《草食系男子が食系子に食べられるまで》第15章 文化祭の開始2

雄介は、校門に向かっていた。 しかし、織姫を迎えに行くにはし時間が早い。 織姫と會う前に、會わなければいけない人がおり、その人に會いに行くのだ。

「賑やかだな……」

校門に向かう間、雄介は校の様子を見ながらそうつぶやく。 いつもと違う學校の様子が新鮮で、こんな狀況だというのに、自分も興しているのが雄介はわかった。

「確か、ここらへんで……」

校門を出て、すぐの場所で雄介は目的の人を待っていた。

「雄介君!」

「あ! 小畑さん」

校門を出てすぐの曲がり角で、雄介は目的の人を見つけた。 刑事の小畑信梧オバタシンゴ。昔、家族が殺され、一人になってしまった雄介を世話してくれた刑事さんで、雄介が信頼を置いている刑事さんだ。

「急にすいません。學校には?」

「あぁ、話は通した。兇悪犯がこの學校に何らかの干渉をする可能があると言ったら、明日は中止にする事にしたらしい」

「そうですか、良かったです」

「だが、気は抜けないよ。相手はあの滝沢だ、雄介君に接したという事は、確実に君を狙ってくる。今日も學校周辺に刑事や周辺の番から警察を呼んで、この學校をマークしているが、何かあったらすぐに知らせてくれ」

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小畑は真剣な表で雄介にそういうと、雄介の肩に手を置き、優しい笑顔でいう。

「十年前、私は君しか救えなかった……。だが、今回は必ず、君も君の友人も家族も! 私達警察が守って見せるよ。約束しよう」

小畑の表に、雄介は決意をじた。 滝沢の事を考えているのは、雄介だけではない、小畑もずっと後悔していた。 滝沢を逮捕出來ないまま、十年が経過し、今度こそは! と意気込んでいる。

「ありがとうございます。俺も……もうあのに人生を狂わされるのはうんざりですから……」

「……そうだよな。ともかく、君は今は學園祭を楽しみなさい。犯人を逮捕するのは私達警察の仕事だ」

小畑と雄介はそういって別れた。 これで、滝沢の被害に會う人間は、かなり減される。 雄介はし安心し、織姫との約束の時間を待った。

「あいつ…リムジンとかで來るのかな……」

校門で織姫たちを待ちながら、雄介は思う。 そんな車が校門前に止まったら、絶対目立つだろうと……。

「まぁ、今日くらいは良いか…」

織姫が久しぶりに外に出るのだ、それぐらいは我慢してやらなければいけない。雄介はそう思いながら、織姫を待った。 しして、雄介のスマホが鳴った。雄介はスマホをポケットから取り出し、畫面を見て相手を確認する。 そこには『倉前さん』と表記されており、雄介は到著の連絡かと思い電話に出た。

「もしもし? もう著きましたか?」

『ハイ、間もなくです』

間もなくという割には、近くにそれらしき車は見當たらない。 雄介は何処から來るのだろうかと、周りを探すが、やはりそれらしき車は見當たらない。

「あの? どこからくる予定ですか?」

『あ、上からです』

「え? 上って……」

雄介が空を見上げると、そこにはヘリが一機あり、どんどん高度を下げて、こちらに向かってきていた。

「ヘリとか聞いてねぇぇぇぇ!!!」

強い風が、周辺に吹き始める。そのせいでヘリは目立ち、周りの人々がヘリを見上げていた。 すると、ヘリから、はしごが現れ、それを突っ立ってメイド服姿の倉前さんが織姫を抱いて、雄介の目の前に落ちてきた。

「お待たせいたしました。お嬢様、大丈夫ですか?」

「大丈夫です。倉前さんありがとうございます」

二人を送り屆けたヘリはどこかに飛んでいき、周囲からはこれ以上ない視線を集めていた。

「あの……ヘリで來るなんて、聞いてないんですけど……」

「申し訳ありません。最初は車でと考えたのですが、どうにも道が狹い上に、學園祭という事で通量が多くて……」

「多くて?」

雄介は肩を落とし、し貓背気味になりながら、倉前さんに尋ねると、倉前さんは笑顔のまま答える。

「飛んできました」

「……あぁ、そうですか……」

雄介は金持ちの家の考える事は分からん、そう思いながら、文句を言う気も失せてしまい。ただ呆れていた。 一方の織姫は、何やら怯えた様子で倉前さんおに隠れている。

「ひ……人が…こんなに……」

久しぶりの外、久しぶりの大勢の人。織姫は不安と期待のり混じった思いでここに來ていた。 雄介も織姫の様子を見て、とりあえずどうしたものかと考える。

「とりあえず、どうします?」

怯える織姫の様子を見て、雄介は倉前と相談をする。 とりあえず全を見て回ってみる事にして、倉前と織姫、そして雄介は學校を回り始めたのだが……。

「おい、あの子スッゲー可いな」

「隣のメイド服の人もかなり綺麗だよな?」

目立つ、織姫はもちろん、倉前さんも綺麗な容姿をしているので、どうしても目立ってしまう。 どこに行っても注目を集めてしまい、落ち著いてみて回れない。 織姫は引きこもりが長かったせいか、視線に敏になっており、怯えっぱなしだ。

「おーい、織姫、大丈夫か?」

「な、何とか……」

やはり早すぎただろうか? そんな事を考えながら、どうしたら織姫が楽しめるかを考える。 そこで、雄介はある事を思い出す。

「そう言えば、里奈さんとこは、お化け屋敷って……」

お化け屋敷なら、他の人の視線も無いし、何より學園際っぽい出しの一つだ。 織姫もお化け屋敷なら楽しめるかもしれない、そう思った雄介は織姫に聞く。

「織姫、學園祭って言ったらなんだ?」

「い、いきなりなんですか?」

「良いから、行ってみ」

「えっと…メイド喫茶でしょうか?」

「そこは勘弁してくれ、他を頼む」

メイド喫茶、つまり雄介のクラスな訳なのだが、そんなところに連れて行ってしまえば、雄介自もクラスメイトからうるさく聞かれてしまうだろうし、何より優子が居る。 織姫を連れて行けば、クラスの男子が黙っているはずがない。 そういった理由で、雄介は優子の答えを聞きなおす。

「それ以外ですか? ……お化け屋敷ですか?」

「そう! それだ! 行くぞ」

「え? はい?」

やっと出た、みの答に雄介は大聲を上げ、そのままお化け屋敷をしている里奈のクラスまで歩き始める。 倉前と織姫は雄介の意図を理解できないまま、雄介についていく。

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