《草食系男子が食系子に食べられるまで TRUE END》後編 草食系とお嬢様10

「お前に関する噂の真相を確かめるために、今日はここにお前を呼んだんだ」

仁王立ちで腕を組み、雄介を睨む北條。そして雄介を囲むように出てきた、他の男子生徒。一人で來いって言ったくせに、と雄介は思いながら、早く終わらないかと、ため息をついて北條の言葉を待つ。

「お前に聞きたい…加山さんと、お前は付き合っているのか?」

「付き合ってねーよ。毎回毎回、俺に聞かないで優子に聞けよ」

「「「優子?!」」」

やばい、と雄介が思った時には遅かった。先ほど付き合っていないと言ったにもかかわらず、呼び捨てでしかもどこか親し気なじで言ってしまった。 もちろん周囲の男子生徒達や北條はその言葉を聞き逃さなかった。

「付き合ってもいないのに名前で呼び合うとは、よっぽど仲が良いんだな……」

「ま…まぁな……」

先ほどよりも三倍ほどの怒りのオーラを出しながら、北條は雄介に皮を言う。雄介は自分で自分の首を絞めてしまった事を後悔しつつも何とか狀況をいい方向にもっていこうと、自分から切り出した。

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「それよりも、北條…お前良いのかよ。もうすぐ部活の大會なんだろ? あんまりつまらない事で問題起こすと、部活にも迷かかるぜ」

事態を切り抜けるために、雄介は北條に切り札とも言える言葉を言い放つ。しかし、北條はなぜか、その言葉に驚くどころか笑って答えた。

「ハハハ! 今村! お前は俺が道部だという事を知っていたんだな! だが、俺が先日道部を辭めた事は知らんらしいな!」

「な……、確かお前って、一年生ながら団戦にも出場してた、うちの道部期待のエースだったんじゃ!」

雄介は慎から仕れた報を確認するかのように北條に尋ねる。一年生のこの時期から期待されて、先輩たちと団戦にまで出場していたはずの北條。そんな北條がなぜ部活を辭めたのか、雄介は気になっていた。そしてそれと今の狀況とどう関係あるのかも雄介は大いに気になっていた。

「確かにそんな時期もあった……俺はそれこそ、だのだのという浮ついた事に興味すらなかった。しかし! しかしだ!」

何やら興気味に話し始める北條。雄介は北條の話を黙って聞く。

「俺は不覚にもに落ちてしまった……そう! 今、お前が弄んでいる加山さんにだ!!」

雄介の方を指さし、ぶ北條。雄介はそれとこの狀況と部活を辭める事にどんな関係があるのかが、まだわからず、ポカンとしたまま話を聞いていた。

道部員は、やれ汗臭い、やれ汚いだと、生徒からの人気は低い! だから、俺はモテたことなんてなかった……」

「……知らねーよ」

聞こえないくらい小さな聲でつぶやく雄介。北條はそのまま言葉を続ける。

「だが、ある日。加山さんが友人たちと道場を通った時の話だ! いつも通り、子たちが俺達道部の口を言っていた…」

『マジでさ~、道部って汗臭いしー、ぶっちゃけカッコいい人いないよね~』

『確かに~、みんな坊主だから、同じに見えるし~、優子もそう思うでしょ?』

『私は、一生懸命なにかをやってる人たちはカッコいいと思うよ? 仕方ないよ、スポーツやってて汗かくのは當たり前だし、坊主なのもきやすいようにとか、決まりがあるんじゃない?』

話を終える北條、北條は涙ぐみながら、その時の心境を語りだした。

「あの時まで、子は誰もわかってくれないんだと思っていた、道の良さや道の大変さを……しかし、加山さんは違った!! カッコいいと! 俺達の事をカッコいいと言ってくれた!」

北條と他の男子生徒は、北條のストーリーに涙を流し始めてしまった。雄介は、そんな子は他にも居たのではないだろうか? と思いながら、苦笑いで北條の話を聞いていた。

「そして思った! 俺はこの人に好かれなくても良い! でも、道部を! 俺を! 認めてくださった加山さんには、是非とも幸せになってしいと! そして俺は! 道部を辭めた……」

「うん、悪い。まったくわかんねぇよ!」

「何がわからないというんだ!」

「部活を辭めた理由だっつの! ただ優子に惚れただけで、なんで道部を辭めんだよ!」

「だから言ってるだろ! 俺は加山優子を応援する會にり、今は実行部隊の隊長をしていると! 全全霊を掛けて加山さんを守るために、俺は部活を辭めたんだ!」

「言ってねぇよ! 初めてきいたわ! てか、なんだ実行部隊って」

「加山さんに近づこうとする輩を暴りょ……話し合いによって解し、二度と加山さんに近づけないようにする部隊の事だ」

「今、暴力って言いかけたよな! もう戻れよ! 道部に!」

雄介は北條の意味の分からない選択に、若干イライラしながら突っ込みをれる。道の道を諦めて、加山の為に何を頑張るのだろうか? 雄介はそう考えながら、肩をがっくりと落としてため息を吐く。

「んで、その実行部隊が何のようだよ……」

「今村! 貴様最近、加山さんが自分に好意がある事を良い事に、々好き勝手やっているそうだな!!」

人差し指を雄介に向けてだし、北條は雄介を睨みながらそういう。雄介は、こんなうわさまで広がっているのか、と不幸になりながら、北條に弁明をする。

「そんあ訳ねーだろ! 俺はあいつと離れたいんだよ!!」

「じゃかぁしいわ! あんなに言い寄られているのに……うらやま……可哀そうだと思わないのか! 加山さんが!」

「おーい、羨ましいって聞こえてんぞ~」

一気に殺気立った北條と他の生徒達。雄介はこの狀況をどう切り抜ける考えるが、なかなか見つからない。

「それで、結局お前ら何がしたいんだよ」

雄介がそう尋ねると、北條が一言こういった。

「加山さんを幸せにしろ!」

「…………………は?」

思っていたのと違う答えが返ってきて、雄介はポカンと口を開いたまま、靜かな沈黙が続いた。

「いや、どういう事だよ?」

「加山さんがお前を選んだ以上、俺たちもそれを信じて、今まで通り応援する。 だからこそ、加山さんが惚れた相手を見て話して見たかったのだ!」

その場に居た他の男子生徒も同じ気持ちだったらしく、首を縦に振って同意する。

「別に、暴力を振るおうってわけじゃなかった、ただ良くない噂が本當かどうかを調べるために、今日はお前をここに呼んだのだ」

「あ、そうだったんだ」

安心した雄介だったが、まだ気味悪さが殘る。前に遭遇した同じような団はもっと暴力的だったからだ。 別の団なのだろうか? そう考える雄介の不安はなくなっていた。

「ならわかってくれよ! 別に俺と優子はなんでもないんだって、噂もなんか々で回ってて俺が困ってんだよ!」

「それは知っている。噂を流した俺達以上の噂が流れていて、俺達も驚いた」

「発信源お前らだったのか! なんださっきまでの良い奴らの雰囲気はどこ行った! 普通にで俺に嫌がらせしてんじゃねーか!」

北條は口笛を吹きながら、明後日の方向を向いて知らん顔をしている。雄介はやっぱりまともな奴らじゃないと思い、その場を立ち去ろうとする。

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