《草食系男子が食系子に食べられるまで》第20章 ただいま 5

「今日、織姫が何やらなりを整えていてね、どこかに行くのか聞いたら、雄介君に會いに行くというではないか。ならば私もと、すぐに紗子さんに連絡を取り、お邪魔して良いのかを聞いて見たら、雄介君の記憶が戻ったと言うじゃないか」

「はい、どうもご心配をおかけしました」

ソファーに座り、今村家の三人と星宮家の三人は事の経緯について話をしていた。 徹は嬉しそうに話をし、倉前はそんな徹にフォローをれつつ、隣で話に混ざっていた。 そんな中で、雄介は一つだけ気になることがあった。

「織姫……そんなところで何やってんだ?」

織姫は、倉前の後ろに隠れて、一向に前に出てこようとしない。 それどころから、何やら雄介を避けている様子で、帰ってきてから、雄介は一度も織姫の顔を見ていなかった。

「お嬢様、気恥ずかしい気持ちはお察ししますが、折角雄介様の記憶が戻ったのです。々と言いたいことがあるのではありませんか?」

「そうだぞ、織姫。これから夫婦になるんだ、何を恥ずかしがる必要がある?」

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「徹様、し黙っていてもらえますか? 話がややこしくなってしまいます」

徹の言葉に、織姫は更に表に出ずらくなってしまい、倉前は徹に笑顔で毒を吐いた。

「織姫」

「は、はい……」

雄介は倉前と織姫のもとに行き、頭を下げる。

「迷かけた。本當にすまなかった……それと、ありがとう」

「雄介様……」

「雄介……」

雄介は何を話すにも、まずは謝罪をすべきと思っていた。 織姫と倉前に噓をつき、しかも織姫がこれから外の世界に出ていこうとしているところを邪魔してしまった。 危ない目に合わせ、折角外にも慣れてきていたのに、自分がすべてを臺無しにしてしまったと雄介は思っていた。

「あ、頭を上げてください……」

織姫は倉前の後ろから出てきて、雄介の前に立った。 顔を赤く染め、目には涙を浮かべている。 雄介は顔を上げて、そんな織姫の顔を見る。

々、考えました……雄介がどんな気持ちで生きていたのか、雄介はどんな気持ちで私と接していたのか……考えても考えても、私がたどり著く答えは一つでした」

織姫は赤く染めた顔をさらに赤くし、雄介に言葉の続きを話す。

「私は……多分、どうしようもなく貴方が好きです。周りに何を言われても、たとえあなたが普通の人とし違っていたとしても………私は、私をあの家から連れ出してくれた貴方が、大好きです」

「………」

織姫のストレートな告白に雄介は思わず顔が熱くなるのをじる。 しかし、今の雄介は、織姫の告白に答えることはできない。

「織姫……俺は……」

「あ、あの……待ってください、流石にここで続きをするのは……」

「あ……」

告白に夢中で、雄介と織姫は忘れていたが、ここには互いの親がいる。 しかも親三人はそんな二人をガン見したまま、こんなことを話していた。

「いや~、若いっていいね。紗子さんと初めて會った時を思い出すよ」

「そうね……確か、私が玄を無理矢理……」

「紗子さん、子供の前だよ」

紗子が何やらとんでもないカミングアウトをしそうになり、玄は慌てて紗子を止める。

「うぅ……織姫が……あの泣き蟲だった織姫が……」

徹は何か心に響くものがあったらしく、涙を流して喜んでいる。

「お嬢様、これからはこれが必要になるかもしれません。ふつうは殿方が持っているものですが、持っていて損はないでしょう」

「倉前さん、これはなんですか? 何かゴムのようなが中に……」

「アンタは何を渡そうとしてんだ!」

倉前が織姫に何やら危険なものを渡そうとしたので、慌てて橫から奪い取る雄介。 織姫は結局何か、分からなかった様子で、首をかしげていた。

「ですが、急に出來てしまっては……お互い若いですし」

「そういう行為をする予定はないので、ご安心を!」

「そうなのか? 私は早く孫が見たいんだが……」

「勘弁してください……」

なぜか徹が本當に寂しそうな視線を雄介に向けて言ってくる。

「場所を変えよう、俺の部屋に……」

「では、やはりこれを!」

「何個持ってるんですか! しかも箱で?!」

織姫と落ち著いて話をしようと、自室にったところ、倉前がものすごいスピードで、先ほど織姫に渡そうとしていたが大量にった箱を渡そうとしてきた。 雄介はそんな倉前を振り切り、織姫を連れて自室に向かった。

「たく……ほんと、相変わらずだ……」

雄介は笑顔をだった。 戻って來た日常がうれしくて、いつも通りの皆が居ることがうれしくて、自然と笑みがこぼれた。

「まぁ、れよ。あんまり散らかっては居ないと思うんだが」

「お、お邪魔します」

張した様子で織姫は雄介の部屋にる。 雄介も後から続いて自室にり、機の椅子に座り、織姫にはベッドに座るように言う。

「何キョロキョロしてんだ?」

「いや……男の子の部屋どころか、友達の部屋にもった事がないので……あ、っていうか私、友達いないんだった……」

「悲しくなるから言うな! それに友達ならもういるだろ?」

「え?」

「優子や凜ちゃん、あとは江波とだって仲良くなったじゃねーか」

「あ……でも、あっちはそう思ってくれているか……」

「江波はお前に會いたがってたぜ、優子も敵視してるけど、心配してるみたいだった」

「え…そうなんですか?」

「あぁ、お前ともっと々話したいみたいだぜ、だからもうそんな悲しいこと言うなよ。こっちまで気が滅ってくる」

雄介は機に頬杖を突きながら、織姫に學校の皆の織姫に対する反応を聞かせる。 それを聞いた織姫は、嬉しそうに、そしてどこか安心したかのように微笑んでいた。

「話はそれたけど……お前の告白なんだが……」

雄介は場が和んだところで本題にろうとする。 しかし、織姫は首を橫に振り、笑顔で雄介に言う。

「いえ、まだ告白の返事は聞きません」

「え?」

「雄介が他のからも、好意を寄せられていることは知っています。きっと雄介はその事と拒絶反応を理由に斷るのでしょ?」

「ま、まぁ……そう、だな……」

言おうとしていた事を先回りで言われてしまい、雄介は調子を狂わされてしまった。 織姫はそんな雄介を放って言葉を続ける。

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