《草食系男子が食系子に食べられるまで》第15章 文化祭の開始1
*
「こんなとこだ」
雄介は優子に一通りの事を話し終えた。 優子は複雑な表を浮かべながら、黙って聞いていた。
「あの時、刑事さんが言った名前、それは俺の家族の命を奪ったの名前だ。ショッピングモールで俺が急に走り出したのは、そのを見かけたからだ」
「そう……だったんだ……」
悲し気な表で雄介を見る優子。 雄介はそんな優子に笑って言う。
「あの時、お前に言えなかったのは、まだお前に完全に心を開けなかったから。俺の過去を聞いたんだ。わかるだろ? 俺は若干だが、人と関わるのもあんまり好きじゃない」
「うん……じゃあ、なんで今話したの?」
「それは……」
最後になるから、なんてことは言えない。 雄介は考えた、いや、考える必要も無かった。 雄介自、こんな狀況にならなくても、優子には話していただろう。 雄介自はもうわかっていた、もう優子に雄介自、心を許し切っている事に……。
「まぁ、あれだ。お前も、俺にとって大事な人の一人になったってことだよ」
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「え! じゃあやっぱり彼に!!」
「大事な人の一人とは言ったが、彼にするとは言ってない!!」
いつもの二人の調子に戻る。 雄介は話を聞いた後も普段通りの優子に安心した。 そして、今度は優子が先に口を開いた。
「ありがと……雄介はちゃんと、私を見てくれてるんだね」
恥ずかしそうに頬を赤く染めながら、俯いて話す加山。 雄介はそんな加山をからかうような軽口で返す。
「まぁ、々大変なところはあるけどな」
「む~、何それ~、全部私の表現でしょー?」
「お前の表現は度が過ぎてんの!」
いつものやり取りに、いつもの二人。 雄介は心の中で思う。もっと一緒に居てみたかったと……。
「ねぇ、連れていかれた後はどうなったの?」
「あぁ……」
雄介はその後の話はしたくなかった。 話したら、雄介を見る優子の目が変わってしまうと思ったからだ。 雄介は若干話を濁して簡単に答えた
「俺は警察に保護されて、姉さんは海に沈められた。それだけだよ……」
「……ごめん。あんまり追及しないほうがいいよね……」
「気にすんな」
雄介がこれ以上は何も話したくない様子を優子が察し、そこで雄介の話は終わった。 それと同時に、學校のチャイムが鳴る。
『これより、學園際を開始します』
學園祭開始を告げるアナウンスが流れ、俺と優子は慌てて教室に戻る。
「大変! 始まっちゃった!」
「早く戻ろうぜ、看板娘が居なきゃ、始まんねーだろ?」
二人で屋上のドアから學校に戻る。 そこで、雄介は優子に言い忘れていた事を言った。
「優子」
「え、なに? 早く行かなきゃ!」
「ありがとな」
「?? どうしたの? 変だよ雄介?」
「なんでもね、行こうぜ」
そういって雄介は優子を置いて、教室までの道を走り出す。 置いて行かれた優子も、急いで後を追う。
「あ! ちょっと待ってよ、雄介!!」
雄介と優子は、クラスに戻った。 まだ始まったばかりだった事もあり、そこまで人は來ては居なかったが、クラスメイトからはブーブー言われてしまった。
「あ、やっと來た! 優子、どこに行ってたの?」
「うん! ちょっとね~」
雄介の方にチラリと視線を向ける優子。 その視線に気づいたのは雄介だけだった。 一緒に來た雄介はというと、クラスの男子生徒から事聴取されていた。
「おい、今村!!」
「なんだよ、個かな姿のクラスメイト諸君……」
「「「うるせぇ!! 仕方ねーだろ!」」」
メイド喫茶をやる條件として、男子は様々なコスプレをして接客する事を條件とされていた。 海賊だの侍だの騎士だの、多種多様な裝のクラスメイトが雄介に詰め寄る。
「なんだ! 文化祭で更に距離をめたのか! このクソリア充!」
「は? ……話が見えないんだが?」
「やかましい! 加山さんとどうせお楽しみだったんだろ!!」
またその事か、雄介はそう思いながら、肩を落としてため息を吐く。 優子に告白を公言されてから、こんな會話を度々クラスメイトや他のクラスの男子としてきたが、男子が優子に憧れる理由が、雄介はしづつわかって來ていた。
「お前らが思ってるような事はしてないから安心しろよ。それに、俺じゃ……釣り合わない事もわかってる……」
雄介のいつもと違う返しに、クラスの男子生徒は全員目を丸くして、開いた口が塞がらない、といったじで雄介を見つめる。
「い…今村? お前、なんかあったのか?」
「そんな、普通の返しされると、何も言えなくなっちまうんだが……」
いつもと違う、雄介の反応にクラスの男子生徒は、調子を狂わせてしまう。
「なんもねーよ。それより、客來たんじゃねーか?」
教室り口には、既にお客さんらしき人が、中の様子をうかがっていた。 各自持ち場について、お客さんをもてなし始める。
「いらっしゃいませ~」
やはり、メイド喫茶というのは目立つらしく、文化祭が始まったばかりだというのに、どんどんお客さんがってくる。
「おいおい、午前中から大盛況だな! 客も來るなんて意外だぜ……」
「あぁ、客のほとんどは山本目的だけどな……」
慎の周りには、一緒に寫真を撮りたいという客が集まっていた。 いつもなら苦い顔をする慎だが、クラスに貢獻するために笑顔で対応する。
「「クソ! イケメン死ね!!」」
そんなハーレム狀態の慎の姿を見ながら、堀とクラスの男子は聲を揃えて本音をぶ。 そんな彼らは裝姿で負けじと接客をする。
「「いらっしゃいませ~」」
「いや~、なにそれ裝? キモ~イ」
笑顔で接客をした堀達だったが、店にってきた客からの言葉に、神的大ダメージをけてしまった。
「……俺、二日間この格好はヤダ…」
「ばか! 俺もだよ! 畜生!!」
涙を流して奧のバックヤードに引っ込んでいく堀達。 そんな二人に目もくれずに、お客さんの視線はメイド姿の子達に向けられる。 雄介たちの子生徒は以外にもレベルが高く、學當時は話題になっていた。しかし、優子が別格にレベルが高いせいであまり目立っては居なかった。 そのせいもあって、メイド喫茶は好評だった。
「さて……俺はっと……」
雄介は自分のシフト時間が終わったのを確認して、教室を出てある場所に向かった。
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