《草食系男子が食系子に食べられるまで》第17章 帰宅と登校3
アルバムの中には、い雄介と里奈の寫真があった。 小學校にってからの寫真が多く、あまり笑っている寫真が無い。
「不想だな……」
記憶が無い雄介にとっては、知らない不想な子供の寫真を見ている気分だった。 ページをめくる毎に、雄介と里奈の寫真が増えているのがわかった。 小學校高學年の寫真なんかは、必ず寫真のどこかに里奈が居た。
「…ちょっとしたホラーだな……」
し不気味なアルバムを見ながら、雄介は苦笑いをする。 しかし、どの寫真を見ても、雄介以外の人間は笑っていた。 雄介自は楽しくなさそうなのに、他の人間は必ずと言って良いほどに、寫真の中の誰かが笑っていた。
「……俺は何がつまらないんだろう」
寫真の中の自分に語りかけるように、雄介は呟き、ため息を吐く。 アルバムを閉じ、元の場所に戻すと、雄介は一階に降りて行く。 どこに何があるのか、紗子に尋ねるためだ。
「あの、紗子さん?」
雄介は、一階の玄関から直ぐ部屋にって、紗子を呼ぶ。
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「あら、雄介。どうかした?」
中は凄く散らかっていた。 ゴミ袋が三袋ほどおかれ、洗濯ものは散らかりっぱなし、部屋の隅には誇りまで溜まっていた。
「あ、あの……どこ何の部屋があるのか、知りたかったんですが……この部屋は?」
「り、リビングよ……」
「隨分個的なインテリアのリビングですね……」
散らかったリビングを見ながら、雄介は呆れた聲でそういう。 そんな雄介に同調するかのように、玄が洗濯の山から現れて言う。
「これは散らかりすぎじゃないかな?」
「し、仕方ないのよ! 雄介が今まで掃除とか家事をやってくれてたから、中々毎日の家事って言う習慣が無くて……」
俺は一この家でどんな立ち位置に居たのだろうか? そんな疑問が雄介の頭によぎる。 臺所からも、何やら異臭がしており、雄介は鼻を手で押さえた。
「あの、掃除しませんか? これから皆さん來る事でしょうし…」
「そうね……流石にこの狀態をよそ様に見せるわけには行かないわ……」
今村家の4人は、各所に分かれて掃除を始める。 雄介は、記憶は無くなっても、が覚えていた家事スキルを発揮し、どんどん部屋を綺麗にしていく。 しかし、問題はその他の三人だった。 まずは里奈だ。
「ユウ君! エプロン有る?」
「ありますけど、つけますか?」
そう言って、雄介は自分のつけていたエプロンを里奈に渡そうとする。
「あ、じゃあ私も全ならなくちゃね!」
「あの、なんでですか?」
「もう、ユウ君ったら、にエプロンだから、エプロンって言うんでしょ? ユウ君はおバカさんだな~」
おバカさんは貴方では? などと思いながら、雄介はエプロンを里奈に渡すのをやめて自分でつけなおす。
「え~なんで貸してくれないの~」
「風邪をひくと悪いので、そういう使い方をするならかしません」
「む~、ユウ君はお姉ちゃんのそういう姿見たくないの?」
雄介はその瞬間、當たり前の事だが、別に見たくないと思ったが、同時に違和もじた。 健全な高校生男子だったら、こんなに人でのつながらない姉のエプロン、なんてエロゲーのようなイベントを速攻で否定などできるものだろうか?
「……俺って…本當にが嫌いだったんだな…」
もしかしたら、記憶を失う前の自分はホモだったのではなかったのかと、自分を疑ってしまうほどに、雄介はそういう事に興味を持てなかった。
「ユウ君! 聞いてる?」
「……あ、すいません。考え事を…」
「フフ…もう、ユウ君は本當に仕方ないな~」
里奈は雄介の腕にしがみ付き、甘い聲で囁くように雄介に言う。 雄介が記憶はないとはいえ、帰って來た事が里奈はうれしく、いつも以上に雄介とスキンシップを取っていた。
「あ、あの……掃除してもらっていいですか?」
「え~、もうし~」
雄介の前とは違う新鮮なリアクションが里奈は面白く、小悪魔のような表を浮かべながら雄介に著する。
「里奈! 雄介が困ってるでしょ!」
「イタ! お母さん最近暴力的だよ~」
「まったく、あんたはお父さんと洗濯干してきて!」
「む~、せっかくユウ君と良いじだったのに~」
里奈は紗子に頭を箒で叩かれ、大人しく玄の元に向かって行った。
「はぁ~、あの子はまったく……」
「ありがとうございます。ああいう時、どう対応すれば良いのか、まだわからなくて…」
「大丈夫よ、あの子が特殊なだけだから」
「は、はぁ……」
自分の娘を特殊と言い切った紗子に、どう言葉を返せばいいか分からず、雄介は生返事で答える。
「ところで紗子さん……」
「ん? 何かしら」
「その右手に持ったお風呂用洗剤は?」
「洗剤ならなんでも良いと思って、これで窓を磨こうかと……」
「ちゃんとした洗剤で磨いてください……」
「そ、そうよねぇ…あはは…」
紗子は笑いながら雄介の元を離れて行った。 雄介はそんな紗子を見ながら、本當に家事は自分がやっていたんだと確信する。
「早く終わらせないとな……」
雄介は掃除を続けながら、なんだか懐かしい覚をじていた。 昔もこんな風に掃除をしていたような、そんな覚だった。
「うわぁぁ! どうしよう、洗剤があふれてきた!」
「お父さん何やってるの! どんどん出てくるわよ!!」
「ちょっと! 貴方、里奈! 何やってるの!」
どうやら洗濯組の二人が何かをやらかしたらしく、雄介は掃除を中斷して、洗濯機のある風呂場を覗きに向かった。
「うわぁ! なんですかコレ……」
洗濯機の周りは、泡で溢れかえっており、いまだに洗濯機から泡が出続けていた。
「あ、雄介。どうしよ、止まんないんだよ! コンセント抜いてみる?」
「電するかもなのでそれは絶対ダメです。とりあえず洗濯機の停止ボタンを押してください」
玄は言われるがままに、洗濯機の停止ボタンを押して洗濯機を止める。 周りに広がった泡を見て、雄介はこう思った。
(絶対俺がこの家の家事擔當だったんだな……)
雄介は仕事が増えたと思いながら、ため息を付き、顔を叩いて気合をれて掃除を再開する。 そして、他の三人に指示を出した。
「紗子さんは臺所の洗いをお願いします」
「わ、わかったわ…」
「里奈さんは洗濯済みの洗いを干してください」
「りょ、了解……」
「玄さんは、自分とこの泡を片付けましょう」
「は、はい……」
雄介の気合のった指示に、三人は驚きながらも従う。 皆が來るのは後一時間ほど、果たして掃除は終わるのであろうか、先が思いやられる雄介だった。
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