《草食系男子が食系子に食べられるまで》第12章 後編18 草食系とお嬢様

「あぁ~、重かった……」

「おーい、メイド服と各裳持ってきたぞー」

雄介たちはほどなくして、裝を持って教室に帰ってきた。

「オウ、ゴクロウ、ミセテクレ」

「えっと……なぜカタコト?」

帰って來た雄介を出迎える堀だったのだが、雄介の前でおかしな喋り方になってしまった。雄介はそんな堀に疑問を浮かべ。他のクラスメイトは堀の様子を見て「駄目だコイツ……」と思いながら、助け舟を出しに江波が向かう。

「あ、ありがとう! じゃあ、とりあえず子は更室行ってサイズが合うか確認してこよっか!」

江波の提案で、クラスの子達は更室に向かい、男子は教室で作業の続きと裝の試著をする事になった。雄介は出かける前に渡辺とした約束を守るために、渡辺の元に向かった。

「すまん、待たせた。何をやればいい?」

「お! おう…と……とりあえず…発しろ!」

「まだ言ってるのかよ……」

肩を落としてため息じりに返答する雄介。そんな二人の様子をクラスに殘った男子たちはチラチラと視線を二人に向け、渡辺に「さっさと探れ」という視線を送る。

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「……探れって言われてもなぁ…」

「ん? なんか言ったか?」

「あ! いや……発しろ!」

「もうそれお前の語尾なのか?」

渡辺はまさか自分が探りをれる事になるとは思わず、今の狀況をそうしたものかと、若干パニックっていた。一応は、雄介に作業を伝え、今は木材を切ってもらっているが、渡辺はどう聞き出したらいいものかと、頭を悩ませていた。

「お…おい、今村……」

発はしないぞ?」

「ちげーよ!! こういう機會だから、ちょっと聞くけどよ」

「なんだよ、言っておくが発はしないからな」

「だから、それはもう忘れろ!」

「じゃあ、なんなんだよ?」

雄介は作業の手を止め、不思議そうに渡辺を見る。渡辺は、もう回りくどく聞いてもどうせボロが出てしまうと考え、ストレートに聞くことにした。

「お前って、加山さんと付き合ってんのか?」

渡辺のド直球な発言に、クラスの男子は全員「なんでそんな普通に聞いてんだよ!」と心で計畫がバレないかハラハラする。だが、聞かれた本人の雄介は別に不信を抱いては居なかった。 なんだ、いつもの事か……と最近ではあまり聞かれなくなっては來た質問を、今更ながらに渡辺がしてきただけだと考えていた。

「はぁ~、そんな風に見えんのか、俺達って?」

「どう考えても仲良いだろ! 発しろ!」

「お前はなんだ、弾魔かなにかなのか? まぁ……々あってなぁー」

どこか遠くに視線を向ける雄介。そんな雄介の姿に渡辺は何かにずいた。

(ま……まさか、々すっ飛ばして、の関係を……)

渡辺がまったく的外れな想像をしている頃、雄介は優子とのこれまでの出來事を思い出していた。

(考えてみれば、本當に々あったなぁ……そういえば、俺ってあいつの事、一回振ってるんだっけ……)

ほんの一か月で々な事があったものだと思い。よく今のような関係になれたものだと、慨深く思う。 一方の渡辺は、雄介の一言を大げさにけ取り、一人勝手な妄想を繰り広げていた。

(最初は今村も確かに嫌がっていたが……嫌よ嫌よも好きのうちとはこのことか!! クッソー! 今村はもうすでに大人だというのか!!)

「あ。そういえば、この看板」

「あぁ?! なんだコラ! これ以上俺をみじめにして何が楽しいんだ!」

「何怒ってんだ? いや、そうじゃなくてさ、なんか頑張って一人で仕上げてくれたのに、否定するだけで何も言わなくて悪かったと思って」

「え?! な……なんだよ急に!」

「よくよく考えたら、じゃあお前に出來るのか? って言われたらあんな綺麗な絵、俺には書けないし、なんか文句ばっかで悪かったと思って」

渡辺は素直な雄介の言葉に照れくさくなり、顔が熱くなるのをじる。今まで絵を書いてもあまり素直に褒められたことなんてなかった渡辺は素直にその言葉がうれしかった。

「は……はん! 俺様はのエースだかな! やっとこの絵のすばらしさに気が付いたか!」

照れ隠しに、強気な態度をとる渡辺。顔がし熱くなるのをじる。

「あぁ、良くこんなに綺麗に書けるな……俺が書いても落書きレベルだよ」

(あ……あれ? 今村ってこんなにかっこよかったっけ?)

話が反れてしまい、渡辺は雄介に奇妙なを抱き始めていた。そんな渡辺の様子にクラスの男子達はまだ気が付かない。

「なぁ、渡辺のやつ大丈夫か?」

「なんか、顔赤くね?」

「ちゃんと聞き出せてんのか~?」

チラチラと二人の様子を確認するクラスの男子の面々。そんな視線に気が付いた人が一人だけいた。

「何を聞き出すんだ~?」

「げ! 山本!」

みんなの様子に気が付いたのは慎だった。こそこそ話をしている堀達に、慎は笑顔で接近し尋ねる。

「まぁ、山本なら言っても良いんじゃね?」

「それよか、一番仲が良い山本なら知ってるかもしれねーな!」

何かを納得したように、話しかけられた堀達は相談し、慎からも報を聞き出す事にし、慎に訳を話した。

「加山と雄介の関係?」

「あぁ、そうなんだ。結局どうなってるのか、俺達気になってな…」

「いま、渡辺が探りをれてんだけど、なんかあいつじゃ無理っぽいからよ」

慎は三人の問いにどう応えるべきかを考える。確実に言えるのは付き合っていないという事だが、それでは面白くない。そう考えた慎は堀達に意味深に言った。

「なんか、加山さんが雄介の家に泊まったって話を聞いたことあったけど? それ以上は、俺でもわからん」

慎の話を聞いた、堀達は強く衝撃をけた。あまりの衝撃に、堀は開いた口がふさがらず、一瞬の沈黙の後に、三人は騒ぎ出した。

「お、おい! マジか! 泊りって!」

「もう付き合うとかそれ以上の段階じゃねーか!」

「で、でもよ、まだ一か月位しか経ってないんだぜ? そんな短い期間でそこまで……」

「今村のあの様子じゃ、あいつからって事はないだろ? ……もしかして、加山さんが強引に……」

「な…なんだと!!」

妄想に花が咲く堀達を慎は腹を抱えて笑うのを必死にこらえる。 男子サイドでは、どんどん雄介と加山の関係に尾びれが付き始めていた。

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