俺の友人に最近彼が出來た。

しかもとびきりのの彼だ。

正直羨ましい。

今も俺の友人は、の彼と屋上でランチをしている。

以前は、俺と一緒に晝を過ごすのが當たり前だったはずなのに、今となっては晝を一緒に過ごす事は無い。

「はぁ～うらやまし……」

おっと、本音が口からこぼれてしまった。

まぁ、誰に聞かれても恥ずかしい事は無いのだが、一人食堂でラーメンをすすりながら、獨り言を言っている生徒というのは、誰から見てもおかしな奴だ。

俺は、誰にも聞かれていないことを確認すると、再度ラーメンをすする。

しかし、俺の友人にも困ったものである。

折角の彼が出來たと言うのに、々と悩みすぎて、一時期は「別れた方が良いのではないか？」などと言った相談を俺にしてきた。

最近では上手くやっている様子だが、あの様子ではこの先どうなるか心配だ。

「はぁ～」

「はぁ～」

「ん？」

溜息を著いた瞬間、ふと隣の人と溜息が重なった事に気がついた。

一誰だ？

俺はそう思い、隣を見るとそこには一人の子生徒がいた。

「あ、えっと……確か同じクラスの…」

「あぁ、那須だ。那須優一」

「あ、紗彌の彼氏の友達？」

覚えられ方が気にくわないが、まぁ良いとしよう。

確か彼は、俺の友人の彼の友達だ、こうして考えると、俺とこの子は似た者同士なのかもしれない。

顔はこの子も可い、しかし彼の友人がの為、あまりその事に気がつく者は居ない。

「そう言う君は、俺の友達の彼の友達だろ？」

「うわ、そう言う言い方されると、結構嫌だね」

「なら、最初に言った貴方が俺に言うことは？」

「ごめんなさい、那須君」

「よろしい」

どうやら彼も一人で食事をしている様子だった。

彼の前には食べかけの素うどんがおかれていた。

「門も一人飯か？」

「うん、今日はちょっと……っていうか私名乗ったっけ？」

「気にするな」

「気にするよ！！」

彼はいつも教室で、他の子の友達と食事をお弁當を食べていた。

學食に居るなんて珍しい。

「そういう那須君だって一人でしょ？」

「あぁ、一緒に食ってた高志が、今では屋上で彼とイチャイチャするようになってな…」

「私も最近、紗彌とご飯食べてないなぁ～、遊びにも行ってない……」

「「はぁ～」」

無くなって初めて気がつくとは言うが、俺と門は今まさにそれをしていた。

まぁ、別にクラスでボッチと言うわけでは無い、飯くらい適當にってそいつらと食ってればいい話なんだが、なんだかそれは気を使いそうで嫌だった。

門も恐らく同じような理由で、今日はボッチ飯なのだろう。

「クソ！　なんであんな冴えない奴に彼が出來て、俺には出來ないんだ！」

「そう言う事言ってるからだと思うよ」

「彼氏の居ない門に言われても、なんとも思わん」

「なっ……わ、私だって、本気を出せば……」

「じゃあさっさと本気出して、彼氏の一人でも捕まえれば良いだろ？　そうすれば、お前は俺が大嫌いなリア充の仲間りだ」

「簡単に言わないでよ、の子だって々事があるの！」

「モテない俺にそれを言うかね～、顔も悪くない上に、一部の男子には人気のある貴方様が……」

門の可さに気がつく者はなからずいる。

門ならば、本當にし頑張れば、すぐに彼氏が出來てしまう。

俺はそう思っていた。

しかし、俺のように本気でモテない男子は、どうあがいても彼など出來ない。

悲しいかな、結局のところ容姿の良い奴には勝てないのだ。

「私は別に彼氏がしいわけじゃないの！　ただ……なんか紗彌と距離が離れてる気がして……」

「何、門って同者？」

「違うわよ！」

「いや、俺は良いと思うよ……オウエンスル」

「目を反らしながらカタコトで言われても信用できないわよ！！　違うのよ！　そう言うんじゃ無いの！」

椅子から立ち上がって、俺に抗議してくる門に、俺は背を向ける。

まぁ、人のは自由だし、俺は彼のに口を出す気は無い。

「私は紗彌が心配なのよ……この前も子貓一匹にヤキモチ焼くし…」

「子貓？　あぁ…高志が拾ってきた奴か。やっぱりヤキモチ焼いてたんだな」

「そうよ……子貓一匹であんなになのよ？　もし他のの子が八重君に言い寄って來たらって思うと……」

「晝ドラみたいになるな」

「そうよ……だから、心配なのよ」

「心配するな、高志に言い寄るなんていねーよ。あいつはあの通り冴えないから」

「そうだと良いけど……はぁ……偶には紗彌とショッピングに行きたいわ…」

「俺も高志とゲーセン行ってねーなぁ……」

なんだかんだ言っても、実は寂しい事に気がつく俺と門。

急に仲の良かった友人に人が出來、今まで一緒に居た場所が奪われてしまったようで、なんだか空しい。

食事を終え、俺と門はなんとなく屋上に行ってみる事にした。

「なんで、こんな覗き見たいな事を……」

「門も気になるだろ？　あの二人がどんなじなのか」

二人は、屋上に通じる扉の隙間から、二人の様子をのぞき見る。

「えぇ！…紗彌あんなにをくっつけって！……しかもあんなに笑顔……」

「良いなぁー、高志の奴め……」

食事を終えたのであろう、高志と紗彌は、をぴったりくっつけながらお話をしていた。

正直凄く羨ましい。

代われるものなら代わりたい。

「しかし、以外だな……他の男子には絶対にあんな表を見せない宮岡が、高志の前ではデレデレに甘えてるなんて……」

「本當よ！　私にも甘えてくれた事なんてないのにぃ～」

「門……お前ってやっぱレズなんじゃ……」

「なんかさっきより酷くなってない？！　違うわよ！ 私はただ、あのクールな紗彌の顔を私の力で骨抜きのふにゃふにゃにしたかっただけなの！」

「あぁ、もう良いわ……正直、お前と宮岡が一緒に居る方が危険かもな……宮岡が」

「どう言う意味よ！」

そんなん自分のに聞いてみろ。

俺はそんな事を門に思いつつ、二人の様子を見守る。

まぁ、友人に彼が出來た事を羨ましいとは思うが、祝福していない訳でも無い。

ずっと仲良くやってきた訳だし、幸せにはなってしいと思う。

「はぁ……帰るか…」

「え？　帰るの？」

「これ以上見てても空しくなるだけだしな……俺も早く彼つーくろ！」

「え、ちょっと待ってよ！」

まぁ、俺も彼が出來ればこんな気持ちにはならないだろう。

そうと決まれば、早いとこ彼を作って青春を謳歌しよう。

俺はそんな事を考えながら、教室に戻った。