《この達俺の妻らしいけど記憶に無いんだが⋯⋯》六話 同棲を許可する學園ですからね!
手を前に組み崇めるかのように呟くエルは晝間と違い、妙に真面目臭い話し方で隨分と印象が落ち著いていた。
和を表すかの様にしい黒髪と雪の様に白い、風呂場の湯けむりと熱でほんのり赤く相まった頬がとても魅力的だ。
その貌に思わず生唾を飲み込んでしまう。
ちなみにエルは、湊と二人きりになると人格が変わってしまう。
昔、レイラがどうしてか訪ねた時には、「大好きだからです!」とそう答えられた事からレイラがこの格で居られるのは信頼出來る人しか周りに居ない時なのだろう。
簡単に言えば、人前ではキャラを作っていると言う事だ。
エルは人見知りで人間不信でもある、それはエルの生い立ち上仕方ない事でもあって、湊はいつか他の人にもこんなエルの一面を見てしいと思っている。
それはエルが心から信頼できる人が出來た、そう言う事だから。
それに普段からこの狀態であれば、騒々しくもなく気配りが出來て何か問題を起こす事はないのだ。
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でも⋯⋯。
「あぁ、ありがと⋯⋯で? どうして?」
「それは⋯⋯師匠と⋯⋯お風呂にりたいなと思いまして⋯⋯だめ? ですか?」
不安そうに足をもじもじとさせ俯き加減で聞いてくるエルの所作に湊のが締め付けられる。
(はぁ⋯⋯なんかこっちが悪いことしてる様な気分になってしまうんだよな⋯⋯)
「おいおい⋯⋯同學年の男が同じ風呂は流石に⋯⋯な?」
「いえ、私達にそんな事は関係ありません、現にこの學園では男同棲が認められてるじゃないですか」
「いや、それは⋯⋯塔攻略に必要だからだろ」
この學園では男の同棲が認められている、いや逆に學園側から勧められるほどだ。まぁ、結婚さえ認められているのだから當然と言えば當然なのだろうか。
理由は、先程言った通り結婚することによって互いの能力が底上げされるからだ、我ら學園生が目指す塔攻略は未だ全人類の誰もがし得てない偉業、それをす為には結婚が必須なのだ。
「なら私と結婚しましょう。私は──」
「無理だ」
「ひ、酷いです⋯⋯私はこんなに師匠をしているんです。師匠の為なら命だってしくありません」
湊がこの狀態のエルを素直に可いと言ってあげられない理由、それは⋯⋯。
どさ過去のあの出來事からなのかエルは湊の事を好きでいてくれて信頼してくれている。
それは湊にとって嫌なわけがなかった。
しかし湊は復讐の為に生きてきたようなものだ、普段の慕うような軽いじの「大好き」ならそこまでどうとじることはない、もはや湊とエルの一種の會話のようなものにさえじているくらいなのだ。
それに、エルの明るく元気な格とげな容姿のおかげでもある、しかし今のエルは明らかに同い年、そしてそれなりに落ち著いた雰囲気を持ってる。
その雰囲気は、今までなるべく人と関わらないように生きてきたからか、エルと過ごす時間が長くなってもなかなか慣れるもので無いのだ。
「すまない、お前が俺を好きでいてくれる事は本當に嬉しい、だけど今は無理なんだ。し待っててくれ。きちんと考えてから返事はさせてくれないか?」
「は、はいぃぃぃ⋯⋯⋯⋯ほ、ほ本當に私でいいんでしょうか。エルは今本っ當に幸せです。とうとう師匠が、私と結婚してくれる約束をしてくれました。なんて日でしょう⋯⋯ほ、本っ當に⋯⋯あ、ありがとう⋯⋯ございます」
そう言ったエルは嬉しそうに微笑み、涙さえ流していた。
(あれ? あれれ? なんか凄い勘違いをされてる気が──)
そして、涙を拭いながら湊と同じ風呂に浸かり出す。
それなりに広い風呂も、16歳となった二人にはし小さく、どうしてもがれ合ってしまう。
(はぁ⋯⋯ ま、まぁ仕方ないか、初日でこいつも張したんだろ)
そんな事をぼけーっと考え、エルに目線を戻すと、は綺麗で、特に歳との割に大きく育ったが⋯⋯當たって──。
「なぁ、エル?」
「は⋯⋯い⋯⋯?」
エルは至極幸せそうな表を浮かべ首をかしげるが、いくら湊でも「出てくれ」というのは流石に言えたものではない。
まぁ、さっき言った通り今日は疲れてるだろうし。
「はぁ⋯⋯いや、何でもない⋯⋯今日だけな。あぁ、一ついいか?」
「はい⋯⋯私の3サイズですか⋯⋯? うぅぅ⋯⋯師匠の変態⋯⋯でも好きです」
真顔で言いながらも顔を赤く染めていくエル、湊はそんなエルを見てつい微笑んでしまう。
「いやぜ、全然興味ないから あー話がそれた」
「すみません、嬉しすぎてどうにもおかしい様で、本當にすみません」
エルが本當に申し訳なさそうに頭を下げるが、シャンプーのいい匂いが濡れて多の濃くなった髪から漂よい、自然ととか何やらが湊のにれている事を意識してしまい、普段以上に可らしく思えるに湊は不意にもどきりと心臓が鳴り響く。
湊は気持ちの切り替えにと咳を一つすると、エルも湊の雰囲気をじ取ったのか背筋がびる。
「お前だったら、もし俺がお前も含めて複數のの子と結婚するとしたら、嫌か?」
湊は、至極真剣な聲で、ハーレム展開を希した。
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