《草食系男子が食系子に食べられるまで》第12章 後編4 草食系とお嬢様
「ゲーム好きなんだな」
「ハイ! あ、貴方は嫌いです」
「つくづくムカつくだな……」
「私も、異にこんなにも怒りを覚えたのは初めてです」
「ハイハイ、わかったわかった。俺はもうそろそろ帰るから、あとはどうぞご自由に」
雄介は、椅子から立ち上がり、帰ろうとする。しかし。その時、ドアの向こうから聲が聞こえてきた。
「異とこんなに楽しく話せたのも、初めてかもしれません」
「……」
雄介は何も応えずに、倉前さんと共に、部屋を後にした。
「すいません、結局何も変わらなくて……」
雄介は先頭を歩く倉前さんに謝罪する。結局は、ただ喧嘩をしてゲームの話をしただけだった。これじゃあ、なんのために來たのか、わからない。雄介はそんな事を思い、自分にもっと語意力があればと思いながら歩いていた。
「いえ、今村様……雄介様のおかげで、お嬢様は前進しました。私は謝しています」
「え?」
言葉の意味が分からず、雄介は聞き返した。雄介はただ織姫と口喧嘩をしていただけで、何かを変えたなんて自覚が無かったからだ。
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「お嬢様が、初めて男と會話して楽しいと仰いました。それに、あんなに楽しそうに話すお嬢様は、久しぶりです……」
何かを思い出すように、倉前さんは話をしていた。そんなに自分は特別な事をしただろうか? そう考える雄介だったが、やはりただ喧嘩をしただけのようにじていた。
「そこでお願いなのですが……」
「はい?」
倉前さんは、急に足を止め、雄介の方に向き直った。雄介も立ち止まり、倉前さんの言葉を待った。
「どうか、これからもお嬢様のお話相手になってはくださらないでしょうか?」
「え?! ちょっと、頭を上げてくださいよ!」
倉前さんは、頭を深々と下げ、雄介に頼み込む。雄介は、そんな倉前さんの行に驚いて、アタフタしてしまうが、倉前さんはそれでも頭を上げなかった。
「私は、お嬢様が小さい頃から傍に居ました。昔はお嬢様も男と普通に接し、學校にも行っていた時期がありました。私は、お嬢様にもう一度學校に行っていただき、學校で同年代のと友達と勉學やスポーツに勵んでほしいのです。だから、貴方のお力をこれからもお借りしたいのです」
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「えっと、俺ってそんなたいそうな事しましたっけ?」
「以前にも、お嬢様とお話をした男はいましたが、皆さま全員駄目でした。なので、今回二時間もお嬢様が男と會話していた事は、すごい事なんです」
倉前さんの話によると、雄介以外にも男嫌い克服の為に、神科の先生や有名なカウンセラーの先生などの男と會話をした事があるらしいのだが、全員5分後には、肩を丸めて落ち込んで戻ってきたらしい。
「そうは言っても、あの様子じゃもう俺とは會わないつもりなんじゃ……?」
「それは、以前の方々が一度目で失敗し、一回も二回目が無かったからです。雄介様のお暇な時で良いんです。お願いします!」
頭を下げたまま、必死に頼む倉前。雄介はそんな倉前さんの姿に、斷る事が出來ず、ため息を吐いたあとに応えた。
「そこまで言うなら……でも、あまり期待しないでくださいね?」
「もちろんです! ありがとうございま……あれ?」
倉前さんは、雄介が頼みを聞きれてくれた瞬間にに、顔をがばっと上げ、雄介の手を取り謝を表そうとしたのだが__
「すいません、自分はにられるのはちょっと……」
「あ、すいません。私もつい……」
雄介は倉前さんから手を摑まれないように、倉前さんと距離を置いていた。なんとも気まずい狀態になってしまい、この空気をどうしたものかと、二人はお互いに考えていた。
「まぁ、學校のある時は放課後になりますけど、それでも良いなら……」
沈黙を破ったのは雄介だった。自分の質のせいで、今の気まずい狀態になってしまった罪悪で、自分から話を切り出した。
「はい、それで大丈夫でございます。その際はお迎えをご用意するように手配いたしますので、ご安心ください」
そこでふと、雄介は考えた。あの車で學校に迎えに來る、もちろん目立ってしまいう。ただでさえこの前の一見で、俺は悪目立ちしてしまってるのに、高級車でのお迎え__
(絶対面倒な事になるな……)
「あ、いや、大丈夫です……自力で來れそうなので……」
「大丈夫ですか? このあたりだとバスしかないですよ?」
移の事を心配する倉前さんを説得するのはなかなか大変だった。だが、最終的には、屋敷から家までの帰りは送ってもらうという事で話がまとまった。
「兎に角今日は帰ります。これ以上いても仕方ないでしょうし……」
「分かりました、すぐに車を準備します」
雄介はその後、來た時と同じ車に乗ってすぐに帰宅した。しかし、帰宅してからが大変だという事を雄介はまだ知らない。
*
私は、星宮織姫。いわゆる社長令嬢という人間です。社長令嬢というと、お父さんに付き添って、パーティーに行ったり、有名なお嬢様學校に行って、優秀な績を修めたりするのでしょうが、私はそのどちらでもありません。 私の日常は……
「やりました! レア武ゲットです!」
パソコンに向かってゲームをしています。 とある事から、私は男恐怖癥で、近くに居られるのもが拒否反応を起こしてしまい、倒れてしまいます。なので、もう十年近く、この家の敷地から出たことがありません。
「さてと、それでは早速、この武のレベル上げを……」
PCを作しながら、私は今日の來客について考える。
「そういえば、あの人もこのゲームやってるんだったな……」
今日來た來客、確か名前は雄介だったはず。顔はわからないが、私の嫌いな男だ。お父様は時々、こうして私の男恐怖癥をなんとかしようと、男を屋敷に連れてくるが、大抵はちゃんとした部屋で、壁越しに話しをするのがいつものやり方だったのだが、今日は違った。
「いきなり來て、自己紹介もなしに失禮な事を言って……」
今まで私に會いにきた男は皆、決まって敬語で必ずある事を聞いてきた。
「そういえば……今日は聞かれませんでした……」
それは、なんで男恐怖癥になったか、という質問だ。 今までの人たちは、醫者やカウンセラーなどどうしても私のこの男恐怖癥を何とかしようとするのが強すぎるようで、あまり心を許せるじがしなかった。 でも、今日の人は違った。ただ世間話をして、その後にゲームの話をたくさんした。
「あの人も恐怖癥って言ってたな……」
彼は私と似たような質のせいで、々と悩まされてきたらしく、基本的にが嫌いらしい。それでも私ほどの重癥ではなく、にれられたりしなければ、基本は大丈夫らしい。
「本當に失禮な人です!」
PCを作し、自分のアバターをかしながら彼への怒りを思い出す。しかし__
「でも、ゲームの話は楽しかったですね……」
誰もいない部屋でぽつりと私はつぶやく。 當たり前だが、學校にも行かずに十年近くも家の敷地から出た事の無い私に友達などと呼べる存在がいるわけもない。 だから、今日初めて共通の趣味の話題で楽しく話す事が出來て、私は正直楽しかったのだ。
「ゲームの話なら……また話しても良かったかな?」
そんな事を考えながら、私はコントローラーから手を放し、椅子にもたれかかった。 いままでそうだったが、一度私の男恐怖癥を治そうとしてきた男たちは、一回限りでその後は何の音沙汰もない。今回もそうだろう。
「今村……雄介さん…ですか……」
私は彼の名前をつぶやく。 正直言うと、今日は彼と話せて楽しかった気がしていた。もう會えないとなると、し寂しさが殘る。
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