《甘え上手な彼》♯21
*
「高志? 帰ってきたばっかりで何処にいくの?」
「ちょっと、散歩」
高志は紗彌からの返信を貰って、すぐに返信を返し、家を出た。
家を出て一分くらいの場所にある、自販売機の前。そこで待ち合わせをした。
お互いの家が近いため、待ち合わせの場所も必然的に近場になる。
「お待たせ」
「ん、私も今來たから……」
紗彌は自販機の前に座り、ペットボトルの飲料水を飲んで待っていた。
高志はそんな紗彌の隣に立ち、自販機に寄りかかる。
「今日はどうしたんだ? なんかいつもと違ったっていうか……」
「うん……あのさ……」
紗彌は立ち上がり、高志と同じく自販機に寄りかかる。
そして、不安そうな表で言う。
「私って……甘えすぎかな?」
「………は?」
「いや……その……今日、由華に……」
紗彌は今日の由華との會話の一部を高志に話す。
それを聞いた高志は、深い溜息を吐き、ほっとした様子で紗彌に言う。
「はぁ~、よかった……それで今日の帰りはあんなじだったんだ……」
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「うん……そう言うのって、やり過ぎると……嫌われるらしいし……」
「俺はてっきり、チャコにヤキモチ焼いて、怒ってたのかと思ったよ」
「ヤキモチは焼いたわね、私に全然構ってくれないし」
「あ、焼いてたんだ……」
紗彌は頬を膨らませながら、高志に文句を言う。
そんな紗彌を見ながら、高志は紗彌もヤキモチとか焼くんだ、と思いながら橫目で頬を膨らませる彼を見ていた。
「こんな小さい事でヤキモチ焼くって……面倒だよね……」
「……確かに面倒かもね」
「う……」
「でも、それを承知で付き合ってる訳だし……気にする事無いよ」
高志は覚えていた、紗彌が部屋で高志に言った言葉を。
紗彌が自ら言った、自分は面倒臭いだと言う言葉を。
「それに、俺もちょっとチャコに構い過ぎてたかもしれないし……」
「高志……」
「それに、いつもの紗彌じゃないと、こっちまで調子狂っちゃうよ」
高志は笑顔を浮かべながら、紗彌に言う。
そんな高志の言葉に、紗彌は安心し、いつもの笑顔で高志に言う。
「あ~あ、慣れない事ってするもんじゃないわね~」
やっといつもの調子に戻った紗彌。
紗彌は、高志の隣にぴったりとくっつき高志の肩に頭を乗せる。
「今週末は、どうする?」
「行く」
結局、紗彌の我慢は半日も経たずに終わってしまった。
その後、そのまま別れようとした高志だったが、紗彌がそれを許さず。
まだそこまで遅く無いからと、高志の部屋についてきた。
「ただいま~」
「おかえ……あら? 喧嘩してたんじゃないの?」
帰ると、高志の母親が不思議そうな顔で紗彌を見る。
「喧嘩なんてしてませんよ」
紗彌は笑顔で高志の母親にそう言い、高志の後に続いて部屋に向かった。
部屋には案の定、チャコがベッドの上で眠っており、高志が帰ってきたのに気がつくと、飛び起きて、高志の方にやってきた。
「にゃー」
「ただいま。紗彌に唸るなよ~」
高志がそう言っている間に、チャコは紗彌を発見し、昨日同様に威嚇を始める。
「シャー!」
「やっぱり、慣れるまでは時間が……って紗彌?!」
紗彌は威嚇するチャコの首っこわ摑み、自分の膝にチャコを乗せる。
もちろんチャコは、大人しくなどしている訳も無く、大暴れだった。
しかし、そんなチャコを紗彌は押さえつけながら、頭をでる。
「はいはい、そんなに暴れないでね~」
「にゃ! にゃ-!!」
「大丈夫よ、恐くないわよ~」
そう言いながら、紗彌はチャコを優しくで続ける。
「シャー!! ゴロゴロ……」
「お前は、怒ってんのか? それともじゃれてんのか?」
で続ける事約數分。
チャコは、紗彌にお腹をでられ、怒りながらも紗彌にじゃれていた。
そして、更にで続けること數分……。
「にゃ~、ゴロゴロ……」
「はいはい、良い子ね~」
「懐いたな……」
チャコは紗彌に懐いていた。
先ほどまで、唸って居たのが噓のように甘い鳴き聲を出し、紗彌の膝の上で紗彌の手を追いかけて遊んでいる。
「可い~、ちゃんと懐くのね」
「やっぱり昨日は警戒心が合ったんじゃ無いか?」
隣でチャコと戯れる紗彌を見ながら、高志は言う。
「チャコ~こっちにもこ~い」
そう言って、高志はチャコに手を差し出すが、チャコは紗彌に夢中で気がつかない。
昨日はあんなにも懐いて居たのに、なんだか疎外を覚える高志。
「チャコちゃ~ん、ほ~ら気持ちいい?」
「ゴロゴロ~」
紗彌はチャコのをでながら、チャコに向かって言う。
チャコは気持ちよさそうに目を細め、をならす。
「なぁ、紗彌…そろそろ俺にもらせ……」
「まだ、もうちょっと。ね~チャコちゃ~ん」
「にゃ!」
「う~チャコ……」
チャコを紗彌に取られ、高志はなんだか複雑な気分だった。
昨日の紗彌もこんなじだったのかな?
なんて思いながら、高志は溜息を吐きスマホを弄る。
すると、それを見た紗彌がチャコを抱きかかえたまま、高志の膝の上に頭を乗せてきた。
「え?! きゅ、急に何?」
「チャコちゃん取っちゃたから、代わり私をでて良いよ」
「は、はぁ?」
「あ、それともにゃ~って言った方が良い?」
「あ、あのなぁ……」
チャコが紗彌に甘え、紗彌が高志に甘えると言う構図になり、高志はなんだか大きな貓が一匹増えたような気分だった。
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