《甘え上手な彼♯9

高志と紗彌が付き合い始めて、早いもので一週間が過ぎようとしていた。

この一週間で、周りの視線にも大分慣れてきた高志。

登下校はもちろんの事、放課後の時間を一緒に過ごしていた。

しかし、最近の高志にはとある悩みがあった。

「んで、相談ってなんだよ、男君」

「あからさまに不機嫌な顔をして言うなよ……」

顔を顰(しか)めながら優一は高志の話しを聞いていた。

本日は週末の金曜日、高志は紗彌に、今日は用事があるからと言って、一緒に下校するのを斷り、優一をって學校近くのハンバーガーショップに來ていた。

「けっ! あれだけ見せつけてた癖によぉー! 何が相談に乗ってくれだ、俺がお前に相談したいくらいだよ、どうやったら彼が出來ますか? ってな!」

「なんで俺が怒られてんだ……そう言うなよ、友達だろ?」

「友達? はん! お前に彼が出來た時點で、お前は友人である前に、俺の敵だ!」

「友人ではあるんだな……」

優一の言葉に、ため息を吐く高志。

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こういうじになるのを予想していた高志は、とある用紙を優一に差し出す。

「なんだ、俺はでつられる男じゃないぞ!」

「お前、確か新作のゲームの限定版予約出來なくて嘆いてたよな?」

「それがどうした?」

「ここにそのゲームの限定版の予約済み用紙がある」

「話しを聞こう、友よ!」

で釣られ過ぎだろ……」

隨分とあっさりと連れてしまい、高志は拍子抜けする。

自分は友人の選び方を間違えたのではないのかと思うほど、目の前に居る優一の心代わりは早かった。

「実は……このままで良いのかと思って……」

「何がだ?」

「俺と、宮岡の関係……」

「良いも何も、付き合ってるんだろ?」

「そうだけど……あっちは俺の事を好きだけど、俺は……宮岡を好きなのかどうか……自分でもわからないんだ」

「贅沢な悩みだな。そんなん、付き合っておけば良いだろ? 付き合ってるうちにお前も宮岡の事好きになるかもしれないだろ? っていうか、分かれるなんて言ったら、俺はお前の頭を疑う」

先ほど注文したドリンクを飲みながら、優一は呆れた様子で高志に言う。

紗彌は本當に良い彼だった。

毎日弁當を作って來てくれるし、いつも高志の事を思ってくれていた。

高志自も彼と居るのは楽しかった。

しかし、ながら高志のこの気持ちが紗彌への好意なのか、高志はわからなかった。

そんな気持ちで、真剣に自分を思ってくれる紗彌と付き合っていて良いのかと、高志は悩むようになっていた。

「なんか、好きって言われたから、なんとなく付き合ってるじがして、宮岡に悪い気がして……」

「それでも良いんじゃねぇの? 彼は幸せそうじゃん、前は全く笑ってる顔なんて見なかったけど、お前の前じゃいっつもニコニコしてる」

「え? そうなのか?」

「そうだよ、気がついて無かったのか?」

「う、うん……」

「はぁ……これのどこが良いんだか……ていうか、この話だけど、ようは分かれるべきか、付き合うべきかって話しだろ?」

「えっと……まぁ、ざっくり言うと……」

「それ以前に、宮岡がお前を離さないと思う」

「そ、そうかな?」

「だって、宮岡って、お前の事相當好きだぞ? 端から見ててもわかる」

周りからはそう見えているのかと思うと、高志はすこし照れてしまう。

優一の言うとおり、ここ一週間付き合って見た高志も紗彌の好意をじていた。

紗彌はとにかく積極的だった。

何かに付けては高志にボディータッチをしてくるうえに、二人っきりだと必ずと言って良いほど、をくっつけて來る。

「まぁ、確かに分かれようって言っても、すんなり分かれられる気がしない……」

「まだ付き合って一週間だろ? 上手くいってるなら、そのまま付き合ってみろよ」

「あぁ……」

「そして俺に子を紹介してくれ」

目をキラキラさせながらいう優一を見て、高志はため息を吐きながら、自分が注文したドリンクを飲む。

(好きって、どんなじなんだろうな……)

優一と別れ、自宅に帰る途中の高志はそんな事を考えていた。

今まで彼なんて出來た事無いうえに、好きな人だった出來たことがない。

いと思う相手はいても、それだけで別に好きとかそう言うのでは無かった。

「ただいまぁ……」

のような悩みを抱えながら、高志は自宅に帰宅する。

部屋に向かおうと、階段の一段目に足を掛けた瞬間、リビングのドアが開き、高志の母が出てきた。

「あら、おかえり。裏手の奧さんから、引っ越しの挨拶で貰ったお菓子があるけど食べる?」

「いい、軽く食べて來たから、夕飯出來たら呼んで」

「はいはい」

高志は母にそう告げると、自室向かい、鞄を置いてベッドに寢っ転がった。

「明日は休みだし……何して用かな?」

予定もないし、買いにでも行こうかと考えていると、高志のスマホが震えた。

どうやらメッセージが屆いたらしく、高志はポケットのスマホを手に取りメッセージを見る。

相手は紗彌だった。

『明日暇? デートしない?』

「デートって……」

高志は紗彌のメッセージを見ながら、ついにこの時が來てしまったと、頭を悩ませた。

人同士が休日に二人でデートをするのは、全く不思議では無い。

しかし、高志の場合はこれが人生初デート。

何を著ていけば良いのか、どこに行けば良いのか、悩む事ばかりだった。

高志はとりあえず「予定を確認してみる」と返信し、どうしたものかと考える。

「今回斷っても、いつかはしなくちゃ行けない事だし……う~む……」

高志は悩みながら、とりあえず一旦落ち著くために、甘いでも食べようと一階に下りていった。

貰ったお菓子があると言う話しを母がしていた事を思い出し。

高志はリビングに向かった。

「母さん、やっぱりお菓子もらっていい?」

「あ、やっぱり食べる? じゃあ、お茶でもれてあげるわ」

「てか、何? このカラフルなお菓子……」

「アンタ知らないの? マカロンよ、マカロン」

カラフルな合いの丸いお菓子を見ながら、高志は母に尋ねる。

母の答えに、そう言えばそんなお菓子を聞いた事があるなと思いながら、高志はマカロンを口に運ぶ。

「隨分お灑落な人だね、これをくれた人」

「そうね、若々しくて人だったわぁ~、アンタと同い年の娘が居るなんて思えないわ」

母の言葉を聞いて、高志は何かが引っかかった。

最近、自分もそんな人に會った事があるような気がすると。

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