《草食系男子が食系子に食べられるまで》第16章 新たなる朝3
「あの……自分はどんな人間だったのでしょうか?」
雄介は恐る恐る紗子に尋ねる。 紗子は顔を上げ、微笑みながら雄介の問いに答える。
「貴方は凄く良い子よ。それはもう私達夫婦にはもったいないくらいに……」
「そ…そうなんですか」
記憶は無いが、し照れくさくなる雄介。 紗子は、そんな雄介の手を取り、包帯だらけのを見て言葉を続ける。
「でも、ムチャばかりする子だったわ……。過去の事もあってか、誰かが悲しんでるのを嫌がる子で、一人でムチャして……誰かを助けて……」
「す、すみません……」
記憶は無いが、怒られている事は確かなので、雄介は謝罪をしておく。 そんな雄介を見て紗子は笑みをこぼした。
「ウフフ、別に攻めてる訳じゃないのよ。ただ、あまりムチャをしてほしくなかったのよ……」
紗子は再度雄介のを見ながらそういう。 一自分はどんな人間だったのだろう? そんな事ばかり雄介は考えてしまう。 こんな大けがをしてまで、何を自分は守りたかったのか、今はそれもわからない。
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「飲みを買ってきたよ」
「あ、すいません」
病室のドアが開き、玄が戻ってきた。 両手にはペットボトルの飲みを持っており、雄介はお茶をけ取って飲む。 起きてから飲んだのは水だけだったので、やっと味の有るを飲むことが出來、雄介はしうれしかった。
「失禮します」
玄がってきてから數分でまたしても知らない人がってきた。 おそらく40代後半くらいの男で、灰のコートを著て、手にはお見舞いらしき花束を持っており、頭には包帯を巻いている。
「あ、小畑さん」
「どうも、ご無沙汰しております。話は奧澤先生の方からお聞きしていますので、事件に関してきたわけではありません。私個人のお見舞いです」
「わざわざすいません」
「いえ、この子は私の恩人ですから、當然の事ですよ」
先ほどから小畑と雄介の両親が話をしており、雄介はなんのことかさっぱりわからない。 この小畑という人は誰なのだろう? そんな疑問ばかりが、頭をよぎっていた。
「雄介君、私は小畑と言います。一応刑事をやっていてね。君とはもう知り合って10年くらいになるんだよ」
「えっと……自分は刑事さんとなんでそんなに長い付き合いなのでしょうか?」
ふと気になった事をそのまま口にする雄介。 しかし、小畑は答えにくかった。 雄介の過去を話さなければ、自分の存在を説明できない。 しかし、その過去はあまりにも壯絶であまりにも殘酷だ。
「あ~、とある事件でね……正直、知らないほうが幸せなのかもしれないよ……」
小畑は寂し気な表で雄介にそう言うと、頭を下げ始めた。 突然の事に雄介は困し、ワタワタしだす。
「雄介君すまない! 私が居ながら……君を……君を! こんな目に……」
小畑は涙を流して雄介に何度も謝罪をする。 雄介は分からなかった。自分はいったい何をしたのか、なぜこんなにも皆から謝罪されるのか、その理由が知りたかった。
「なんで、皆さんは自分にそこまで謝罪を? 自分は一……」
自分が何者なのか、雄介はそれが知りたかった。 なぜこんなに謝罪をされなければならないのか、なぜ皆涙を流すのか、今の雄介には全く分からなかった。
「それは、追々話して行くよ……今はを治す事だけ考えていてくれればそれでいいんだよ……」
優しくそういう玄に雄介は腑に落ちない様子で一応納得する。 しかし、このわずかな時間で、雄介は自分自に興味を抱いていた。 なぜこんなにがボロボロなのか、なぜこんなに皆自分に謝るのか……。 ほどなくして、両親と小畑は帰っていった。 玄は著替えを持ってまた來ると言っていた。 雄介は再び一人になって考える。
「俺は……何ものなんだ……」
俺が記憶を失った當時に持っていたものが、ベッドの脇の機に並べられている。 財布にスマホ、そしての薬をれて保管しておく、アンプル。 なぜこんなを自分は持っていたのだろうか? 謎が多く、知れば知るほど、謎は深まっていく。
「なんだか、知らないって怖いな……」
そんな事を思いながら、雄介は目をつむり眠りに落ちて行く。 今できるのは、を休める事だけだからだ。
*
雄介の病室を後にした小畑と今村夫婦は、奧澤先生に雄介のの狀態を聞くため、診察室に呼ばれていた。
「外傷もそうですが、傷もかなり大きいです。しかし、皮にもの改造をされている事もあり、治癒が兎に角早い……。十年前にも思いましたが、ここまでの治癒能力を持っている人間はあり得ない。今回はあの薬を3回使用したという事で、に相當の負擔が掛かっていましたが、雄介君の持っている元々の治癒能力によって負擔が緩和され、命に別狀はありません」
「そうですか……良かった」
「皮なものですな……十年前の人実験の結果で今回は助かった……」
小畑は握った拳をワナワナと震わせながら怒りをあらわにする。 それも當然だ、10年前の雄介を知る小畑にとって、今回の事件はなんとしても阻止しなければならなかった。 なのに、またしても小畑は守れなかった。 自分のけなさに、小畑は腹が立った。
「に害の有る薬は、薬洗浄で取り除きました。雄介君の治癒能力でほぼ害の有るをから除去する事には功していますので、ご安心ください。ただ……」
「ただ、なんですか?」
「また薬を使った場合は確実に死に至るでしょう。今回もそうでしたが、前回以上にへの負荷が大きい、治癒が追い付かなくなっているのでしょう。絶対にもうあの薬を彼のにれてはいけません」
「それは分かっています。今回もまさか、10年前のを雄介が持っているなんて思わなくて……」
俯きながら答える玄。 まさか雄介が仇討ちを考えているとは思わず、もっと雄介と話が出來ていればと、自分を責める。
「今回もギリギリでした。何とか一命をとりとめましたが、あと一か所どこかに大きな傷でもけて居ようものなら、出多量で死んでいました」
「……親失格ですね……私たちは……」
「それを言うなら私も主治醫失格です。彼と月一であっていながら、神のケアが出來なかった……」
互いに自らを責める大人たち、その場の4人が同じ事を考えていた。 救うと決めた子供を結局は救えなかったという、辛い事実を……。
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