰えます?」

発しない?」

「しません」

先輩は最近偶に家事を手伝ってくれるようになった。

しかしながら、何年一人暮らしをしていたんだと言いたくなるほど先輩は家事が出來ない。 なので、俺が一緒に居る時以外は先輩に家事をさせないようにしている。

先輩が米を洗って居る間に、俺はコートのポケットのプレゼントを他の場所に移そうと考える。

「次郎君?」

「は! はいぃぃ!!」

「? どうかした?」

「いえ……な、何も……」

「じゃあ、なんでそんなハニワみたいなポーズなの?」

「べ、別になんでも無いですよ! それより洗えました?」

「……うん」

先輩は俺の方をジト目で見ながら尋ねる。

うわぁ……絶対怪しんでるよ……どうしよう……。

俺は疑いの視線を向ける先輩をけながら、ご飯の炊き方を説明する。

「次郎君」

「な、なんですか?」

「何か隠してる?」

「な、何も隠してませんよ?」

「ふーん……」

やべぇーよ、メッチャやべーよ……。

メッチャ見てるよ……どうしよう……。

先輩は疑いの視線を俺に向け続ける。

疑っている……メチャクチャ疑っている……。

俺はなんとか話題を反らそうと、明日の話しをする。

「あ、あの! 先輩明日は暇ですよね?」

「な、なんで決めつけるのよ……ひ、暇だけど……」

「せ、折角のクリスマスだし……あの……で、デートとか行きませんか?」

「そ、そんなに行きたいの? し、しし仕方ないわねぇ~……つ、付き合ってあげるわよ…」

「そ、それはどうも」

よし! なんとか話しをすり替える事は出來たようだ……。

しかし、こっちの計畫も悩みの種ではある。

先輩が喜んでくれるかどうか……。

「ね、ねぇ……」

「な、何ですか?」

俺が々考えていると、先輩が俺の服の裾を引っ張ってきた。

先輩は頬を赤く染めながら、俺に尋ねてきた。

「で、デートって……考えて見れば初めてじゃない?」

「そ、そう言えばそうですね……それ以前にやっちゃいましたけど……」

確かに考えて見ればデートは初めてだ。

なんだかんだと々あったし、ほとんど毎日家で顔を會わせる。

しかも、俺と先輩にはゲームさえあれば、何時間でも暇をつぶせる。

そんな事もあって、外に出てちゃんとデートをするのは、明日が初めてだ。

「ど、どこ行くの?」

「えっと、映畫でもどうかと……一応予約も取ってあって……」

「そ、そう……ち、ちなみにその……ま、待ち合わせは何所にする?」

「え? 一緒に行けば良いんじゃ……」

「う、うるさいわね! には々あるのよ!」

「は、はい!」

明日の話しで盛り上がり、先輩は俺の隠し毎をすっかり忘れている様子だった。

俺は一安心し、先輩と料理を続ける。

クリスマス當日、俺は家で一人だった。

先輩は一旦自宅に帰ると言って、朝から居ない。

映畫はオールナイトで、約束も夕方からなので、俺はその間に家の片付けをしていた。

「ふぅ……こんなもんか…」

綺麗になった部屋を見て、俺は凄く満足だった。

毎日掃除をしても、先輩がすぐに散らかしてしまう。

なので、こうして徹底的に掃除出來るときは隅から隅まで掃除をする。

「しかし……暇だな」

先輩が居なくなり、約束までは時間がある。

やることも無くなり、俺は天井を見上げる。

「先輩と付き合って、もう一ヶ月か……」

あの日の夜の勝負が、まさかこんな事になるなんて、俺は思ってもみなかった。

そして、先輩と知り合ったあの日も、今のこの狀況は想像出來なかった。

そう、あの日……先輩と初めて出會った、あの日……。

春、俺は験戦爭に打ち勝ち、こうして志した大學の門をくぐって、學式に來ていた。 知り合いは誰も居ない。

実家から離れて、この大學を選んだのは、ただ都會に出たかったと言う、半端な気持ちだった。

都會なら、実家の田舎で得る事の出來ない、何かを得る事が出來ると思ったからだ。

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