《甘え上手な彼》♯26
*
優一が告白をけた次の日、珍しく高志と紗彌は屋上で二人きりでは無かった。
屋上には、いつもは居ないはずの優一と由華が居た。
「っと言うわけで……デートすることになった訳だが」
「どういう訳だよ……」
優一は購買で買ってきたパンを口にれながら、三人に言う。
高志はそんな優一に視線を向けながら、肩を落とす。
「だから、なんか試しにデートすることになっちまったんだよ! それで、こうやってバカップルのお二人に、デートコースのアドバイスとかを貰おうとだな……」
「バカップルって、俺と紗彌の事か? 生憎だが、お前に出來るアドバイスなんてねーよ」
「おい! お前の相談には乗ってやっただろ! 俺の相談にも乗れ!」
「そう言われてもなぁ……」
そう言いながら、高志は紗彌の方を見る。
紗彌は食べを飲み込み、高志の方を向いて話す。
「私は高志が一緒なら何処でも良いかな?」
「こんなじで、俺も紗彌と一緒なら神社でも楽しいんで……」
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「悪い、バカップルのお前らに相談した俺が馬鹿だったわ…」
「その通りだと思うが、なんかむかつくな」
優一は溜息を吐きながら、パンにかじりつく。
いつもは食堂派の優一だが、今日は高志達に合わせて購買のパンにした。
「んじゃあ、子代表で連れてきた門の意見も聞こうか」
「なんでそんな上から目線なのかしら?」
「まぁ、いいじゃねーか……おかげで宮岡と飯が食えるんだから」
「う……そ、そうね……」
由華をったのは、優一だった。
カップル二人に優一だけでは混ざりづらく、最近良く話す由華をったのだった。
われた由華も、久しぶりの紗彌との食事とあって、上機嫌だった。
「デート……映畫とかは?」
「あぁ、なるほどな、それなら無理に會話をする必要もないしな…」
由華の提案は優一に好だった。
「俺と紗彌の初デートも映畫だったな」
「そうね、なかなか高志が手を握ってくれないんだもん、私から握ったのを覚えてるわ」
「いや、結構男からしたら勇気いるんだよ?」
初デートの話しに、華を咲かせる高志と紗彌。
優一も映畫なら、話しの話題作りも出來て、なかなか良いのではないかと思っていた。
「有りだな、でその後は?」
「ウインドウショッピングとかはどうかしら?」
この提案を出したのは紗彌だった。
映畫館の近くには、大きなショッピングモールもあるため、暇つぶしやデートのコースには丁度良かった。
「なるほどな…飽きたら、どっか店にってお茶でもすれば良いしな」
「そうなったら、完全に俺と紗彌のデートコースだな」
「マジか……なんかそれは嫌だな」
「おい、どういう意味だ」
急にテンションを下げる優一に、高志はし強めにそう言う。
しかし、それ以外の案も中々浮かばず、結局は誠実と紗彌のデートコースを參考にする事になった。
「で、なんでデートなんて事になったんだよ?」
「いや、今日の朝、お互いを知る為に、まずは出かけようって言われて、半ば強引に約束を……」
「意外だな、あの子そんなに積極的なのか…」
「ちなみに私とどっちが可い?」
紗彌は高志の顔を見ながら、突然質問してくる。
高志は紗彌の顔を見て、小さな聲で答える。
「……紗彌」
「ありがと」
「けっ! リア充が! 滅びろ!」
「那須君、それは貴方も滅びる事になるわよ…」
いちゃつく高志と紗彌。
そんな高志と紗彌に恨みの視線と滅びを願う優一。
そして、そんな優一に呆れた様子で突っ込む由華。
「はぁ……紗彌、本當に八重君にべったりね…」
「そうかしら?」
「そうよ……おかげで私とは全く遊んでくれないし……」
「そうかしら?」
「そうよ! 全くってくれないし! お晝も別だし! 帰るのも別! 私がどれだけ寂しかったか……」
紗彌に向かって泣く真似をする由華。
そんな由華を見て、高志は優一に尋ねる。
「ちなみにお前は?」
「高志なんて死ねば良いと思ってた」
「あぁ、なんか知ってたわ…」
高志は優一との會話を早急に終了し、紗彌に向かって言う。
「なぁ、紗彌。友達も大切にな?」
「そうね……ごめんね由華、高志と付き合ったばっかりで、由華と遊べなくて……今度、二人で買い行こ?」
「う~、紗彌ぁ~、なんで彼氏なんて作るのぉ~? 紗彌は私のなのに~」
「私は高志のなんだけど?」
「紗彌はじゃなないと思うんだが?」
由華は紗彌に抱きつき離れない。
よほど寂しかったのだろう、しっかり摑んで離そうとしない。
「なぁ、晝くらい二人じゃなくて、門さんも呼んであげたら良いんじゃないか?」
「高志が良いなら、私は何も言わないわよ。由華、そうする?」
「する! ありがとう紗彌~、大好きだよぉ~」
(それは、友達としてだよな?)
仲良しムードの三人のなかで、優一だけは由華にそんな疑問を持っていた。
そうこうしている間に、あっという間にお晝休みは過ぎていった。
*
休日の晝前、高志は著替えを済ませ、出かける用意をしていた。
紗彌とデートという訳でもなく、今日は高志個人の用事で駅前に向かう予定が
あったのだ。
「にゃ~」
「ん? 行ってくるなぁ~チャコの爪研ぎ用の木、買ってくるから」
「にゃ……」
「流石にあの柱は無殘だからな…」
チャコは爪研ぎ用の段ボールを早々に壊してしまった。
消耗品でしょうがないと思っていた高志だったが、代わりをすぐに買わなかったのが悪かった。
チャコはリビングの部屋の柱で代わりに爪研ぎをしてしまい、柱は無殘な姿に変わってしまった。
今日は、二度とそんな事にならないようにと、爪研ぎ用の木を買いに、高志は駅前のペットショップに向かった。
「意外に種類あるんだなぁ……」
ペットショップで無事目的のを買い、高志は店を後にした。
後は帰るだけだと思いながら、駅に向かおうとした瞬間、高志は見慣れた人を駅前で見かけた。
「ん? 優一?」
優一が芹那と一緒に歩いているところを見つけた。
あちらは高志に気がついて居ない様子で、二人でショッピングモールの方向に向かって歩いていた。
「あぁ、確か今日か……デート」
そう言えば今日が、優一と芹那のデートの日だったなと高志は思い出し、納得する。
そんな二人を見て、高志はなぜか二人の様子が気になってしまい、気がつくと二人の跡をつけはじめていた。
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