《草食系男子が食系子に食べられるまで》第19章 クラスメイトと雄介 5

「おいおい、あんまり喧嘩すんな……」

「だってこいつが……」

「ハイハイ、分かったから、行くぞ」

慎は江波が悪いと主張したかった様子だが、慎に軽くあしらわれてしまう、慎はそのまま教室を出て校門に向かって歩いていく。 それに続いて雄介を含めた殘り5人もそれに続く。

「おい……あいつ……」

「あぁ、今日からだったんだな……」

相変わらず雄介が通った後は、皆ひそひそと何かを話している。 本人である雄介はそこまで気にはならなかった。 しかし、本人よりも周りが気にしすぎてしまっていた。

「なんだあいつら、じ悪いな……ボコってくるか」

「やめなさい、あんたじゃ泣かされて終わりよ」

「ふっ、今こそ俺が昔やっていた書道の力が……」

「なんの役に立つのよ、ほんと馬鹿ね……」

「バカって言うな!!」

気にしているのか、それとも別な何かを気にしているのか、不思議なじではあるが、一応雄介を心配している様子の堀

「まぁ、でも確かに、いい気分じゃないわね…」

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「仕方無いわよ。噂なんだから……って言っても限度があるわね……」

怒りを言葉に出しつつある江波と沙月。 そんな一同の前に柄の悪い連中が數人と、チャラついたじの男子生徒とがギャルっぽい生徒が數人立ちふさがる。

「おいおい、道を占領すんなよ。邪魔だろ?」

「悪いな、ちょっとお前らとお話したくてよぉ」

慎が先頭の茶髪の男子生徒に淡々と言い放ち、それに茶髪の男子生徒はニヤニヤしながら答える。

「お話? なんだ、ピクニックのおいか?」

「さすがイケメン君。冗談もうまいねぇ~、でもそうじゃないんだよ」

ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべながら話す茶髪の生徒。 雄介はし話を聞いていただけで、この生徒の素行があまり良くないだろうと思った。

「なぁ、お前らよくそんな奴と一緒に居られるよなぁ?」

茶髪の生徒は、雄介を指さしながら言う。 雄介は「あぁ、こいつらもか……」と思いながら話を聞いていた。

「そいつのせいで學園際はめちゃくちゃ、俺たちだって危険な目にあった。全部こいつのせいだって知ってるんだぜ~」

雄介以外の5人は厳しい表で茶髪の男子生徒を睨んでいた。 茶髪の男子生徒の後ろにいる生徒も、面白いものを見るかのように、ニヤニヤしながらその様子を見つめる。

「みんなだって恨んでるだろ? こいつのせいで、俺らは死ぬかもしれなかったんだ! なぁ! そうだろ?」

周りの生徒を味方につけようという魂膽なのだろうか、茶髪の男子生徒は周りの生徒に語りかけるように言う。 周りの生徒は、そんな茶髪の男子生徒の言葉に発され、雄介に聞こえるような聲で、思っていたことを口に出し始める。

「…そうだ、ケガしたやつだっていたんだ」

「折角準備してきたのに……」

「……怖かった……」

その場の空気が、どんどん雄介達にとって居心地の悪いものになっていく。

「やめろよ! 今村だって被害者なんだぞ!」

「そうよ! それに悪いのは犯人でしょ!」

とうとう我慢できずに、堀と江波が反撃に出始める。 しかし、周りの空気は雄介たちにとって完全にアウェイ。 二人だけの反撃ではたかが知れていた。

「その犯人がここに來た原因は何だ? そこにいる今村雄介だろぉ?」

「そうだ、今村がいなければあんな事には……」

「今村が學校に來たってことは、犯人の仲間がまた來るんじゃ……」

「もう學校來るなよ……」

どんどん追い込まれていく雄介達、そんな狀況で優子は雄介の手を握ってきた。

「…大丈夫だから……」

雄介の手を強く握りながら、優子は雄介を安心させようとそんなことを小聲で雄介に言ってくる。 雄介はまたしても、が痛くなるのをじた。 そんなことをしている間にも、周りの生徒の罵聲は止まない。

「今村ぁ~、もうお前、自主退學した方が、學校のためなんじゃね?」

言われた雄介は、別に何とも思わなかったが、昔の自分ならどんな気分なんだろうと、ふと考える。 雄介は優子の手をほどき、茶髪の男子生徒と向かい合い、今の自分の答えを茶髪の男子生徒に伝える。

「そうかもね、今は記憶がないからわからないけど……その方がいいのかもしれないね……」

「雄介!」

「おいおい! こいつ認めたぜ!」

雄介の思いもかけない言葉に、慎は咄嗟にんだ。 楽しそうに笑っている茶髪の男子生徒は、さらに顔を歪ませて高笑いする。

「…その前に聞いてもいいかい?」

「あん? なんだよ、退學屆の書き方か?」

笑いながら言う茶髪の男子生徒に、雄介は男子生徒の間を指さして大きな聲で言う。

「チャック、空いてるんだけど?」

「……え…」

「いやぁ~、さっきからずっと気になってさぁ~、正直いつ言おうか悩んでたんだ……」

茶髪の男子生徒は、自分の制服の間部分に手を當て、チャックが開いていることに気が付き、顔を赤くしながらチャックを上げる。

「それと、もう一ついいかな?」

「な…なんだよ……」

雄介はそれだけでは終わらない、まだ言葉を続ける。 すでに堀と江波は噴き出して、後ろで大笑いしている。

「ベルト緩いの? ズボン下がってるよ?」

「はぁ? これはファッションだよ!!」

雄介は茶髪の男子生徒の腰パンスタイルを指摘し、返ってきた言葉に目を丸くしてこう答える。

「え! これファッションなの? え、歩いてたら下がっちゃわない? ケツ丸見えになっちゃうよ?」

「いいんだよ! こういうファッションなんだよ!!」

「え、じゃあこれがかっこいいの? でも、みんなあんまりやってないけど……」

雄介は周りの男子生徒の姿を見まわして、不思議そうに男子生徒に言う。

「あの…君」

「え? お、俺?」

雄介は茶髪の男子生徒の後ろにいた制服の中にパーカーを來た男子生徒に尋ねる。 突然のことでパーカーの生徒はし驚いていた。

「これって……かっこいいの? 第三者の意見が聞きたくて、もしかしたら自分がおかしいのかもしれないし……」

「え……か、かっこいいに決まってんだろ……」

パーカーの生徒は、茶髪の生徒からの目くばせされ、そう答える。 その答えに、雄介はまたしても切り返す。

「じゃあ、なんで君はしないの?」

「そ、それは……」

「カッコいいならやった方がいいんじゃ……?」

「あぁ! ごちゃごちゃうるせーやつだな!! とにかくお前がさっさと消えればだなぁ……」

雄介の言葉に業を煮やした茶髪の生徒が切れ気味で、雄介に何かを言おうとした瞬間。 ガタイの良い男が、茶髪の男の肩を誰かが強く摑んで抱き寄せる。

「なんの騒ぎだ? 俺も混ぜてくれよ」

「北條……」

雄介は突然現れた、道著姿の巨漢の男子生徒を見る。その生徒を見て、慎がぽつりと名前をつぶやいた。

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