《草食系男子が食系子に食べられるまで TRUE END》文化祭と新たな火種 5

雄介と慎は先輩たちのすごさに圧倒されながら、校門前に向かう。

「まぁ、ここの三年の出しは、ここらへんじゃ有名みたいだし、俺達一年は毎回おまけ、みたいなもんなんだとよ」

「なんだよ、それじゃあ俺達の出しは引き立て役かよ、納得いかねーな……」

「お! いつもはどうでも良いとか言うお前が、一どういう風の吹き回しだ?」

雄介自もなぜこんなに納得がいかないのか、わからなかった。 いつもなら、なんでも良いから早く終わってしい、そう思っていたのに、今回は違う。 本気で功してほしいと願っている。

「まぁ、あれだ……なんかここまで頑張ってきて、そんな扱いは嫌なだけだ」

「ふ~ん、最近雄介変わったな」

「は? そうか?」

ニヤニヤしながら慎は雄介に向かって言う。 雄介は自分ではそんなじはせず、いたって昔と変わらないつもりでいた。

「なんか、加山と関わるようになってから、他人に興味を持ち始めてるじがする」

「はぁ? 別に他人なんて興味ねーよ」

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「それなら昨日の加山のいも、あのまま斷ればよかっただろ~」

慎に言われ、雄介はハッとする。 確かに、し前の自分なら、優子がどんな顔していようがどうでも良かった。 なのに、なんで今回は優子の表を気にして、あんな提案をしてしまったのだろうか、そう雄介は考えていた。

「……そうかもな」

「まぁ、悪い事じゃねーよ。俺だけだった友達が、今じゃ片手で足りない數出來ただろ?」

「あれ? 俺ってお前と友達なの?」

「ぶん毆るぞ」

などとふざけ合いながら、二人はポスター張りを続けていた。 校門前も張り終えたところで、雄介たちはメイド服姿の二人組に聲を掛けられた。

「雄介! ポスター張り終わった?」

「ん? 優子と沙月さんか、なんでメイド服なんだ?」

話しかけてきたのは優子と沙月だった。 二人とも明日の裝であるメイド服にを包み、雄介と慎の元にやってきた。

「優子が『雄介にもう一回見せてあげる!』って言って無理矢理著せられて連れてこられたのよ……」

「なんというか、お疲れさま……」

雄介はし表の暗い沙月にそう言うと、軽く沙月に一禮する。

「へ~、太刀川のそういう姿は新鮮だな~、あとで寫メ取らせてくれよ~」

「山本君。セクハラよ、一緒に警察に行きましょうか、今から」

「まぁまぁ、恥ずかしがるなって、俺と太刀川さんの仲だろ?」

「どんな仲だったかしら? それより警察って110よね?」

「おいおい、流石にそれは勘弁……」

慎と沙月は二人で漫才のような會話を続け、俺と優子はその姿を見て笑っていた。 仲が良いのか悪いのか、正直良くわからない二人だが、見ていて飽きないのは確かだ。

「で、優子は俺にメイド服を見せに來ただけか? それなら、もうそろそろ教室に帰りたいんだが……」

「え~、なんか想とか無いの~」

頬を膨らませて不満をらす優子。 しかし、優子のメイド服姿は裝合わせの時に散々見たので、今更何も言うことはない、雄介はとりあえずこう言っておけば喜ぶだろう? そう思ってある言葉を口にする。

「あぁ…可いと思うぞ~」

「えへへ~、そんなぁ~、世界一可い俺の嫁だなんて~」

「あぁ…もうそれでいい、さっさと戻ろうぜ~」

最早ツッコミすら面倒臭くなってしまった雄介は、優子のボケを華麗にスルーして、教室に戻ろうとする。

「あ、悪い雄介。加山さんと先に戻っててくれ、俺は太刀川さんと話があるんだ」

そう言って、沙月さんの肩を抱く慎。 沙月はそんな慎に嫌な顔をし、顔を青くして拒絶するが、慎は沙月の事を逃しはしなかった。

「…あぁ、わかった。じゃあ先に戻ってるわ」

「えへへ~、雄介が褒めてくれた~」

「おい、行くぞ優子」

がお花畑になりつつある優子と共に雄介は教室へと戻っていった。 殘された慎は沙月を離し、笑顔を向けて話を始めた。 沙月は慎を警戒し、常に一定の距離を取る。

「何かしら? そろそろ本気で警察を呼びたいんだけど……」

「いや、話って言ってもそんな変な話じゃない、ただのおいだ」

「おい?」

「あぁ、學園祭二日目のベストカップルコンテストに俺と出てしい」

雄介と優子は教室までの道のりを二人で歩いていた。 メイド服姿の優子はどうも目立ってしまい、隣の雄介にまで視線が集まってきてしまう。 しかも、優子が隙あらば雄介に近づいて來ようとするので、雄介は気が気でない。

「おい、もうし離れろよ」

「えぇ~、良いじゃん。私、最近機嫌良いから、今なら雄介に何をされても……」

「なんもしねーから安心しろ……はぁ、全く。なんで俺はこんな奴を……」

こんな奴を心配しているんだ。そう思ったが口には出さない。 口に出してしまえば、また優子がはしゃぎだすと思ったからだ。 優子は相変わらずの笑顔で雄介の隣を歩き、雄介はそんな優子の姿を見て、思わず自分の口元を緩める。

(まぁ、良いか……)

「最近ほんとに私ついてるよ~、雄介に學祭回るのわれるし、可いって言ってもらえるし!」

「そんな事がうれしいのか?」

「うれしいよ! だって……」

優子は雄介の前に來て向かい合い、雄介の顔を覗きもみながら、満面の笑みで一言口にした。

「大好きだもん」

「!!」

雄介は優子からの不意打ちに、思わず顔が熱くなるのをじた。 別に優子の事はなんとも思っていない、そのはずだった。 しかし、今の突然の優子のしぐさを雄介は可い、おしいとそう思ってしまった。 雄介は顔を隠し、優子に背を向ける。

「あれ? あれあれ? 雄介顔赤い! もしかして照れてる?」

優子がからかうように、雄介に言ってくる。 雄介は否定しようとしたが、どうせ否定したところでからかわれる事は目に見えてわかっており、それなら正直に言ってしまおうと考えた。

「あぁ……悪いかよ……」

「え……」

雄介の予想外の言葉に、優子も顔を赤くし黙り込む。 優子は心すごくうれしかった。やっぱり自分は最近ついていると確信した。 しかし、恥ずかしくて雄介の顔が見れず、しかも何を言っていいかもわからないでいた。

「な、なにお前まで赤くなってんだよ!」

「ゆ、雄介がいけないんでしょ! 卑怯だよ! あんな不意打ち!!」

「不意打ちはお前もだろうが!」

一連の流れを傍から見ていた、他の生徒達は皆二人の姿を見てこう思っていた。

(このバッカプル発しないかなー)

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