その日、高志は機の中に違和をじた。

高志は機の中のは、基本的にすべて持ち帰る用にしていた。

なので、朝來たとき、高志の機の中は空になっているのが當たり前だった。

しかし、今日はそうではなかった。

「なんだこれ？」

高志は教科書を機の中にれようとしたときだった、中に何やら封筒のようながあるのを発見した。

何かと思い、高志が手にとって確認してみると、中にっていたのは手紙だった。

「なんだ……これ？」

高志はその手紙を手に取る。

中には何かがっているらしく、し膨らんでいた。

手紙には「八重高志様」と書かれており、自分宛と言うことはわかった高志だったが、誰から來たのかがわからなかった。

「俺宛だよな？」

高志はとにかく中を確認してみようと、手紙の封を開け始める。

健全な男子高校生ならば、機の中や下駄箱の中にっている手紙にを躍らせるのかもしれない。

しかし、高志は違った。

つい一月ほど前に、紗彌から告白され、際している事が公になっている。

そんな高志の狀況を今や學校中が知っていた、そんな高志の現在の狀況下で、まさかラブレターを渡そうと言う子がいるわけがない。

それに、高志は自がモテる訳が無い事を自覚していた。

紗彌に告白されたのをきっかけに、モテ期などと言うものが自分に來るわけがないとわかっていた。

「どうせ、悪戯かなにかだろ……」

高志は手紙をの封を開け、中の手紙を取り出して広げる。

手紙にはこう書かれていた。

『貴方の事が好きです。放課後育館裏で待っています』

呼んだ後に高志が思った事はこうだった。

(ベタだなぁ……ベタすぎて気持ち悪い……)

可らしい文字ではあったが、なんとなく高志は、この手紙が罠じゃないかとづいていた。

絶対にこの手紙の通り、育館裏には行って行けない気がした。

ともかく、高志は一人で解決出來る問題では無いと悟り、授業の間の休み時間に優一を連れだし、階段の踴り場で手紙について相談をしていた。

「なるほど、確かにベタだ」

「だろ？　ベタすぎて気持ち悪くてさ……」

「確かにな……字もなんだか所々震えたじになってるし……完全に罠だな」

「やっぱりか、そうだよな、達の悪い事をする奴が居たもんだ…」

「あぁ、あるはずが無いからな、先月告られておきながら、更には一ヶ月後に別な子からラブレターなんて貰うはずが無い！」

「言い切ったな……」

優一は強く拳を握りしめ、空に向かってそう言い切ると、再び手紙を見て高志に言う。

「ふざけた野郎だ！　宮岡と付き合ってなかったら、高志は絶対騙されていたぞ！」

「そんな事は無いと思うが……」

「ともかく！　俺はそんな男の純を弄ぶような野郎は嫌いだ！　差出人を暴いて、そいつの悪評を流してやる……」

「そ、そこまでしなくても……」

「いいや！　する！　何せ俺にも似たようなが來たからな……」

優一はそう言いながら、ポケットから高志と同じような手紙を出す。

「あ、お前も貰ってたのね……」

「あぁ、絶対に許せない！！　俺をこけにしやがって！！」

「俺が手紙を見せなかったら、お前は気がつかなかったんじゃないか……」

闘志を燃やす優一を他所に、高志は溜息を吐く。

「んで、どうするんだ？　どうやって差出人を特定する？」

「この差出人は、育館の裏を指定している！　授業が終わったら、速攻で育館裏に向かい、隠れて奴らが來るのをまつ。そこで奴の顔を特定し、後は俺がそいつの悪評を流す！　これで完璧だ！」

「それだけかよ……無視すれば済む話しじゃないか？」

「ダメだ！　俺を甘く見た事を後悔させてやる！！」

「へいへい、じゃあ頑張れよ～」

「何を言っている？　お前も手伝うんだぞ」

「いや……俺放課後は紗彌と……」

「宮岡には旦那を借りると俺が言っておいてやろう」

「勘弁しろよ……」

なんだか面倒な事になってしまったなと、高志は心思いながら、溜息を吐く。

時間はあっという間にすぎ、とうとう放課後になってしまった。

優一は晝休のうちに高志を放課後借りる許可を紗彌から得ていた。

「よし、奴らはまだ來てないみたいだな……」

「なぁ、もしもこの手紙は本だったらどうすんだよ」

「は？　本？　あるわけ無いだろ、手紙が重複しているんだぞ」

「まぁ、そうだけど……あ、誰か來た！」

高志と優一は、育館裏の倉庫裏に隠れながら、手紙の差出人らしき人を見る。

そこには男子生徒が數人居た。

やはり優一の言うとおり、手紙は噓だったようだ。

「フッフッフ……二組の井上に、倉田、岡田だな……覚えていろよ……今日の夕方には、お前らがホモだと學校中に広めてやる……」

「お前なぁ……まぁいいか、それよりも終わった事だし、バレないうちに反対側から帰ろうぜ」

「そうだな……ソーッとだぞ」

高志と優一は、差出人を確認し終え、男子生徒がやってきた反対側からその場を離れようとした。

倉庫の裏のそばには、植え込みが有り、しゃがめば、を隠すことが出來た。

優一と高志は植え込み沿いを進んで、育館裏からグランドの方に出た。

「あぁ～、腰が痛くなったぜ～」

「犯人もわかった事だし、俺らはそろそ……」

「あ、あの！」

「「へぇ？」」

育館裏から、グランドの端に無事に出ることが出來た優一と高志達は、後ろから聲を掛けられた。

聲の主はの子だった。

ショートカットの小柄なの子で、中々に可い子だった。

「なんか用か？」

答えたのは優一だった。

「あ、あの……手紙……」

「あ！　まさかお前も協力者だな！　良くも俺の純を！！」

「おい、優一待てって、決めつけるのは良くないぞ？」

「だけどよぉ！　お前も見ただろ？　あいつらのニタニタ笑った顔！」

「そうじゃ無くて……もしかしてだけど、お前の手紙ってさ…その子から貰った本なんじゃね？」

「は？　何言ってんだ、犯人ならあいつらが……」

「いや、だから、あいつらは俺を呼び出して、何か言いたかったんだろうけど、偶然お前に手紙を出してたその子が、あいつらと同じ場所を指定してたんじゃないのか？」

「はぁ？　モテない俺が？」