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一番目は茂木のペアだった。

容姿だけは良い茂木は意気揚々と校にっていく。

「さぁ行こうか、何があっても僕が守ってあげるから！」

「あ、ありがと……」

臭い臺詞を言われ、顔を引きつらせて答えるクラスの子を引き連れ、茂木は順調に進んでいく。

し歩くと、最初のポイントに差し掛かった。

最初のポイントは二階の階段近くの教室。

茂木達がそこに差し掛かると、教室の中から勢いよく青い火の玉が飛び出してくる。

「おっと、ハハハ子供騙しだね～、こんなの良くお店で売ってる悪戯グッズじゃないか」

「でも、さっき脅かしてた時も思ったけど、かなり手が凝ってるから……」

「ハハハ、心配ないさ、どうせ人間が………」

と茂木が言いかけた瞬間、茂木の目の前に人模型の置が飛んでくる。

「ハハハ、こんなのただの人形じゃないか」

そう言って茂木は飛んできた人模型にれる。

すると、人模型の目がぎょろりと茂木の方を向き、同時に笑い聲が廊下全に響き渡る。

「あぁぁぁぁぁ！！　おばけぇぇぇぇ！！」

「あ、ちょっと！！」

茂木はペアの子を置いて、廊下を駆けて行った。

「あ！　ちょっと！！　………これだから男は……」

茂木とペアの子は溜息を吐いた後に、床に転がる人模型を蹴って茂木を追いかけた。

＊

「なぁ、門」

「なによ？」

「お前ってマジで同姓じゃないとダメなの？」

後半四番目のペアは優一と由里華だった。

互いに異の中では仲の良い相手なので、張も無く、話しをしながら屋上を目指していた。

既に三階の中盤辺りのポイントまで來ている二人だが、いままで一切驚いていない。

「いきなり何よ。紗彌の事？」

「ま、そんなとこだ」

「うーん……ちゃんとテレビのイケメンとかはカッコイイと思うし……紗彌以外のの子にはは抱かないからなぁ……」

「ふーん……そういうもんか……あ、そろそろ來るぞ」

「オッケー」

その瞬間、優一と由華の前にだらけの髪の長いが、勢いよく現れた。

「痛い………いた…い……」

そうつぶやきながら、は優一と由華に襲いかかる。

「いたぁぁぁぁい！！」

「赤西、足下に畫鋲落ちてるから気を付けろよ、足だろ？」

「え！？　マジかよ！　掃除しておけよな！」

「もっと役に集中しなさいよ……」

だらけのの正は、カツラを被った赤西だった。

優一の言葉で役を忘れ足下を確認する。

そんな赤西を見て、由華は溜息をつく。

「じゃ、先行くからなー」

「おう！　気を付けてなぁ～」

「アンタがそれを言ってどうすんのよ！！」

「イテッ！！」

優一を呑気に見送る赤西を教室から出てきた西城が背後から叩く。

「はっ！　そうだ！　俺はお化けだった！！」

「どんだけアホなのよ！！」

優一と由華はそんな二人の會話を背中で聞きながら、再び廊下を進んでいく。

「あいつら仲良いよな」

「そうだねぇ、紗彌と八重君とは違う仲の良さだよね」

「嫌よ嫌よも好きのうちってな」

「ま、でもそれに當人達が気がつくのはまだまだ先になりそうだね」

「赤西は馬鹿だからなぁ……」

話しをしながら優一と由華は四階への階段を上る。

「あんたは結局付き合わないの？」

「またその話しかよ」

「だって、芹那ちゃん可いじゃない。何が問題なの？」

「だから、あいつのドＭなところだよ。海に行った時もそのせいで縛られたし、最近はドＳにも目覚めて來やがった……」

「あの子も変わってるわね……」

由華は苦笑いをしながら優一に答える。

「でも、それを抜きにすれば、かなり良い子よ。しかもいつもは普通のの子だし」

「それはそうだが……」

「もう、付き合っちゃいなよ～」

「………お前はどうすんだ？」

「え？　何が？」

優一の言葉に由華は首を傾げる。

「宮岡には人が出來ちまったわけだろ？　お前はこれからどうすんだよ」

「どうって……今までと変わらずだけど？」

「他に好きな奴とか見つけねーの？」

優一の質問に、由華は違和を覚える。

なんで今日に限って、こんなに自分の事を聞いてくるのだろう？

そんな疑問を浮かべていると、優一は靜かに話しだした。

「俺、お前の事を好きって奴を何人か知ってるんだよ」

「え、ホント？」

「ホントだ、最近お前と一緒にいることが多いから、俺はそいつらから目を付けられて大変なんだよ」

「あぁ……そういうことね……それは申し訳ない」

「ホントにそう思ってるなら、早く彼氏でもつくってくれ……學校が始まったら大変だ」

「アハハハ、そうは言ってもなぁ……いい人いないし～」

「俺が紹介してやるよ」

「それはどうも、でも今は良いの！　今は紗彌の隣にいるだけで幸せだから」

「あっそ……」

四階の各ポイントの脅かし要素を突破しながら、優一と由華は屋上の扉の前に到達した。

「そういえば、おまえとここで高志と宮岡の晝を覗いたっけな」

「なんだか懐かしいね～、時間が経つのは早いよね」

「そうだな。よし開けるぞ」

優一はそう言って、屋上のドアを開けて外に出る。

屋上にも脅かし要素が準備されていることを優一は知っていた。

しかし、後半の脅かし要素がどうなっているかまでは知らない。

何が起こるのかと楽しみにしながら、外に出る。

「フハハハハ！　良く來たな勇者よ！」

「…………」

「…………」

屋上に居たのは、黒い布を頭から被り、スケルトンのお面を付け、木の棒を持った繁村だった。

優一と由華はそんな繁村を見た後、無言で屋上に行った証明の黃い髪を探し始める。

「繁村、紙どこだ？」

「おいこら！！　もっと乗れよ！！」

「俺は肝試しをしにきたのであって、魔王に挑みに來た勇者じゃない」

「最後だよ！　最後の脅かしポイントだよ！」

「もっと何かあったろ……」

「ダンジョンの最後はボスだろ！」

「このゲーム脳が……」

野球部の繁村の趣味はゲームである。

優一と由華はその後、繁村から無事証明の黃い紙を貰い、スタート地點の學校の昇降口前に戻ってきた。