《甘え上手な彼》♯13
*
翌日の朝、高志は休みだと言うのに、朝早くに目を覚ましていた。
理由は、昨日突然決まった、紗彌とのデートの為だった。
顔洗い、著替えを済ませ、高志は食事を取る。
「あら、出かけるの?」
「ちょっとね……」
「もしかして……デート?」
顔をニヤニヤさせながら尋ねて來る母に、高志はため息を吐きながら答える。
「そうだけど……」
「ちょっと何よ! 早く言いなさいよ! あんたお金あるの? デートは男がに奢るものなのよ!」
デートなんてしたことが無い自分が、そんな事を知るはず無いだろう、そう思いながら、高志は靴紐を結んで立ち上がる。
「金はあるよ、それとも軍資金くれるの?」
「まぁ、昨日は……ちょっと良いじのところを邪魔しちゃったし、特別に良いわよ」
冗談で言ったつもりだったが、言って見るものだなと高志は思った。
予想外の臨時収に、財布が潤い、これで何が來ても大丈夫だろうと考えながら、高志は紗彌を迎えに行く。
Advertisement
「そう言えば、始めてだな……一人で來るの…」
前回は紗彌と一緒だったので、あまりじなかったが、考えて見れば、一人で子の家を訪ねるのは始めてな事に気がつく高志。
張しつつ、高志はインターホンを押す。
『はーい、どちら様?』
「あ、えっと……紗彌さんを迎えに來ました、八重です」
『あぁ、高志君ね、今開けるわ』
それからしして、玄関のドアが開き、紗彌の母親がエプロン姿で出てきた。
「今日はデートなんでしょ? ごめんなさいね、あの子今來るから」
「あ、大丈夫ですよ、俺の方がし早いくらいだったんで」
相変わらず綺麗なお母さんだなと、高志が見惚れていると。
階段から、私服の紗彌が急ぎ足で下りてきた。
「ごめんね、お待たせ」
「あぁ、別に良いよ。そこまで待ってないし」
無事に紗彌と合流し、高志は紗彌を連れて家を出ようとする。
すると、何故か紗彌の母親が高志と紗彌に早く行くように言う。
「はいはい、お父さんが來ないうちに早く行きなさい」
「え? あ、はい?」
「行こう、高志。じゃないと面倒だから」
「あ、あぁ……」
一どうしたのだろうか?
何故か、紗彌と紗彌の母親は、早く家に行くことを提案してくる。
確かに、これ以上用は無いが、なぜそんなに急かすのか、高志は不思議だった。
高志は言われるがまま、紗彌を連れて家を出た。
「そんなに、急ぐ必要もないと思うけど?」
「いいのよ、早く行かないとデートが臺無しになるわ……」
「?」
一何を言っているのだろう?
そんな事を考えながら、高志は紗彌と共に駅に向かう。
歩いていると、不自然なことに気がついた。
紗彌が手を握ってこないのだ。
いつも、一緒に歩くときは、必ず自分から手を握ってくる紗彌だったが、何故か今日は握ってこない。
不思議に思っていると、紗彌が口を開いた。
「ねぇ……」
「ん? どうしたの?」
「腕組んでも良い?」
(あぁ……そう言う事か)
「良いよ……し恥ずかしいけど……」
「ありがと、じゃあ早速……」
紗彌が高志の腕に自分の腕を絡める。
正直し歩きにくかった。
それに、手を握る以上に周囲の視線が強くなり、恥ずかしかった。
それでも、彼の嬉しそう顔を見ると、不思議とそんな恥心もどこかに行ってしまった。
   こういうとところが、甘え上手だと思う高志だった。
「なぁ……」
「なに?」
「紗彌のお父さんって、どんな人なんだ?」
気になった高志は、紗彌に父親の事を聞いてみた。
先ほども話題に上がり、しどんな人なのか高志は気になっていた。
「あぁ……ちょっと……まだ高志には合わせたく無いかな……」
「え? なんで?」
何故か視線をそらしながら言う紗彌に、高志は尋ねる。
すると、紗彌は引きつったような顔で、高志に言う。
「な、なんで知りたいの?」
「え? あぁ、いやなんとなくって言うか……彼のお父さんって、彼氏から見たらラスボスみたいなところあるから……気にられるように報収集しておこうかと……」
そう言うと、紗彌の表は笑顔に戻った。
彼氏として、彼の家族とは仲良くしていきたい。
娘がいるお父さんの気持ちは、高志にはよくわからないが、娘がどんな男と付き合っいるのか気になるものだろう。
それは紗彌の父親も一緒であろうと思い、始めてあった時に良い関係が気づけるように高志は報がしかった。
「それは、お嬢さんを僕にください! って言うときの為の報収集?」
先ほどまでの引きつった表から一変、紗彌はいつもの小悪魔のような笑みを浮かべながら、高志に聞く。
聞かれた高志は、紗彌のそんな質問に、赤面しながら答える。
「な……そ、そういう事じゃ……俺はただ、紗彌のお父さんと仲良くしたいと……」
「そう言う事でしょ? 結局はさ……でも、うちのお父さんは結構面倒かも……」
高志をからかった後に、今度は疲れたような表で高志にそう言った。
そうこうしている間に、駅に到著し、高志と紗彌は電車に乗る。
映畫館のある駅前は、いつもの駅からもう二駅離れたところにあった。
電車の中でも紗彌は、高志の腕を離れず、電車の中でも視線をじた。
「やっぱり、休日は混んでるね」
「そうだな、駅前って言ったら々あるしな」
駅前に到著した高志と紗彌は、話しをしながら、映畫館に向かっていた。
駅前には、カラオケ店やボーリング場、商店街もあり、休日は多くの人で賑わっている。
「結構混んでたけど、以外とすんなりれたな」
「そうだね、上映の十五分前だし丁度良いくらいだね」
スムーズに場する事が出來、高志と紗彌は席に座って、上映時間を待っていた。
映畫とあって、カップルが目立つ。
周りを見ながらそんな事を考えていると、後ろの二人組の會話が聞こえてきた。
「ねぇねぇ、前の子可くない? ほら、あのの子」
「ほんと! 良いなぁ~あんな顔に生まれたい……一人で來たのかしら?」
「彼氏っぽい人もいないしそうじゃない?」
(なるほど、やっぱり俺は彼氏とは思われないって事か……)
高志が若干心に傷を負っていると、映畫前の予告が始まった。
貴方を知りたい//BoysLove
これはどこかで小さく咲いている、可憐な花達の物語。 とある生徒と教師は戀という道の上を彷徨う。 「好き」「もっと」「貴方を、知りたい。」
8 104カノジョの好感度が上がってないのは明らかにおかしい
『好感度を上げすぎるとその人との関係がリセットされる。』 ある日、そんな無慈悲な呪いをかけられた彼は、戀人も友達も一切いない哀しい學園ライフを一人謳歌していた。どうせ消える関係に期待するなんて馬鹿らしい。そうのたまい、人と深く関わること自體を拒否してきた彼だったが、突然転校してきた少女や、様々な人々と接していく中で、彼は少しずつ変わっていく。 呪いと過去が交錯する中、彼は何を望み、何を失い、何を摑みとるのか。 ※カクヨムにも連載中です。
8 145甘え上手な彼女
普通の高校生、八重高志(やえたかし)は新學期に入って間もないとある日、同じクラスの宮岡紗彌(みやおかさや)に呼び出される。 「単刀直入に言うけど、付き合って」 「えっと、どこに付き合えば良いの?」 クールで男を寄せ付けない、そんなヒロインが、主人公にだけは甘えまくりの可愛い女の子。 そんなヒロインに主人公はドキドキの連続で毎日が大変に!? クールで甘え上手なヒロイン宮岡紗彌と、いたって普通な高校生八重高志の日常を描いた物語!! 2018年6月16日完結
8 160病気の私に舞い降りた突然の戀 〜実録戀物語〜
吉田由奈26歳 うつ病持ちでドクターストップで働けない彼女の唯一の趣味、それは配信アプリで配信をして、ファンのリスナーと他愛もない話をして過ごす事、そんな彼女に突如現れたリスナーSEROと言うニックネームを持つ佐々木涼太20歳との出會いで彼女は涼太との出會いで少しずつ変わり始める実話を元に描かれた戀愛物語
8 1887 Start
「傲慢」「強欲」「嫉妬」「憤怒」「色欲」「暴食」「怠惰」7つの欲望が交錯する青春ラブストーリー。
8 175家族に売られた令嬢は、化け物公爵の元で溺愛されて幸せです~第二の人生は辺境地でほのぼのスローライフを満喫するので、もう実家には戻りません~
「レーネが売れた! 化け物公爵が娶りたいと言ってきたんだ!」 家族に虐げられていたレーネは、祖母が殘した形見の薬草と共に、化け物と恐れられる獣人、マーベリック公爵の元に嫁ぐことを決意する。 決して不安がないわけではないが、狂気に満ちた笑顔で人の不幸を喜ぶ家族の方が化け物に思えて仕方なかった。 「早く出ていけ。目障りだ」 すでに自分の居場所がないと悟るレーネは、祖母とのある約束を守るため、化け物公爵の元を訪ねる。 しかし、黒い噂が流れる殘虐な公爵様の姿はなく――。 「嬢ちゃん。今は無理せずに休むべきだ」 「無理は良くない、奧方。筋肉が悲鳴を上げている」 屋敷で働く家臣の獣人たちに親切にされ、傷ついた心が癒されていく。 もしかしたら、本當の旦那さまは優しい人かもしれない。 會えない気持ちで思いが募り、妄想という名の戀心が芽生え始めるのだった。 「はぁ~。私の旦那さまはいったいどこに……」 一方その頃、レーネを売り払った家族の元には、なぜか次々に災難が押し寄せてくることになり……? ※この作品は他サイトにも掲載しています。 【無斷転載禁止】小説投稿サイトやYouTubeに載せないでください。
8 153