《甘え上手な彼》♯27
「俺は何をやってんだ?」
そんな事を思いながら、高志は優一のデートを遠目から見ていた。
現在はショッピングモールでウインドウショッピングを楽しむ、優一と芹那。
高志は先ほど買った、貓用の爪研ぎ板を持って向かいの店のから、二人の様子を覗き見る。
「意外とお灑落してるな……」
優一の格好を見ながら、高志はそんな事を呟く。
高志と一緒にゲーセンに行くときは、優一は基本ジャージにTシャツだったが、今日に限ってはちゃんとした格好をしていた。
髪型もしっかりセットしてあり、かなり気合いがっている様子だった。
「う~む……あいつ、デート中に喧嘩とかしなきゃ良いけど……」
この前も頭にが上って、狀況を忘れて喧嘩を始めてしまった優一が、高志は心配だった。 普通にデートして終わると良いと思っていると、突然高志は誰かに肩を叩かれた。
驚いて振り返ると、そこには私服姿で、両手に買い袋を下げた、紗彌と由華がいた。
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「何やってるの? こんなとこで?」
「紗彌、それに門さん。なんでここに?」
「今日は由華と買いに來てたの、そしたら高志が居るから」
そう言えば、そんな事を言っていたかもしれないと、高志は思い出す。
由華は紗彌と二人買いが相當嬉しいようで、もの凄く上機嫌にニコニコしていた。
「八重君、ちょっと紗彌借りてるからね、あんまり返したく無いけど」
「貸し借りの問題じゃないと思うけど……何を買ったんだ?」
「服が中心かな、あとは下著とか?」
「あぁ、確かにそう言うのは、俺とは買いに來れないわな」
「私は良いんだけどな~」
「そんなのダメ! これからもさ、紗彌の下著は、わ…私が…う…ウフフ」
「由華? なんか目が恐いんだけど……」
(同士って、こんなじなのか?)
由華から危険な臭いをじつつ、高志はハッと思い出して、先ほどまで優一がいた場所を見る。
しかし、既にそこには優一の姿が無かった。
「あ、見失った……」
「どうかしたの?」
「誰かを見てたみたいだったけど?」
「いや、実は……」
高志は、事の経緯を二人に話して聞かせた。
「え、じゃあ今、このショッピングモールで那須君がデートしてるの?」
「あぁ、さっきまで向かいの店に居たんだが、いつの間に見失っちまった」
「そう言えば、行ってたわね、デートする事になったって」
「々気になって付けてたんだが、なんか大丈夫そうだし、俺は帰ろうかな……チャコも待ってるし」
そう言って帰ろうとする高志を紗彌と由華は、高志の肩を摑み引き留める。
「えっと……なにか?」
「面白そうだから、もうし見ていきましょう」
「紗彌が行くなら私も」
「あんたら買いしてたんじゃ無いの?」
「「終わって暇だから」」
「あ、はい……」
高志そのまま、二人と共に優一を探し始めた。
優一に提案したデートコースは、高志と紗彌のデートコースをそのまま教えたものだ。
なので、次に何処に行くかは容易に想像出來た。
「あ、いたな」
「ホントね、まんま私たちのデートコース」
「こんなお灑落なお店で、二人で何を食べたの?」
「クレープだったな」
「初めてあーんしたわよね?」
「今、それを言わないでくれ……」
「えぇ!! 紗彌、私にはしてくれたこと無いのに~」
「今度してあげるわよ」
「絶対よ! 紗彌絶対だからね!」
(必死だな……)
高志達がやってきたのは、高志と紗彌が初めてのデートで來たクレープ専門店だ。
店にはもちろん優一と芹那が居た。
高志達三人は、クレープ店の向かいにあるファースフード店で、二人の様子を見ていた。
「別に見てても面白い事なんて無いと思うんだが……」
「なんとなく、他の人がどんなデートをするか気になったのよ」
「そう言うもんかねぇ……」
高志は注文したハンバーガーを口にしながら、紗彌に言う。
見ているじ、二人はただ楽しく話しをしているだけの印象だった。
別に特別何をする訳でもなく、會話を楽しんでいるじだった。
「なんかきがないわね」
「きってなんだよ」
「だって、紗彌達はあ~んしたんでしょ?」
「し、しましたけど?」
由華の言葉に、高志は頬を赤らめながら答える。
そんな高志を見ながら、紗彌はクスリと笑い、由華はどこか不機嫌そうだった。
「あの二人は、まだ付き合ってる訳じゃないんだし、そんな事しないだろ?」
「そうかなぁ~? なんか良い雰囲気だけど?」
高志は、由華に言われ、もう一度優一の方を見る。
優一は笑顔で芹那とクレープを食べていた。
向かいに座る芹那も楽しそうだった。
「これ食ったら、帰らないか? なんか見てても何もなさ過ぎてつまらない」
「う~ん……確かに」
「私はどっちでも良いわよ、帰るんだったら、そのまま高志の家行ってもいい?」
「え! 紗彌は今日私と一緒にいる約束でしょ!?」
「でも、由華、夕方から用事があるんでしょ?」
「う……そ、そうだった……」
「そろそろ時間でしょ? 丁度良いから、私と高志も帰りましょう」
「う~……まぁ、今日は紗彌の下著選べたから良いか……」
涙目で頬を膨らませながら、由華は言う。
そんな由華を見ながら、高志は一どんな下著なのかと、疑問に思い、同時に想像してしまい、顔を赤く染める。
「じゃあ、これ食べたら行きましょう」
「う~、八重君! 紗彌にはまだ手を出しちゃダメだからね!」
「急にどうしたんだよ…」
「だって、紗彌の初めてはわた…ごほん、ごほん……なんでもないわ」
「今凄い危ない事を言おうとしてなかった!?」
「………言ってないわ」
「その間はなんだよ……」
もしかして、自分が危険しするべきのライバルは、由華なのではないかと思い始める高志。
三人はそのまま食事を済ませ、優一に気がつかれないように店を後にした。
別れ道で、最後の最後まで由華が紗彌の腕を放さなかったのは、言うまでもない。
そして、現在は高志と紗彌の二人きりで、自宅までのまでの道を歩いていた。
「久しぶりに由華と買いしたけど……あんなに嬉しそうにしてくれるなんて思わなかったわ」
「それだけ嬉しかったんだろ? あんまり放っておくと、嫌われるぞ?」
「そうね、由華とは友達で居たいし……」
「昔から、仲良いんだな」
「うん、友達の中では一番好きかな」
「……それ、門の前では絶対言わない方がいいぞ」
「? なんで?」
そんな事を言われた日には、由華が紗彌に何をするかわからないから、などとは言える訳もなく、高志は短く「何でもだ」とだけ言う。
すると、紗彌は何を勘違いしたのか、小悪魔のような笑顔で高志に言う。
「もしかして、高志以外の人に好きって言ってしくないの?」
「そ、そんな事はない、俺はただ……」
「ウフフ、可い。仕方ないなぁ~、じゃあ高志にしか好きって言わないであげるよ」
「だから、俺の話しを!!」
高志は必死に弁解をしようとするが、紗彌には聞きれてもらえなかった。
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