《草食系男子が食系子に食べられるまで》第13章 文化祭と新たな火種 9

「しかし、今回は葉山先生。大膽な作戦に出ましたね」

「えぇ、同じ生としてはいささかあれは分かりやすすぎるのでは無いかと」

「吉浦先生、貴方がだったのはもうずいぶん前の話では?」

「吊るしますよ、田中先生」

いまだにやり取りを続ける葉山と石崎を眺めながら、3人の練先生はお茶を楽しみながらその様子を観察する。

「まぁまぁ、若いって言うのはいいですなぁ~」

吉浦をなだめながら、赤坂先生は話題の中心である、2人の教師を優しい目で見守る。 一方、話題になっていることなど想像もしていない石崎は、現在の狀況を理解できずにいた。

「あの……なんで私なんです? うにしても別の先生とかが居たのでは?」

「他の先生は駄目です。皆さんお忙しそうですし、お子さんが居る方もいます」

「私は暇そうだと?」

「はい」

休日も毎日暇だと思われている事に悲しくなる石崎。 第一、2人で映畫なんて行って、生徒に見つかりでもしたら大変だ。石崎は何とか穏便に斷る方法を探る。

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「実はこの日は用事がありまして……」

「どんな用事ですか?」

「いや、そろそろ結婚を考えようと思いまして」

「!? だ! 誰とですか!!」

焦った様子で石崎に詰め寄る葉山。 石崎はそんないつもと違う葉山の様子に驚きながら、応える。

「えっと……これです…」

石崎は先ほどまでパソコンで見ていた婚活サイトを指さし、葉山に見せる。 それを見た葉山は、元の位置に戻り、いつもの笑顔で話出す。

「大丈夫です。石崎先生には必要ありません」

「どういう意味?!」

満面の笑みで答えられ石崎は思わず突っ込んでします。 「お前はずっと獨でいろ」そういう意味なのだろうかと思い、悲しくなる石崎。

石崎が葉山に迫られている頃、教室では著々と準備が進んでいた。

「良し、あとはテーブルを並べて完了だな」

「そうね、そう言えば先生は?」

準備が終わりそうになり、江波が擔任である江崎を探し始める。

「あぁ、そう言えばさっき職員室で見たな……あ、でも今は行かないほうが良いぞ」

「どうして?」

は江波に石崎の居場所を伝えるが、なぜか呼びに行くことを躊躇する。 そんな堀に、江波は不思議そうな顔を浮かべる。

「いや、いまは葉山ちゃんのアピールタイムって言うか……」

「あ~なるほど」

1年2組の生徒は、全員が知っていた。葉山が石崎を好いている事に……。 そんなクラスでは、暗黙のルールがあった。それは葉山が石崎と話をしている間は、絶対に邪魔をしないというルールだ。

「は~、石崎先生も鈍ね~。普通あれだけされたら気づくでしょ?」

「まぁ、あの先生だしな……葉山ちゃんが不憫だよ」

「それより、どうするよ? 石崎先生用の服も用意したんだ。試著してもらわねーと」

クラスの男子生徒が、石崎用の服を持ちながら困った顔で言う。

「ちなみに、何を著せるんだ?」

近くに居た慎と雄介は、石崎が何を著るのか気になり、困っている堀達に尋ねる。

「えっと、これも著ぐるみ系なんだが…」

そういって見せてきた服は、真っ黒な著ぐるみで、耳があり深い。 一これは何のキャラクターなのかと、不思議に思う雄介。つくづく自分の著る服が普通で良かったと思う。

「なんか、石崎先生可哀そうだな……」

「あぁ…この熊みたいな服を著て二日間はしんどい……」

この著ぐるみを著た石崎を想像しながら、同までしてしまう雄介と慎。

「良し! 終わったーー!!」

クラスの誰かがび、明日の準備がすべて終わった事を知らせる。 教室はいつもよりも華やかになり、機や椅子が綺麗に並べられ、黒板にも裝飾を施し、飲食店としての衛生的な部分もしっかりさせ、準備は萬端だ。

「これで後は、明日を待つだけか…」

「いよいよだな~」

準備を終えた教室を見ながら、雄介と慎はつぶやく。 ここまで準備を重ね、いよいよ明日が本番だ。功すればよいと皆が思っているし、同時に不安もある。 だが、今は皆そんな事よりも明日が楽しみだった。

「お~い、終わったか?」

「あ、先生」

石崎が相変わらずの眠そうな顔で教室にってくる。 どこか疲れているようなじだったが、教室を見て「おぉ、大したもんだな」と一言想を言う。

「あ、それと先生。先生は當日、これを著てください」

「なんだ? これ?」

「くまポンです」

「なんだ? そのどこぞのゆるキャラみたいな名前は……」

は石崎に著ぐるみを手渡し、石崎はし嫌そうな顔をしてそれをけ取る。

「これ、著なきゃダメか?」

「「「駄目です」」」

クラスの生徒全員から言われ、石崎は諦めて著ることを選ぶ。 ため息を付き、ポケットから何かを取り出して、更にため息を付く。

「はぁ~、なんで今日はこんなに押し付けられるんだ……」

「先生、何持ってるんですか?」

江波が、石崎がポケットから出したものに興味を抱き、石崎に尋ねる。 石崎は元々眠そうだった目を更に細めて、江波に言う。

「あぁ、葉山先生に映畫のチケットを押し付けられてな……」

「え! それって、デートじゃないですか! 先生やるぅ~」

子達は教師のにキャーキャー言いながら々と口を出し、男子生徒はこの世の終わりといったじに絶している。

「くそぉぉぉ! とうとう俺らの葉山ちゃんがぁぁぁ!」

「俺が後10年早く生まれていれば!!」

こんなじで、膝をついて泣き出す者まで現れ始める。 憧れの綺麗なお姉さん的ポジションの先生である葉山先生が石崎先生に好意を抱いている事は知っていたが、こうやって行に出されてしまうと、憧れを抱いていた男子生徒にはつらい。

「まてまて、別にデートじゃない。これはただチケットが余ったらしいから、それの消費を手伝いにだな……」

「「「それは口実だって気が付けよ!!」」」

今度は男子生徒全員を敵に回して怒られてしまった石崎。 なんで今日のこいつらは俺に冷たいんだ? なんて事を思いながら、石崎はまたため息を付く。 々な思いが詰まった學園祭はいよいよ明日開催。それぞれが々な思いを抱いて、當日を心待ちにしているのであった。

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