《甘え上手な彼♯28

「今日、返事をすることになった」

「そうか、おめでとう」

休日明けの學校のお晝休み。

前回に引き続き、高志達四人は屋上で食事をしながら、優一の話しを聞いていた。

優一を尾行していたことは、三人だけのになっていた。

「なにを言ってるんだ? 斷るに決まってるだろ」

「は? お前彼しいって言ってたじゃないか」

「それにあんなに可かったら、別に問題ないんじゃない?」

高志と紗彌の言葉に、優一はフンと鼻を鳴らすと、顎に手をあて遠くを見つめながら言う。

「いや、なんか違うなって……あの子には、もっとふさわしい奴が居るんじゃないかって……」

「格好つけてないで、本當の事言えよ」

高志はあからさまに作ったような言葉を口にする優一に、呆れた様子でそう聞く。

すると、優一は溜息を一つ吐き、購買で買ってきた牛を飲みながら、高志達に話す。

「あの子が好きなのは、喧嘩してる俺なんだよ……」

「? どういう事よ?」

尋ねたのは、由華だった。

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あれだけ良いじでデートしていたにも関わらず、なんでこのような結果になったのか、三人は気になっていた。

「あの子とこの前デートしてさ……確かに楽しそうなんだけど、なんか違和があって……んで、帰り際に聞いてみたんだよ。俺の何処が好きなの? ってな」

「そしたら、なんて答えたんだよ?」

「強いところって言われた……」

「あぁ……」

高志は優一の言葉で、なぜ優一が告白を斷る事にしたかがわかった。

しかし、紗彌と由華は「それがどうかしたの?」と言うじで、きょとんとしている。

そんな二人の為に、高志は優一の許可を取り、説明を始める。

「こいつ、元々は結構強い不良だったんだよ」

「「え?! 絶対噓」」

「そこでハモるなよ! 本當だわ!」

よほど想像が付かなかったのだろう、紗彌も由華もかなり驚いていた。

「一匹狼っていうか、結構強くて有名で、まぁ々あって今はこんなんだけどな」

「おい高志、こんなんってなんだ、こんなんって!」

文句を言う優一を放っておいて、高志は説明を続ける。

「要するに、こいつはそんな昔の自分が大っ嫌いなんだよ」

「そういうことだ……強いところって言うのは、俺が喧嘩してた時の面影……今の俺を

好きになってくれた訳じゃない……」

何かを思い出すかのように、優一は斷る理由を話す。

優一の昔の強さと今の強さは意味が違う。

それをわかってくれる人で無ければ、優一は彼にする気がなかった。

「そうなんだ……ん? でもまって、じゃあなんで八重君も元不良?」

「俺はそんな悪い子じゃないよ、こいつとは……まぁ、いろいろ合ってな……」

「あったなぁ……々」

「ほうほう、男の友的な?」

「「いや、そんなは一ミリも無い」」

「そんなハモら無くても……仲良いの? 悪いの?」

質問してきた由華に、高志と優一は真顔で聲をそろえて答える。

「ま、中學時代にこいつと一緒に居ることが多かったってだけだよ。気がついたら進學先までいっしょだった」

「腐れ縁っていうか、気がついたら一緒にいる関係だな」

互いの顔をみながら、優一と高志は互に答える。

その様子を見て、由華と紗彌も顔を見合わせて笑う。

「なにか可笑しな事言ったか?」

「ウフフ、なんでもないわ」

「? 紗彌?」

華と紗彌の表の意味が理解できず、高志は首をかしげる。

放課後、高志は紗彌と由華に連れられて、育館の裏に來ていた。

目的はもちろん、優一の告白の返事を見守る為である。

「またここかよ……」

「芹那ちゃんはまだ見たいね」

「そうみたい、約束の時間まで、あと數分あるし…」

三人は育館裏の倉庫の裏に隠れながら、優一の様子を見ていた。

優一は壁に寄りかかりながら、スマホを弄り、芹那を待っていた。

「あ、來たわよ」

「ほんとね! 可そう……今から振られるのにあんなニコニコして…」

「可そうと思うなら、二人きりにしてあげるべきなのでは?」

振られるところを覗き見られる。

當人だったら、そんなの絶対に嫌だろう。

高志はなんだか罪悪じながら、優一と芹那の様子を見る。

「あ、あの……返事を……聞かせて下さい!」

「………俺は、君が思ってるほど、やさいくない……だから……」

「知ってます! でも、本當は優しいこともしってます!」

「そんな事ないよ……悪いけど、俺は君とは付き合えない。ごめん」

優一は言い切った。

しっかりと頭を下げて、芹那に告白の返事をした。

「な、なんでですか!」

芹那は、必死にそう尋ねる。

優一は真剣な表で芹那を見ながら、ハッキリと言う。

「君は俺の強いところが好きだって言った……正直、俺は喧嘩が強い自分が嫌いなんだ……悪いけど、自分の嫌いな部分を好きな人とは付き合えない。ごめん」

優一にしては、いつにも増して真剣だった。

本當に真剣に彼の事を考えて、答えを出したのだろう、表もどこか悲しげだった。

そんな優一に芹那は何と言うか、覗き見をしている高志達三人が張した面持ちで見ていると、芹那は優一の顔を見て言った。

「喧嘩? いえいえ、私は力強い貴方が好きだって言ったんですよ?」

「え?」

(((え????)))

當人である、優一はもちろん、隠れていた高志達三人も首を傾げる。

それは一どう言う意味なのだろうか?

芹那以外のその場に居る四人が、説明を求めていると、芹那は話し始めた。

「わ、わたし……じ、じつは結構なM質で……められのとか、痛いのとか……大好きななんです~」

「え…っと……あの?」

をくねらせながら、芹那は頬を赤らめて吐息をらす。

何やら要すがおかしいと、高志達も見ていた。

「駅前で、那須さんの力強い蹴りを見て……一目惚れしたんです……この人に蹴られたいって……」

「まて! なに? どう言う事?! 俺すごい恐怖を今じてるんだけど!?」

「はぁ……はぁ……那須さん……私のご主人様に……是非」

「変態だぁぁぁぁ! しかも俺の苦手なタイプの!!」

優一はそうびながら、芹那から距離を置き始めていた。

倉庫の裏で聞いていた三人も開いた口が塞がらない狀態だった。

「まて! 俺にその趣味は無い! それにの子をめるなんて出來ない! それこそ俺以外の趣味の合う男と……」

「那須さん以外には居ません! 私は那須さんを本気で好きですし! ほ、本気で……めてしいと……」

「高志ぃぃぃ!! そこに居るんだろ!? 頼むから助けてくれ!! 俺この子苦手だぁぁぁ!!」

助けを求める友人の聲を高志はあえてスルーした。

倉庫の裏で話しを聞いていた高志達三人は、気まずそうな顔をしながら、互いに顔を合わせていた。

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