《甘え上手な彼♯19

「由華、ちょっと良い?」

「ん? どうしたの紗彌、そんな深刻そうな顔して」

高志から子貓を見せて貰った翌日。

紗彌は友人の由華に、とある相談をしていた。

話しを聞き終えた由華は、困ったような顔をしながら紗彌に言う。

「えっと……泥棒貓?」

「そうよ、どやって奪い返すべき?」

「ごめん、ちょっと待って。えっと……それは、八重君が浮気してるって事?」

華に尋ねられ、紗彌はし考える。

そして、眉間にシワを寄せ、考えながら答える。

「そういうのでは無い気がするわ……でも、高志が隨分かわいがってるのよ……」

「か、可がる?! あの八重君が!?」

華は、紗彌の言葉に驚いた。

あの教室でも、あまり子と話しをしなかった高志が、紗彌以外の子を可がってるところなど想像出來なかった。

「ち、ちなみに……どんな風に?」

「頭をでたり」

でるの!?」

「お腹でたり」

「お腹!?」

「膝の上に座らせたり」

「座らせるの?!」

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華は話しを聞いても、全く想像が出來なかった。

それは彼の妹とかなので無いかと、由華は思い始めていたが、友人が彼氏の妹を泥棒貓と呼ぶような格では無い事を知っていた。

何かがおかしい、由華はそう思い、思い切って変な事を聞いてみることにした。

「紗彌……それって……人間?」

聞いた後、由華は後悔した。

あの冷靜でクールな友人に、自分は何を聞いて居るんだと。

「ご、ごめん! 変な事聞いた! 気にしないで……」

「貓よ」

「え?」

「だから子貓だって」

「……」

華は、紗彌の回答を聞き、言葉を失う。

そして同時に、友人が何を言っているかわからなくなった。

ようするに、あの冷靜でクールな友人は、子貓に嫉妬しているらしい。

それに気がついた由華は、一何があったのかを紗彌に尋ねる。

「紗彌、昨日何があったの?」

聞かれた紗彌は、昨日あった事を由華に話した。

「……えっと、八重君が貓に夢中で、全然紗彌に構ってくれなかったと……」

「そんなじ……しかもあの貓、私には一切懐かないし……メスだし」

「はぁ~、何かと思えば……學校ではイチャイチャしてるんだから良いじゃない」

「足りない」

「あんまり甘えてばっかりだと嫌われるよ?」

「ん……それは、困るかも……」

不安そうな表の紗彌を見ながら、由華は思った。

(紗彌……変わったなぁ……)

華は中學の時から紗彌を知っている。

初めて會った時の印象は、大人っぽい子だと思った。

男を寄せ付けず、言い寄ってくる男を冷たくあしらい、かといって冷たいだけではなく、優しい。

そんな彼が、高志の前でだけは笑顔を浮かべて甘える。

中學の頃では考えられなかった、だから付き合い始めた時の紗彌の様子を見たときは驚いた。

しは、遠慮してみたら? 押してもダメなら引いてみろって言うでしょ?」

「そうかな? あんまり甘え過ぎだったかな?」

不安そうに尋ねてくる彼を見るのは、由華は新鮮だった。

「好きなのはわかるけど、あんまりベタベタしすぎるのも良くないわよ?」

「……なるべく我慢する」

「なるべくなんだ……」

をすると人は変わるというが、紗彌は良い例だと由華は思っていた。

前より毎日が楽しそうだし、表らかくなった気がしていた。

「そんなんだったら、八重君が他のの子に言い寄られた日は、紗彌何かしでかすんじゃない?」

「多分、その子を泣かすわ」

(そのときは止めよう……全力で……)

華はそう思いながら、高志が他のの子に言い寄られない事を願った。

もし本當にそんな事があったら、紗彌が何をするかわからないからだ。

(貓一匹でこれだもんなぁ~)

紗彌と由華が話しをしている頃、高志は優一と二人で廊下に居た。

「可いだろ? チャコ、変な格好で寢るんだよ」

「お前、相當な親ばかになりつつあるな……」

スマホの寫真を見せられながら、優一は呆れたようすで高志に言う。

「でも、紗彌も貓好きでよかったよ」

「懐いてはいないんだろ?」

「それは、多分初めて會ったから警戒してたんだよ、そのうち慣れるって」

高志はスマホを眺めながら、優一に言う。

スマホの畫面には、チャコの寫真が數多く保存されており、高志はそれを眺めていた。

「貓も良いけど、彼も大切にしろよ。って生きは、好きな人の一番でいたいんだから」

「付き合った事もないのに、よくわかるな……」

「喧嘩売ってんのか!」

優一は、隣の高志に大聲を上げる。

突然の大聲に、廊下にいた生徒の視線が優一と高志の方に向けられる。

「悪かったって、謝るからし靜かに頼む……」

「っち! たくよー、幸せそうで羨ましいなー」

「その棒読みやめろよ、余計リアルだ…」

「でも、気をつけろよ、そろそろ奴らがきだすころだ」

優一は窓の外を眺めながら、高志に言う。

「奴ら?」

「あぁ、奴らだ……」

誰のことだろうか?

高志はそんな事を考えながら、再びスマホに視線を落とす。

どうせくだらない事だろう、高志はそう考えながら、優一の話を聞き流す。

「あんまり余裕そうにしてると、痛い目みるぞ?」

「あぁ……そうだなー」

「お前なぁ……宮岡にを向けていた連中が、なんで今までお前に何もしてこなかったと思う?」

話しを聞いていない事を察した優一は、高志からスマホを取り上げ、話しに集中させる。

高志は、仕方なしに優一の話しに耳を傾け始める。

「そんなん知らないって、それよりスマホ返せよ」

「俺はお前の為に言ってるんだぞ! 恐らくそいつらが何もしてこないのは、今は作戦を練っているからだ! そして三週間が経った今日! なんだか怪しげな一団が、空き教室を借りて朝から何かしていたらしい……」

「部活じゃねーの?」

「そんなじでは無いらしい、俺は恐らく、お前と宮岡が付き合ったことを良く思っていない奴らが、なにか計畫しているんだと思う!」

「考え過ぎだって、そんな事して、どうなるんだよ?」

高志は優一の話しを笑いながら否定する。

そんな高志の対応に、優一は溜息じりに言う。

「好きな子を取られるって、悔しいんだぞ……その子が可ければ可いほど」

「大丈夫だって、それに俺決めたから」

「何をだよ?」

「紗彌の事……好きになるって」

頬を染めながら、高志は優一にそう告げる。

流石にこんな事を言うのは恥ずかしい、しかし、高志は決意したのだ。

あれだけ自分に好意を寄せてくれる彼に、自分も答えたいと……。

まだまだ、人を好きになると言うことを高志は理解出來ない。

それでも、紗彌の好意に自分も本心で答えたいと、高志は思っていた。

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