《甘え上手な彼2》第6話
「わ、悪い! ちょっと人が多くてさ……」
「そうなの? まぁでも、お互いの友達付き合いもあるもんね」
良かったと高志は安心した。
これでなんとか部屋には來られ無い、しかしピンチに変わりは無い。
早いところ、部屋に戻って店を抜け出さなくてはと高志は考え、紗彌の元を離れようとする。
「じゃ、じゃあ俺はもどるな! また夜に……」
「あ! 高志君、ドリンク取りに來たんだ……」
「はぎゃぁぁぁ!!」
戻ろうとした高志の前に現れたのは、高志を狙っている夢だった。
夢もドリンクを取りに來たらしく、手にはコップを持っていた。
「高志……誰?」
「えっと……高志君の友達?」
「いや……あの……えっと……」
こういう瞬間を修羅場と言うのだろうと、高志は思っていた。
*
「ごめんなさい!!」
カラオケボックスでの合コンが終わり、家に帰宅した高志はリビングで土下座をしていた。 相手はもちろん紗彌。
紗彌は困ったような表で高志を見ながら、膝の上にチャコを乗せて頭をでていた。
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「……確かに、私に飽きたら捨てて良いって言ったけど……」
「ち、ちがうんだ!! アレはただの數合わせで……」
「言い訳しないの! この馬鹿息子!!」
「全く……誰に似たんだか……」
「お父さんでしょ?」
「え?」
なぜリビングで土下座をしているかと言うと、帰ってきた高志と紗彌の話しを高志の母親が聞いていたからで、非常に怒っていた。
「だから、アレは優一に……」
「言い訳しないの! 全くけない……アンタに紗彌ちゃんはもったいないくらいなのに!」
「全くだよ、父さんは母さんだったから、余計にうらやま……」
「何?」
「いえ、なんでもないです……」
高志は激しく後悔していた。
やっぱり行かなければ良かった、強引にでも斷っておけば良かったと、高志は自分を責め続けた。
一番嫌だったのは、紗彌を悲しませてしまった事だった。
寂しそうな紗彌の表を見ると、今も心が痛む。
「……高志は……私に飽きたの?」
「違うんだ! 今回のアレは優一に無理矢理!」
そう言う紗彌の表も暗い、高志どうすれば紗彌に信じて貰えるかを考える。
「にゃー」
チャコまで目を細めて、高志の方をジーッと見つめている。
なんだかチャコまで怒っているようなじがする。
「上で二人で話ししよっか……」
「う、うん」
紗彌にそう提案され、高志と紗彌は二階の高志の部屋に上がっていく。
「紗彌ちゃん! ぶっ叩いて良いからね!」
「そうだよ、そんな最低息子で申し訳ない……」
階段の下から高志の両親のそんな聲が聞こえて來る。
チャコも紗彌の後ろにくっついて來た。
部屋の中にり、紗彌は高志のベッドに座り、高志は自分から床に正座する。
「………正直……凄く傷ついた…」
「う……す、すいません……」
「……本當に私に飽きてない?」
「飽きてない! む、むしろ夢中です!!」
「そ、そう言うのは良いから……」
高志の言葉に、紗彌は顔を赤らめ顔を反らす。
チャコは再び紗彌の膝の上にやってきて、高志をジーッと見つめる。
(チャコ……お前がなんか一番怖いよ……)
いつもは高志にすり寄ってくるチャコだが、今日に限ってはそれが無い。
ただジーッと自分を見つめてくるチャコが、高志は怖かった。
「……じゃぁ、まだ私が好きって……照明して……」
「え……ど、どうやって?」
「し、しらない! 自分で考えて!」
「え……えぇ……」
そう言われた高志は、必死に考えた。
どうやったら紗彌に照明出來るだろうかと、頭をフル回転して考えた。
「えっと……じゃあ、その……抱きしめて良いですか?」
「……す、好きに……すれば……」
高志は考えた結果、何かの雑誌で見た、彼と仲直りする方法を試して見る事にした。
抱きしめて、優しく話し掛ける。
そう雑誌には書いてあったが、効果はあるのだろうかと、高志は半信半疑だった。
しかし、他に方法も思いつかず、高志はそれを実行する。
「し、失禮します……」
「ん……」
高志は紗彌を後ろから抱きしめる。
弱々しくてらかいそのは、強く抱きしめたら壊れてしまいそうだった。
紗彌の心臓の音が高志にも伝わって來る。
「紗彌……ごめん」
高志は紗彌の耳元で優しく囁き始める。
「………私が一番?」
「うん」
「……別れない?」
「うん、有り得ない」
「………じゃあ……もうしこのまま」
「うん、ごめんね」
「もういい……抱きしめられたら、どうでも良くなっちゃった……」
紗彌は高志の手を握り、うっとりした表で高志にを預ける。
高志はそんな紗彌のを優しく包み込む。
夏休み前から波の予だったが、なんとか丸く収まり高志は安心する。
そして、高志は誓った。
今後は絶対紗彌を悲しませないと……。
「ねぇ……」
「ん?」
「水著………一緒に買いに行こ……」
「え……じょ、用は友達との方が……」
「浮気者……」
「一緒に行かさせていただきます!」
當分、紗彌には頭の上がらなそうな高志だった。
*
々あったが、夏休みに突した。
高志は紗彌とほとんど毎日一緒だった。
午前中に紗彌と共に宿題をし、午後は二人で出かけたり遊んだりする生活だった。
そして、今日は約束の水著を買いに行く日。
「な、なぁ…紗彌」
「なに?」
「ほ、本當にここで買うのか?」
「うん、高志は文句言えないよね?」
「うっ! つ、付き合います……」
「よろしい」
高志と紗彌がやってきたのは、ショッピングモールの中にある、期間限定の水著の専門店だ。
お客さんは、もちろんのみで高志は居心地の悪さをじていた。
「う~ん、どれが良いかな?」
「さ、紗彌は何でも似合うぞ?」
「ありがと、でもちゃんと見て決めてしいな」
「そ、そうか?」
「うん、ちょっと試著してくる」
「え!?」
そう言って紗彌は試著室の中にってしまった。
殘された高志は、ばかりの店で浮きまくり、かなり気まずい思いをしていた。
しかし、自分のやった事を考えればこれは仕方が無いと、高志は我慢する。
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