《草食系男子が食系子に食べられるまで》第17章 帰宅と登校12

「……やりすぎです、大丈夫ですか? 雄介さん」

「あ、ありがとう凜ちゃん……」

雄介から優子と織姫を引きはがしたのは、意外にも凜だった。 凜は酒を飲んでいない様子で、いつも通りの落ち著いた様子で雄介に語りかけてくる。

「トイレから戻ったらなんですか、この異様な雰囲気は……」

「いや、俺も今さっき戻ってきて……」

「そこの野獣に捕まったわけですね……」

「う、うん」

床に寢転がる織姫と優子を指さして凜は言う。 確かにんな意味で野獣のようなじだったなと、雄介は思いながら、顔を赤くして答える。 凜はそんな雄介の様子が面白くなく頬を膨らませて雄介に皮っぽく言う。

「もしかしてお邪魔でしたか?」

「え! そんな事ないよ、助かったよ」

「どうでしょうね? 顔真っ赤ですし……」

雄介は織姫に言われて、自分の頬をる。 顔の熱が自分でもわかるほどに熱くなっているのを雄介は確認し、凜の言葉を必死に否定する。

「こ、これは違うよ! ただ単に恥ずかしかっただけというか……」

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「……そうですか」

凜はプイっとそっぽを向き、不機嫌になってしまう。 雄介は何とか凜の誤解を解こうと、言葉を考えるが良い言葉が浮かんでこない。 そんな時、凜が雄介に向かってボソッとつぶやく。

「……私は、り込む隙間もありませんか……」

「え?」

雄介は凜の言葉の意味が一瞬分からず考え込む。しかし、言葉の意味は直ぐに分かった。 凜の様子を見ていれば、凜が自分に対してどんなを抱いているのか、雄介は分かり始めていた。 凜は他の3人に比べてそこまであからさまに態度には出さないかったが、今日の様子や以前雄介の病室にお見舞いに來た時の様子から、雄介は何となくそうなんじゃないかと思っていた。

「凜ちゃん……その答えは申し訳ないけど、今の俺にはわからない……」

「……」

凜は雄介の言葉を靜かに聞いていた。

「前の自分が、凜ちゃんも含めた四人にどんなを持っていたのか、今の俺にはわからない……それに、俺自がそこまで他人に好かれるような人間だったのかもわからないんだ……」

「……そうですよね……」

「でも、これだけは分かるよ」

「え……」

「俺が……自分がこの場に居る皆の事をどれだけ大切にしていたか……その中には順位なんてないよ。だから、俺にとって凜ちゃんも大事な人の一人なんだ」

言われた凜は、思わず顔を赤らめて俯く。 やっぱりこの人は記憶を無くしても何も変わらない、凜はそう思いながら笑みをこぼし、雄介の顔を見て笑顔で言う。

「私、雄介さんが好きでよかったです!」

「……そ、そっか…」

雄介は、そんな笑顔の凜に対し顔を赤くして答える。 直球で言われてしまうと弱い雄介は、凜から目を逸らす。 凜はそんな雄介の顔を覗き込むようにして見続ける。

「フフ、ドキッとしました?」

小悪魔のような表を浮かべながら、凜は悪戯っぽく言う。 こういうところは兄弟そろって似ていると、雄介は思いながら、凜の問いに答える。

「…正直、し……」

「じゃあ、私にもまだ……チャンスありますね!」

凜はそう言うと、雄介の腕にしがみ付き引っ張って行く。

「ど、どうしたの? どこか行くの?」

「はい、ここはお酒臭いですし、皆寢ちゃってますし、雄介さんの部屋でお話したいです」

「それは良いけど……なんで俺の部屋?」

「落ち著いて離せる場所が雄介さんの部屋しかないですし、それに……」

「それに?」

なぜか頬を赤らめだす凜、雄介はなぜかさっきまでの良い話の雰囲気から、徐々に嫌な予に変わっていくのをじていた。 凜の雄介を摑む力が強くなっていく。

「雄介さんのお部屋なら……ベッドで何をやっても平気ですから~」

そう言う凜の顔は真っ赤に赤く染まり、しお酒臭かった。 そこで雄介は気が付いた。凜もまたお酒を口にしており、しかも酔いがここに來て回り始めたのだと……。

「り、凜ちゃんストップ! やめよう! ここに居よう!」

凜の様子に気が付いた雄介は、足を止め凜から離れようとするが、凜は雄介を離さない。 顔を真っ赤にさせながら、ものすごい力で、雄介の腕を引っ張っている。

「嫌です! ぐずぐずしてたら雄介さんの貞までもっていかれかねません……ここは私が先手を打って……」

の子がそう言う事を言っちゃダメ! 慎、君も何か……」

何か言ってくれ、そう言おうと慎を見た瞬間、雄介は言葉を失った。

「アハハハハ! 山本が椅子になった! イケメンの椅子だぁ~、あははは!」

慎は四つん這いになり、完全に沙月の椅子になっていた。 屈辱そうな顔で涙を堪え、慎は歯を食いしばり、雄介に視線を送る。 雄介はその視線の意味を察し、助けなどを頼める狀況ではない事を察する。 とは言っても、雄介も々とピンチな事に変わりはない、雄介は頼れる相手が居なくなった以上、自分で何とかしようと凜を説得し始める。

「凜ちゃん、そんなお酒の力でそんな事をしても後で絶対後悔するよ!」

「大丈夫れすよ~、私は後悔なんてしません、それに……」

凜は更に顔を赤くし、恥ずかしそうに雄介に言葉を続けた。

「もう子供の名前も考えてます!」

「駄目だこの子! 助けて慎!!」

必死に頼む雄介に対し、慎から「むしろこっちを助けろ!」とびにも似た聲が聞こえてくる。

「雄介~、なにしてるの?」

「う~ん、私も雄介にくっ付きます~」

「ユウ君~、お姉ちゃんと子供作ろ~」

そんな事をしている間に、寢て居たはずの優子、織姫、里奈が目を覚まし、雄介と凜の元にゆっくり近づいてくる。 まるでゾンビ映畫のゾンビのように迫ってくる三人に、雄介は恐怖冴えじていた。

「ま、待ってくれ! 皆冷靜に……」

「雄介さんは私とこれからベッドインなんです~、邪魔しないでください!」

「何言ってるの凜ちゃん!」

凜の言葉に、一気に三人は反応し雄介に迫ってくる。

「ベッドイン~? それは私がするの!」

「またベッドですか~? 雄介と一緒に寢るのは気持ちいかもしれませんね~」

「ユウ君、お姉ちゃんとベッドで……ウフフ」

一気に迫ってくる陣4人に、雄介は最早恐怖鹿じず、悲痛なびをあげる。

「ぎゃああああああ!!!!」

この騒ぎは夜まで続き、その後は皆酔いから冷めたが、酒を飲んだ全員記憶が無く、雄介と慎は絶対にこのメンバーに酒を飲ませてはならないと痛した。

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