《草食系男子が食系子に食べられるまで》第16章 新たなる朝7

二組見舞いが來ただけなのにも関わらず、雄介は疲れて寢てしまった。 突然のガチのお嬢様からの告白に、し常識のズレたその子の父親との面會。 疲労が溜まるのも無理は無かった。 病室には、徹が置いて行った豪華な花が異様な雰囲気を醸し出している。

「ん……う~ん……今何時だ……」

雄介は目を覚まして、近くに置いていたスマホを手に取り時刻を確認する。 時刻はもう16時を回っていた。 織姫が病室を後にしてから、実に2時間ほどが経過している。

「結構寢たんだな……よっと」

雄介は起き上がり、ベッドの橫に置いてあるテレビをつける。 チャンネルを回すが何も面白い番組は無い、仕方無しにニュースを見ているととあるニュースが雄介の目についた。

『続きましては、先週起きた學園祭襲撃事件のニュースです。既に犯人は逮捕され、學校も通常通りの授業を再開しました。事件に関しましては……』

ニュースのアナウンサーが、事件についての細かい詳細を話している。 雄介はそのニュースがどうも気になった。 何か知っているような、聞いたことがあるような……。そんな思いでニュースに見っていた。

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ニュースを見ていると病室のドアをノックする音がした。 雄介はテレビを消し、慌ててノックの主に向かって答えた。

「は~い、どうぞ!」

雄介がそう言うと、勢いよくドアが開き、ドアの向こうから綺麗なが顔を出した。

「ユウ君……」

そのの正は、雄介の義理の姉である、今村里奈だった。 里奈は、學校帰りに直接やって來たらしく、制服姿に學校指定のカバンを持っていた。 しかし、雄介は里奈の事を覚えているはずもなく、誰なのだろうか? と考えながら口を開こうとするが……。

「えっと……どなたでって、うわぁ!!」

「ユウ君! 會いたかった! 會いたかったよ~」

里奈は雄介が言葉を言い終える前に、雄介の元に飛んでいき、に抱き著いた。 わんわん大泣きをしながら、里奈は雄介のに顔を押し當てる。 當の本人である雄介は、里奈の正がわからず困していた。

(また、変な人が來た……)

心雄介はそう思いながら、里奈が泣き止むのを待った。 數分で里奈は泣き止み、落ち著きを取り戻して、ベッドの脇に用意された椅子に座って涙を拭く。

「あの……すいません、自分記憶が無くて……貴方の事を覚えていなくて……」

「知ってるわ……でも、生きてた……また、會えた……」

涙をこぼしながら、笑顔でそういう里奈。 雄介は、自分が多くのを泣かせるような罪な男だったのだろうか? などと本気で思い始めていた。

「失禮ですが、お名前と自分との関係を聞いても良いでしょうか?」

「えぇ……私は今村里奈、貴方の姉で嫁よ」

「あぁ~貴方が、すいません覚えていなくて………ん?」

雄介は今さっき里奈が言った自分との関係について、大きな違和を覚えた。 雄介はその違和の正を探るため、もう一度里奈に確認する。

「あの…さっきの自分との関係ですが……嫁とかって言いました?」

「えぇ、言ったわ」

雄介は確認して間違いで無い事を知ると、頭の中で必死に考えた。

(あれ? 俺って結婚してるの? でも確か、日本男の結婚年齢って確か18からなんじゃ……)

などと考えていると、里奈がおもむろに雄介を自分の元に抱き寄せて來た。 雄介は里奈の行に驚きつつも、突然だった事と、里奈の強い力によって、きが取れなくなってしまった。

「可哀そうに……ごめんね…お姉ちゃんが守ってあげられなくて……でもこれからはずっと一緒よ。さぁ、お姉ちゃんと一緒に田舎でひっそり暮らしましょう!」

「ま! 待ってください!! とりあえず離してください! 苦しいです…」

「あ、ごめんね…」

そう言うと里奈は雄介の拘束を解き、椅子に座り直す。 雄介はの危険をじ始め、若干里奈から距離を置く。 この人は本當に自分姉なのだろうか? そんな疑問まで浮かんでくる。

「あの、先ほど嫁とか言ってましたけど、冗談ですよね? 年齢的に自分は結婚できませんし……」

「そうね、し話を盛ったのは認めるわ……でも、結婚を誓い合った人同士なのは本當よ!」

「そ、そうなんですか!」

まさかの姉が人という衝撃の真実に雄介は驚く。 しかし、その事実が間違いだという事を、後からってきた人によって知らされた。

「あんたは何やってんの…」

「ぎゃ! い…痛いよ……」

後からやってきたのは紗子だった。 里奈の頭を本の角で叩き、里奈の言葉を止めた。

「はぁ~、この子はまったく……雄介、この子が貴方の姉って言う事だけが本當。それ以外はこの子の妄想」

「あ、はい。なんか納得です」

雄介は紗子の説明に直ぐに納得することが出來た。 普通に考えてあり得ない話だし、記憶を失う前の自分がどんなだったか、今の雄介は分からないが、そうじゃない気が何となくしていた。

「まぁ…でも、あの子が雄介を家族としてしているのは本當だから、久しぶりに會えてうれしかったのよ」

そう言った紗子の目は、まぎれもない母親の顔だった。 二人の子供を互に見ながら、紗子は目を細める。

「絶対に、貴方たちを不幸になんてさせない。今回の事で決心したわ」

雄介は紗子の言葉を聞きながら、どう反応したら良いのか戸った。 記憶が無い以上、雄介からしたら紗子は他人。 なぜ自分にここまでの事を言うのか、雄介はまだ分からなかった。

「そんな事よりユウ君!」

「え、あ…はい」

雄介は里奈に呼ばれて、若干後ずさる。 しかし、里奈はベッドの上に乗り、雄介の目の前までやってきて、雄介の顔をよく見る。

「本當に……良かった……」

「え…えっと……」

里奈は、雄介の頬をでながら、優しくそう言い、涙をこぼした。 最初は変な人だと思っていた雄介も、里奈のそんな姿を見て考えを改めた。 自分の事を本當に心配し、してくれているのだと……。

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