《甘え上手な彼2》第23話

「夜中の學校って以外と暗いな……」

「だからって変な事しないでよ」

「するか馬鹿! なんでよりによってお前とペアなんだよ……」

赤西は肝試しのペアで、クラス一気の強い西城朋香(さいじょうともか)とペアになり、學校を回っていた。

赤西と西城は七番目の組で、既に先に行ったペアの悲鳴を何度も聞いている。

どうやら優一がまたしても本気を出しているらしく、相當怖いらしい。

「ちょっと、あんまりこっち來ないでよ、妊娠するわ」

「お前は俺を何だと思ってんだよ!」

「歩く変態」

「それもう変態で良いだろ! いや、違うけど!」

前からこの二人は馬が合わない。

顔を合わせれば口喧嘩ばかりで、まさに水と油の関係だった。

「あぁ~なんでよりによって西城とペアなんだよ……」

「それはこっちの臺詞よ! よりによってなんで赤西なのよ」

互いにそっぽを向き、赤西と西城は廊下を歩いて行く。

「しかし、もう二階に上がったってのになんも無いな」

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「そう言えばそうね……今のところ恐怖をじるのはアンタくらいだもの」

「俺はお前をなんだと……」

肩を落として歩く赤西。

そのとき、突然目の前の蛍燈がチカチカと點燈と消燈を繰り返し始めた。

「え? な、何??」

「落ち著けよ、どうせこれも優一の仕込みだ、やってるのは人間だろ? そう思えば怖くな……」

言いかけた瞬間、赤西の目の前に赤くらかい片のようなが落ちてきた。

「ぎゃぁぁぁぁぁ!!」

「あ、ちょっと!! 置いてかないでよ!!」

赤西は西城を置いて、一人で廊下を駆けて行った。

先ほどのあの言葉はなんだったのだと思いながら、西城は後を追いかける。

そんな二人が去った後、近くの教室から土井が唐揚げ用の鳥のを持って出てくる。

「やっぱ、やり過ぎじゃね? 生って……」

優一からの指示とはいえ、コレは流石にやり過ぎなのでは無いかと、首を傾げる。

「いきなり鶏を渡された時は何事かと思ったぜ……」

土井はそんな事を呟きながら、再び教室の中に戻って行く。

「はぁ……あと三組か? 正直一人だとつまらないなぁ……」

土井は教室の椅子に一人で座りながら呟く。

暗いところが苦手なわけではないので、怖いわけではないのだが、ただ目の前の廊下を通るペアを待つというのは退屈だ。

「話し相手でもいればなぁ……」

そんな事を考えていると、教室の奧の方から音がした。

「ん? 誰だ?」

そこには白いワンピースを著た、白のが立っていた。

「えっと……誰? うちのクラスじゃないよな?」

は無言で首を縦に振る。

いつの間にってきたのだろうと土井は不思議に思いながら、に近づく。

近くで見ると白で大きな目をしており、かなり可い子だった。

土井は思わず顔を赤らめ、何か話さなければと話題を探す。

「えっと……あ、あの……鶏食う?」

「?」

ったトレーを差し出す土井に、は首を傾げて笑みを浮かべる。

「あ……生だわこれ……」

何を言っているのだろうと、自分で自分を責めながら土井は鶏をしまう。

「えっと……こんなところで何してるの?」

「……」

は無言のまま、土井の事を指さす。

「俺? ……がどうかしたの?」

は次に自分を指差し、次に目を指さす。

「あ、俺を見てたって事?」

「……」

は笑みを浮かべて首を縦に振る。

の様子から、もしかしたら聲を出せない理由があるのかもしれないと土井は思い、彼の様子を見て、必死に何を伝えようとしているのかを読み取る。

「じゃあ、もしかして君って、このクラスの?」

は首を縦に振る。

どうやらはこのクラスの生徒らしい。

(忘れでも取りに來たのかな?)

そんな予想を立てていると、は急に土井の近くにやってくる。

「え? な、なに?」

「………」

ニコっと微笑んでは土井の頬を指さす。

土井はが指さした頬をると、そこには準備の時についたのであろう赤いペンキがこびりついていた。

「うわ! まじか……俺ずっとこんな顔だった?」

「……」

は笑顔で首を縦に振る。

土井は顔を真っ赤にし、頬を拭く。

「は、早く言ってくれよ……」

「………」

嬉しそうに笑うを見て赤西は更に顔を赤くする。

の無邪気な笑顔やらかな表に、土井はいつの間にかをしていた。

「うーし、全員終わったな。じゃあ代だ!」

前半の組が終わり、脅かし役を換しての後半が始まる。

最初の十組のうち、二組だけが何やら良い雰囲気になって帰ってきた。

「えっと……あ、ありがとね……い、意外と男らしいんだ……」

「い、いや……ただ格好つけただけだよ……ハハハ……」

良い雰囲気になったクラスメイトを上手くいかなかったクラス男子が殺意の視線を向ける。

「けっ! あいつの癖をあの子にバラそうぜ」

「いや、ロリコン説を流そう」

「待て、それより山に埋めてこようぜ」

上手くいったクラスメイトの処分をどうするか相談するクラスの男子を見ながら、高志は溜息を吐く。

「本當にこいつらは……」

「ついでに高志も埋めてこよう」

「あぁ、丁度良いな」

「高志はゴキブリと一緒に埋めよう……」

「あ、俺も自分の心配をしなきゃいけないのね……」

高志がクラスメイトを信じられなく鳴り始めたところで、後半のペア決めが始まった。

今回も高志と紗彌以外がクジを引き、十組のペアが決まる。

「那須と一緒? まぁ、全く話さない男とよりはいっか」

門とか……まぁ、良いか」

「何よ、隨分上から目線ね」

「同の奴とペアになっても……」

「うっさいわね!!」

優一と由華がペアになったところで、クラスの一人がクジが余っていることに気がつく。

「おい優一、男のクジが余ってるぞ?」

「え? そんなはずは……ホントだ」

「そう言えば土井が居ないな……」

「大方トイレだろ?」

「仕方ないな、じゃあ土井のペアを最後にして一番の奴から回ってくれ」

優一の提案で一番のペアから順に學校にって行く。

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